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2010年4月改正刑事訴訟法について。
2010年4月改正刑事訴訟法について。 施行の時点で公訴時効が成立していないものについては適用されるとあったんですが、これは罪刑法定主義には反しないんですか? 時効も刑罰の一部と考えると、施行後の犯罪についてのみ適用するのが妥当なのではないですか?
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罪刑法定主義には反しません。 そもそも犯罪が成立していることを前提に、一定の事実状態が長期間継続したことを尊重して検察官の公訴権を消滅させるのが公訴時効であり、罪刑法定主義は問題になりません。 公訴時効を施行前の犯罪についても適用することについては、憲法39条の遡求処罰にあたらないかが問題になりますが、39条は実行の時に適法であった行為について、後に刑事上の責任を問われないというものであり、実際はさらに進んで、実行の時に定められた刑罰よりも重い刑罰を後に改正した場合に、その重い刑罰を科されることはないという趣旨も認められています。しかし、実行の時に犯罪にあたり、刑罰を加重するものでない時効をなくすということについては、憲法39条の射程の範囲外であり、憲法39条には違反しません。 問題となるのは、憲法31条です。31条は適正手続についての規定ですが、犯罪の実行時に時効が完成するという期待権があったのに、それを一方的にはく奪されるのは、適正手続に反するという考えです。これは理論的にはありえないわけではありません。しかし、はたして行為者は犯罪の実行時に、「あと何年で時効だから犯罪をしよう(やめよう)」などと思うか、そのような期待権がはたして法的保護に値するものなのかは、人それぞれの価値判断によるでしょう。少なくとも現行刑事訴訟法は、そのような期待権はないか、あっても保護に値しないと考えたようです。
お礼
なるほど…詳しく説明して下さり、とてもよく分かりました!条文を確認しておこうと思います。ありがとうございました^^