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放射性元素の崩壊熱とは?
- 放射性元素の崩壊熱についての疑問について説明します。
- 崩壊熱は放射性元素の崩壊によって生じるエネルギーです。
- 地球内部の加熱についても、崩壊熱が関与している可能性があります。
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質量欠損が生じるのは核分裂反応に限った話ではありません。 もちろん、放射性物質が崩壊して、核エネルギーが解放された時にも質量は変化します。 例えば、セシウム137の原子量は136.9070895uで、これが質量0.000548579910uのβ粒子を放出して、バリウム137mを経て、安定なバリウム137(原子量136.9058274u)に変わる際には、 (136.9070895u-0.000548579910u-136.9058274u)÷136.9070895u≒0.0007135u÷136.9070895u≒0.000005212 という計算から、0.0005212%の質量欠損がある事が判ります。 ウラン235が核分裂した際の質量欠損は、約0.091%前後ですから、セシウム137の崩壊はウラン235の核分裂と比べて、約175倍も効率が低い事が判ります。 質量とエネルギーは等価であるため、エネルギーが解放される際には必ず質量の変化が生じます。 化学反応でエネルギーが放出された場合や、お湯が冷めて水になったり、リンゴが木の枝から地面に落ちる際にも、解放されたエネルギーに等価な量だけ、質量の変化は生じているのですが、元の質量に対して、変化した割合が小さ過ぎて、変化量を測定する事が殆ど不可能なため、一般的には質量の変化が無視されているだけです。 例えば、15.5℃の水1kgが、熱エネルギーを放出して、14.5℃になった場合には、水の質量は百兆分の4.6570g減少し、代わりに水から熱エネルギーを受け取った周囲のものの質量が、同じ量だけ増えます。 質量がエネルギーに変わるというよりも、質量とエネルギーは同じものなので、エネルギーの出入りがあるという事は、即ち質量の出入りがあるという事なのです。 ですから、核分裂反応で質量が欠損する事が原因でエネルギーが発生するというのは少し誤解がある考え方で、ウラン235の原子核は、核分裂反応を起こした際に放出する事の出来るエネルギーを持っているために、そのエネルギーの分だけ余分な質量を持っていると考えた方が良いかも知れません。 放射性物質の崩壊等の核反応によってエネルギーが放出されるのは、放射性物質の原子核が、エネルギー的に不安定だからです。 原子核を構成している陽子や中性子の間には核力という力が働き、陽子と中性子、或いは陽子同士や中性子同士は引き寄せ合っています。 例えば、地球と、木の上のリンゴは万有引力によってお互いに引き寄せ合っていますが、リンゴが地面に落下して地球とくっつき合えば、位置エネルギーが解放されて、リンゴはエネルギー的に安定化(自然にに高い位置に移動したりはしない状態)する様に、陽子や中性子も核力でくっつき合った方が核力による位置エネルギーが解放されて、安定化する傾向があります。 このため、核融合反応の際には、エネルギーが解放されます。 しかし、陽子はプラスの電気を帯びているため、陽子同士の間には電気的な反発力が発生します。 原子核中の陽子の数が多いほど、原子核が帯びているプラスの電気は強くなり、それに応じて原子核内の電気的反発力も、陽子の個数の2乗に比例して強くなります。 このため、電気的な位置エネルギーの観点からは、陽子同士がバラバラでいた方が安定なのですが、原子核の内部では、電気的な反発力よりも、核力(強い力)の方が力が強いため、離れられずにいます。 そのため、ウランの様な陽子の数が多い原子核はエネルギー的に不安定で、核分裂を起こすと、2つに分かれた原子核同士が、電気的な反発力で猛スピードで離れて行くため、電気的な反発力によって生じていた位置エネルギーが、分かれた原子核の運動エネルギーに変換される事で解放されます。 アルファ線を出す放射性物質の崩壊も、元の原子核が、ヘリウムの原子核と、それ以外の部分に分かれるのですから、一種の核分裂と言えますが、これも陽子同士の電気的な反発力によって生じます。 ヘリウムの原子核は非常に安定であるため、陽子や中性子が単独で放出されるよりも、アルファ粒子が放出される方がエネルギー的に安定なため、陽子が単独で放出される反応は起き難くなっています。 又、核力による結び付きは、陽子同士や中性子同士の間に働く核力の力の強さよりも、陽子と中性子の間に働く核力の力の強さの方が少し強いため、核力的には中性子と陽子の数が同じ方が安定なのですが、原子番号が大きな原子核では、原子核に含まれる陽子の数が増えて、電気的な反発力が増すため、陽子と中性子の間に働く核力よりも、電気的な力が生じない中性子同士の間に働く核力によって、原子核内部の粒子を結びつけた方が、電気的な反発力を増やす事なく、核力による結びつきを強くする事が出来ますから、原子番号が大きな原子核では、中性子の割合がある程度多い方が安定となります。 このため、原子核には、その大きさによって、陽子の数と中性子の数の丁度良い比率というものが存在します。 更に、中性子は陽子よりも不安定で、単独の中性子は平均寿命886.7秒で陽子に崩壊してしまうのですが、この中性子が陽子になる際に解放されるエネルギーよりも、原子核中の陽子の数が増える事で増加する、電気的な反発力による位置エネルギーの方が大きい場合には、中性子が陽子に変わらない方が、エネルギー的に安定なため、原子核中の中性子が陽子に変わる事が防がれます。 この事も、陽子と中性子の数の比率に影響します。 この陽子と中性子の数の比率が、丁度良い比率から外れているほど、原子核は不安定となり、中性子の数が少なく、陽子の数が多過ぎれば、α線を放出したり、陽子が原子核外の電子を吸収して中性子となったりする事で、陽子の数を減らす核反応が起きて、エネルギーが解放されます。 陽子の数が少なく、中性子の数が多過ぎれば、中性子がβ線を放出して陽子に変わる事で、中性子の数を減らし、陽子の数を増やす核反応が起きて、エネルギーが解放されます。 γ線は、核反応の際に解放されるエネルギーの一部が、短波長の電磁波として放出されたものです。 前述の様に、放射性物質が放射線を放出して崩壊する反応は、核分裂よりは効率が低いものの、化学反応等と比べれば、桁違いに効率が高いため、岩石の中に含まれている僅かな量の放射性物質でも、岩石を熔融させるほどの発熱量となる訳です。 又、地球の岩盤は極めて厚いため、地球内部から地球表面までは、熱がなかなか伝わらず、あたかも断熱材で包んだ様に、内部の熱が極めて逃げ難いため、放射性物質の崩壊熱が蓄積されて、高温のまま保たれる訳です。 ですから、地熱のエネルギー源としての放射性物質は、高濃度である必要はなく、火山から流れ出る溶岩が大量の放射性物質を含んでいなくとも、地球の内部や溶岩は高温なのです。
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- indoken2
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No.3です。 なぜ「地上に出てきた溶岩にはそういうものが含まれていない」と思っているのでしょうかね。 普通に含まれていますよ。
- indoken2
- ベストアンサー率47% (178/372)
崩壊熱=放射性物質からの放射線放出に伴う熱は、アルファー線など粒子線の運動エネルギー、ガンマー線など電磁波の持つエネルギーに由来します。 地球内部には、カリウム40、ウラン系列、トリウム系列の 地球の誕生前から存在する原始放射性核種が存在しています。 これら放射性核種の濃度は格別高いわけではないのですが、量が多くて形が大きいため、発生した崩壊熱が効率良く外に放出されず、現在観測されるような高温に至ると推測されています。(高温の元は他にもあるとされますがね)
お礼
放射性核種の密度ではなく量が大きいこと、その崩壊熱が地殻という断熱材で宇宙に放出されることなく地球内部に蓄積されて岩石を溶かしているという理解でよいでしょうか。でもどうして溶岩に放射性核種が含まれていないのですか。わずかな量の溶岩でもそれを溶かすのに必要な熱量を供給するのには大量の 放射性核種が必要でしょう。地上に出てきた溶岩にはそういうものが含まれていないのはなぜでしょうか。
- Willyt
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放射性元素が出すエネルギーは質量がエネルギーに変るものではありません。それより遙かに小さなもので、その原子核がエネルギーの低い状態に移ることによってその余剰分を放出するのです。この際、α線と呼ばれるヘリウムの原子核が飛び出すもの、β線と呼ばれる電子が飛び出すもの、γ線と呼ばれる電磁波の三種類です。この中でアルα線は陽子を二つ含んでいますから、これを出すと原子は陽子の数だけの電子を持つので電子が二つ減り、物質が変ります。これが『崩壊』の正体です。 化学反応でも似た現象が起きます。たとえば炭素が燃焼して二酸化炭素になりますが、この場合、単体の炭素よりも酸素と化合した状態の方が分子エネルギーが低い状態なので余ったエネルギーを熱として放出しているのです。 マントルの熱源はその殆どが放射性物質が出すエネルギーです。すべての物質は原子崩壊を繰り返しながら最終的には鉄になり、鉄が最終の安定状態だそうです。そこにたどりつくまではマントルでは放射性物質がエネルギーを次々に放出しながら鉄へ向かって変化を続けています。放射線同位元素はほぼすべての物質が何%かの濃度でこれを保有しています。それが崩壊してマントルを暖め続けているのです。
>崩壊熱なるものの源はなんでしょうか。 放射性崩壊をしたときにでる放射線のエネルギーです。
お礼
非常に詳細で判りやすい説明なのでこれまでの疑問点が判り、納得できました。 ありがとうございました。