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不法行為の時効3年と除斥期間20年の意味?

売買契約に関する瑕疵担保責任の損害賠償請求権の行使期間は、隠れたる瑕疵を発見してから1年の除斥期間、さらに時効は引渡しから10年というのは理解できます。つまり、権利発生時点を起算点とするのが除斥期間、権利行使が可能になった時点を起算点とするのが時効であるとすれば、よく分かります。 しかし、不法行為責任のそれは、民法724条規定によると、損害及び加害者を知ったときから3年の時効、および不法行為発生時から20年の除斥期間で消滅するとあります。不法行為責任と瑕疵担保責任を比較してみると、不法行責任の場合、3年が除斥期間、20年が時効と解釈できると思うのですが? 「瑕疵の存在を知る」時点、および「損害および加害者を知る」時点から、損害賠償請求権が発生する訳ですから、これは共に除斥期間の起算点と思うのですが?

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回答No.1

まず、消滅時効と除斥期間の違いをハッキリさせましょう。   ○消滅時効と除斥期間の違い   除斥期間には中断は認められない(但し異論が強い)。 除斥期間には原則として停止がない(但し停止を認めた判例もある)。 除斥期間は当事者が援用しなくても裁判所の職権によって権利消滅を判断できる。 除斥期間は権利発生時から期間が進行する(消滅時効は権利行使が可能となった時点から期間が進行する)。 除斥期間には遡及効果が認められない。   このような違いがあるので、除斥期間を消滅時効と同じ扱いにしたり、消滅時効を除斥期間と同じ扱いにしてはいけません。   民法で、瑕疵担保責任の損害賠償請求権の除斥期間と消滅時効が「こうなっている」からと言って、不法行為責任についても「こう解釈できる」と、勝手な解釈をしてはいけません。   除斥期間は除斥期間、消滅時効は消滅時効として、条文通りに運用せねばなりません。   例え、瑕疵担保責任と不法行為責任で統一性が無く、整合性が無いとしても「条文が最優先」です。   勝手に消滅時効と除斥期間を逆にしてしまうと「え~、これは時効の筈だぞ、中断を認めろ」とか「これは除斥期間の筈だから援用しなくても権利消滅してるだろ。援用しなかったからダメってのはおかしい」と、大騒ぎをする事になります。   >民法724条規定によると、損害及び加害者を知ったときから3年の時効、および不法行為発生時から20年の除斥期間で消滅するとあります。   権利の行使が可能になるのは「被害を知って、かつ、加害者を知ってから」です。   権利行使が可能となった時点から期間が進行するのが「消滅時効」なのですから、これば「消滅時効」で扱うべき期間です。   被害を知っても加害者が判らなければ、権利が発生していても行使が不可能ですから、期間は進行しません。   一方、権利は「被害を知らなくても、また、加害者を知らなくても、被害が発生した瞬間に発生」します。例え、権利を持つ者が「自分がその権利を持っていると知らなかった」としても「発生した」と言う事実は覆りません。   権利発生時から期間が進行するのが「除斥期間」なのですから、これは「除斥期間」で扱うべき期間です。   例えば、殺人事件の遺族が犯人に「民事で損害賠償請求」するケースを考えてみます。   事件発生から19年と9ヶ月で、執念の捜査で犯人が逮捕され、度重なる公判の末、19年と11ヶ月で「有罪判決が確定」したとします。   遺族が「殺された○○が生きていれば、生涯収入として1億2千万は収入があった筈」と、犯人に1億2千万の損害賠償請求をしたとします。   消滅時効は「殺人があったのを知り、かつ、被告人の有罪が確定し、被告人が加害者だと確定した瞬間」に期間が開始されます。それが「損害及び加害者を知ったとき」なのですから(判決前は「被告人が加害者なのかどうか判らない」のですから、判決確定前の時点では、遺族は「加害者を知る事」は出来ません)   一方、損害賠償を請求する権利は「殺された瞬間」に発生します。例え、請求する相手が誰か判らなくても。   「殺された瞬間」とは「不法行為発生時」の事なのですから、19年11ヶ月が経過しています。つまり「除斥期間が開始されてから19年11ヶ月が経過」しています。   まとめると「消滅時効は刑事での有罪判決が確定した瞬間にスタート」して「除斥期間は19年前に殺された瞬間にスタート」するのです。   これを逆に扱う事は出来ません。

yama1831
質問者

お礼

回答、ありがとうございました。 不法行為において、「損害を知って、かつ加害者を知って」から初めて加害者に請求できる訳だから、その時点を権利発生と捉えていました。そうではなく、この時点で権利行使が可能となる訳だから、これは除斥期間の起算点だということですね。一方、権利発生時点とは「被害を知らなくても、また、加害者を知らなくても、被害が発生した瞬間」に発生するというご説明にも納得しました。 また、瑕疵担保責任と不法行為責任で統一性が無く、整合性が無いとしても「条文が最優先」というコメントは、正に専門家のご意見だと感心しました。1年(除斥)を時間限定する10年(時効)、3年(除斥)を時間限定する20年(時効)と、単純に数学的に図式化しておりました。 ここ最近悩んでいたことが解決でき、ありがとうございました。

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