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ワイマール共和国の本について
ワイマール共和国の勉強をしようと思っています。 たまたま、林健太郎著「ワイマル共和国」(中公新書、1963年)を持っていますので、この本を読むつもりですが、初心者の者にとって、最初にこの読むのは、適当でしょうか。 教えてください。よろしくお願いします。
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林健太郎氏は、昭和を代表する歴史家・評論家の一人です。 専門は、近代ドイツ史・ドイツ外交史ですが、博識で他の分野でも活躍されていました。 多筆家であり、著書も多数だされました。自伝である林健太郎 著『昭和史と私』出版社: 文藝春秋 (2002/01)なんてのもあります。 その中でおそらく一番読まれている書が、お持ちの『ワイマル共和国―ヒトラーを出現させたもの』ですね。 文章力もある方なので、読んでて面白いと思いますよ。 結構突っ込んだ事も書いてありますし、私は一気に読みましたね。 ただ、感想としては、やはり「基礎知識」を下地として持っていないと「??」な部分があるかもしれません。 まぁ、そういった疑問を解決するために他の本に当たるって方向もありますね。(私はこのパターンです) つまり、『ワイマル共和国』→『世界の歴史 全30巻』(中央公論)→『ワイマル共和国』って感じでやっと理解しました。 『世界の歴史 全30巻』の他にも下記のような手軽に世界史の基礎が学べる本があるので、それらを図書館で借りて読むのも良いと思いますよ。 『世界各国史』 全28巻(山川出版社) 『岩波講座 世界歴史』旧版全31巻 新版全29巻(岩波書店) 『新版 概説ドイツ史(概説各国史シリーズ)』 (有斐閣選書) 『ドイツ近代史』ミネルバ書房 辺りなんかは入門書として手頃だと思いますよ。 いずれも、大学の史学科に入ったら1・2年の時に読むべしと言われる本ですね。 あ、もちろん全巻読めって言ってるわけではないですよ(笑) 該当する部分戦間期(第一次世界大戦終結~第二次世界大戦の間の時期)だけでも十分だと思います。 もちろん、その後のヒトラーの行く末を知るのも楽しいですけど。 最後に蛇足ですが、歴史(history)は物語(story)なので、本に書かれてあることが「真実だ」と思いこまないようにしましょう。(どちらもギリシア語のhistoria(=探求して学び・知って・書く)が語源です。) というのも、歴史学者に出来ることというのは、過去の断片である史料から物事を推理して書く事くらいですから。 つまり、例え専門書であっても「これは著者が採用した一説(仮説)に過ぎないんだ」ということは頭の片隅にでも置いておいてください。 というのも、林健太郎氏もやはり人の子であるので色々と批判されています。 特に、東京裁判について連合国側を支持したり、日本の戦争を侵略戦争だと決めつけているなどと言われることが多いですね。 かといって、林健太郎氏の研究成果が高く評価されているのは変わりありませんが。 ではでは、参考になれば幸いです。
お礼
早速、ご丁寧な回答をいただきましてありがとうございます。 林健太郎氏についての解説、彼の著書「ワイマル共和国」の読み方とその基礎的前提的な勉強の仕方、そして、ワイマール共和国関連の多数の参考文献、ありがとうございます。 「歴史(history)は物語(story)なので、本に書かれてあることが「真実だ」と思いこまないように」と「例え専門書であっても「これは著者が採用した一説(仮説)に過ぎない」というご教示は、私にとって、目から鱗が落ちるような、卓見だと思いました。 また、氏の東京裁判の評価のこと、日本の戦争の評価についても勉強になりました。 お教えいただいたことを踏まえ、まず、第一次世界大戦終結~第二次世界大戦の間の時期に関する、ご紹介いただいた文献を読み、その後、ワイマール共和国の勉強をしたいと思います。 本当に、貴重な時間をとって、教えていただきありがとうございました。 お返事が大変遅くなりまして、申し訳ありませんでした。昨日から、お礼入力の方法が分からなくて、時間がかかってしまいました。