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原子力発電所の燃料から出る放射線
- 原子力発電所の燃料から出る放射線についての素朴な疑問について解説します。
- ウランペレットの放射能について、長い半減期を持つU235とU238が混ざっているため放射能が弱いと言えます。
- 放射能が強い核種の特徴や、ウランから出る放射線の成分について詳しく解説します。
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燃料を、一旦原子炉の中に入れると、炉内での核反応、例えば、核分裂反応や、中性子の 吸収による放射化(例えば、Pu-239 は、U-238 の放射化によりできたNp-239 がβ崩壊 してできます)により、僅かの燃料であっても、極めて多量の放射性物質が生成されます。 これは、炉内の中性子が、多数飛び交っており、仮に炉内に断面が1cm^2の球を置いたと すると、そこを、1秒間に極めて多数の中性子(約 10^13個/cm^2/sec)が突き抜けると いうことのためです。勿論、核反応を起こす割合を考慮に入れる必要がありますが、 アボガドロ数(6×10^23個/モル)を考えると分かるように、標的となる燃料の原子の 数も多く、結局、ほんの数秒、炉内に入れただけでも、人が近寄れない位の放射能が 生成されるのです。 炉内(軽水炉の場合)では、その他、ほんの僅か水中に溶けている炉内構成物の金属 成分が放射化され、Co-60、Mn-54 等の放射性核種も多数生成されます(これは燃料 の放射化とは無関係ですが)。
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- lv4u
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ANo.6です。 >>半減期が何億年もあり,かつ劣化したウランの放射線による影響がそんなに強く出るというのがよく分かりません。 理論的にどうなのかわかりませんが、劣化ウラン砲弾で破壊された戦車から、危険なレベルの放射能が検出されたって情報を見た記憶がありますので、崩壊過程で、半減期の短い物質が生成されているのかもしれませんが、よくわかりません。意図的に放射線を高める混ぜ物をしていたのかもしれませんね。 それから、体外から放射線を受けるときは、空気中を走ることで、かなり吸収されるため人体への影響が減るでしょうが、劣化ウラン砲弾の微粒子が体内に吸い込まれることで、距離の二乗?に比例した形で、強烈に体細胞に放射線の影響が出るのではないでしょうか? また、体外からの照射なら、多くの細胞への影響ってことで、修復作用が利きやすいけど、体内被爆だと、一部の細胞に強烈に作用するのでガン化が進みやすいとか。 医学知識がないので、まったくのあて推量ですが。
- lv4u
- ベストアンサー率27% (1862/6715)
遅レスですが、以下の部分について >>ところで,私の質問の内容からはそれてしまいますが,劣化ウランは新品のウランペレット以下,さらには天然ウラン以下の放射能しかもたないのに放射線障害が起こるのは何故なのでしょうか?(放射線以外の原因で障害が出るというなら分かります。) 私も似たような疑問を持ったことがあります。「プルトニウムが猛毒」って書かれた本を昔読んだのですが、「猛毒なら青酸カリみたいに摂取すると即死するのかと思うと、その本には、「数十年後にガンになって死亡」っていう記載もありましたのでね。 結局、瞬間的に影響を受ける放射線じゃあなく、放射線を出し続ける能力をもつ半減期の長い物質を体内に取り込むことで長期間に渡って細胞が放射線にさらされ続け、その結果として高い確率(90%くらい?)でガンになるっていうことだと思っています。 ですが、数年から数十年後にガンになっても、自然になったものと区別がつきにくいようになりがちです。ただし、統計的に見ると、イラク等ではガンの発生率は確実にアップしているようです。
補足
お正月にもかかわらず,お返事をいただきありがとうございました。 ウランは重金属ですから,体内に入ってよいことはなさそうだということは想像できるのですが,それらがもつ放射能の影響でガンなどになるのでしょうか? プルトニウムはウランに比べて半減期が短いので,電離作用の強いアルファ粒子が人体に影響しそうですが,半減期が何億年もあり,かつ劣化したウランの放射線による影響がそんなに強く出るというのがよく分かりません。 もし,以上の点についてご示唆いただけたら幸いです。
核分裂前のウランペレットはそれほど危険でない(弱い放射線しか出さない=放射能が弱い) 理由でしたね。 #4 では照射後の燃料の方に話が行ってしまいました。 仰っておられるように、U235(半減期7億年)とU238(半減期45億年)は、半減期が 長いので、多量存在しないと、人体に影響の出るほどの量の放射線を出さない(放射線の エネルギーのことではありません)、つまり放射能量が多くないと考えて良いと思います。
補足
ありがとうございました。ご回答をいただいたことを基にしてもう少し勉強したいと思います。 なお,本日から出張ですので,しばらくお返事できません。あしからずご了承ください。
> 1 半減期が長いからといって、放射能が弱い(放射能量が少ない)とは限りません。これは、 ウランに限ったことではありません。 放射能を一秒間に崩壊する放射性核種の個数(ベクレルという単位がそれです)で表わせば、 (放射性核種の個数)×{0.693/(秒単位の半減期)}となります。 従って、放射性核種の個数が同じなら、放射能は半減期が長ければ放射能の量は少なく、 半減期が短ければ多いということになります。逆に、放射能量が同じなら、半減期の長い 核種の数が多いということになります。 > 2 放射能の強弱を放射能量と読み替えて説明します。 核分裂生成物のことを言われているので、原子炉内で生成する放射性核種の割合にどの ようなものがあるか、それらの生成割合がどのようなものか、について述べます。 連鎖反応が熱中性子によって保たれている原子炉であるか、高速中性子によっているものか によって、多少違いはありますが、半減期が分オーダー以上の核分裂生成物としては80種 以上あり、その内、約半数は安定な核種です。生成して直ぐ崩壊するものも多数あります。 有名なのは、Cs-137、Sr-90、I-131、Kr-85等でしょうか。 これらの生成割合は、Sr-90近辺と、Cs-137近辺にピークを持つ曲線(核分裂収率曲線) で示されますが、このことは、これら核種の質量数の和と、核分裂時に同時に放出される 2~3個の中性子の質量を合わせるとU-235の質量数に近いことから頷けるでしょう。 > 3 U-235、U-238の崩壊を取り上げ、崩壊時に出る放射線との関係について述べてみます。 U-235→(α,γ)→Th-231→(β-,γ)→Pa-231→・・・・ U-238→(α,γ)→Th-234→(β-,γ)→Pa-234→・・・・ それぞれ上のような壊変を起こします。ご存知のように、原子核は陽子と中性子という核子 から成っていますが、陽子は正の電荷を持っているため、核が安定な状態で存在するのに、 陽子の数に応じた、電気的に中性の中性子によって薄められていると考えられています。 それだけではなく、核内の安定には核子(陽子と中性子のこと)間に働く核力も核の安定に 関係しており、陽子の数と中性子の数の組み合わせがある幅の中に入っている時に安定と なると考えられています。 従って、α崩壊が起こると、陽子数、中性子数が共に2だけ減り、多少中性子過多となり、 安定化のため中性子が電子を出して(この電子がβ線です)、陽子に変化するのです。 それでもなお、不安定な励起状態にあれば、γ線を出して安定化するのです。 因みにSr-90はγ線を出しません。
補足
お返事をくださった方,ありがとうございました。まとめてのお礼になってしまったことをお許しください。 さて,1の質問についてなのですが,仮にウランペレットを手で触ったところで弱い放射線しか出していないので,それほど危険ではない。しかし,原子炉で核分裂させた後のペレットは核分裂生成物を含んでおり,これらの生成物が強い放射線を出すので,危険であるという話です。核分裂前のウランペレットはそれほど危険でない(弱い放射線しか出さない=放射能が弱い)理由は何だろうと思ったことが質問の趣旨です。
- info22
- ベストアンサー率55% (2225/4034)
#1です。 3の補足です。 >余分なエネルギー分をガンマー線として放出する γ線以外に大きな熱エネルギーが出ます。 この熱エネルギーを利用するのが、原爆や原発です。
- info22
- ベストアンサー率55% (2225/4034)
参考URLをご覧ください。 放射線に関する用語や自然界の放射線の量、人体に対する放射線の影響の度合いについては次のURLをご覧下さい。 http://www.env.pref.kagoshima.jp/houshasen/kouhou/k18.html 1 放射能は強力です。ある程度集めれば連鎖反応がおきる濃度です。 天然のウラン鉱石では、ウラン238(99.3%)とウラン235(0.7%)と、 ごくわずかなウラン234という3種の同位体で存在します。 ウランペレットはウラン235(0.7%)のウラン鉱石の濃縮して3%~5%の 約4.3倍~7倍の濃度に濃縮したものです。 U238や劣化ウラン(天然ウランから原爆や原発燃料となるU235を除いたもの)でも、放射能ゼロではなく、1グラムあたりの放射線量は,天然ウラン2万5千ベクレルに対し劣化ウラン1万5千ベクレル(天然ウランの6割)の放射能を出します。劣化ウランを爆弾や戦車の砲弾に使った劣化ウラン弾を米軍が湾岸戦争、アフガニスタンやイラク戦争で大量に使った為、放射線障害や癌患者が沢山発生し、今後も発生し、遺伝的な影響も発生し続けます。まして、原爆にも使われる濃縮された高濃度のU235を含むウランペレットの放射能は超危険な放射能レベルといえます。 2 原子炉でウランペレットが燃焼したあとの発電生成物の核種の構成は、 核分裂生成物(約3~4%)、プルトニウム(約1%)、 ウラン235(約1%)、ウラン238(約94~95%)となります。 ウラン235(約1%)やプルトニウム(約1%)が含まれる燃え尽きた原発ペレットは天然ウランより濃度が高く、核分裂物質のプルトニウムを含んでいて放射能が強いですね。この燃え尽きた原発ペレットから核分裂生成物(約3~4%)を除く再処理して原発燃料に加工され、再利用されます。 U238と劣化ウラン(天然ウランからU235を取り除いたもので殆どがU238)の放射能の影響 www10.plala.or.jp/shosuzki/edit/ippnw/controv.htm 3 以下の参考URLをご覧下さい。 http://www.houshasen.tsuruga.fukui.jp/c0480982.html http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/shiroya-lb/ads.htm
補足
御回答いただきありがとうございました。また,補足をする順番が前後してしまい申し訳ありませんでした。出張が重なってしまったことと,御回答いただいた内容の理解に時間がかかったためです。 さて,参考URLや他の資料を使って私なりに勉強した結果,若干の疑問がありますので,教えてください。 原子炉に入れる前のウランペレットの表面線量率は0.04mSv/h程度であるという資料を見つけました。極めて低い値だと思います。何と比べるかにもよりますが,放射能は大したことがないように感じます。核分裂後は半減期の短い核種がたくさんできるので,発電前に比べて放射能が強くなることは他の方の回答を得て理解できました。 ところで,私の質問の内容からはそれてしまいますが,劣化ウランは新品のウランペレット以下,さらには天然ウラン以下の放射能しかもたないのに放射線障害が起こるのは何故なのでしょうか?(放射線以外の原因で障害が出るというなら分かります。) また,遺伝的影響が出るというのは本当でしょうか。被爆地である広島や長崎でガン患者が有意に多いという話は聞いたことがありませんし,遺伝的影響が出続けているという話も聞いたことがありません。 私の理解が不足している点について,新たなご示唆をいただけたら幸いでございます。
お礼
何度も御回答いただきありがとうございました。教えていただいたことを基に,勉強していきたいと思います。