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消滅時効と除斥期間の関係
貸金の支払督促の債務名義を得ていますが、現在、行方不明の相手方からは、差押財産が見つからず、全く返済されていません。 この貸金に至るまでの経緯を同じくする別口の貸金を、詐欺の損害賠償請求で勝訴、確定判決を得ましたのでこれを証拠として、支払督促の債務名義の消滅時効10年の成立前に、時効中断を目的にして、詐欺による損害賠償請求の提訴を予定しています。 しかし、仮にこの提訴を繰り返して時効中断をしたとしても、20年の除斥期間満了の規定との競合の問題が出ると思います。 このような場合、時効中断と除斥期間満了のどちらが適用解釈されるのでしょうか。 除斥期間満了が適用される場合、何か他によい方法がありますでしょうか。 訴訟関係の手続きは、被害者本人が勉強しながら進めています。 なにとぞ、お力添えをお願いします。
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質問者が選んだベストアンサー
#2です。 なるほど・・・相手が行方不明なため欠席裁判で判決はすぐ手に入る状態なんですね。 >証拠を必要としない貸金 とはどういう意味でしょう。貸金債権の支払督促をしたのではないですか? 私が質問者さんの投稿を整理してみますので、確認してみていただけますか? 1.質問者さんは被告に金銭を貸した。(金銭消費貸借契約成立) 3分割ではなく、それぞれ別個の契約でしょうか?以下別個として考えます。(貸金債権1.2.3とする) 2.金銭を騙し取られたことに気づいた。 3.貸金債権1について支払督促手続をし、債務名義を得る。 4.一年後、貸金債権2.3についての請求はせず、民法709条に基づく損害賠償請求訴訟を起こした。 この訴訟で民法96条1項、120条2項で詐欺に基づく意思表示の取消権は行使されましたか? 5.勝訴し、確定判決の債務名義を得る。 >契約関係から発生した一般債権者が消滅時効の中断の方法で、20年を超えても権利の実現の可能性を持つのに比較して、少なくとも同程度に、法的保護を受けても不当とは思えない立場にあるはずの、不法行為による被害者は、除斥期間のためその権利実現の道を閉ざされるのは、均衡性を欠いた不当な判例としか思えません。 質問者さんが不法行為として損害賠償を請求されているのでそう御思いになるのは分かります。 しかし、私が疑問視しているのは、その金銭消費貸借契約が詐欺であるならば96条で取消し、金銭消費貸借契約は遡って無効(民法121条)となりますので、あとは民法703条の不当利得返還請求権を行使すればよいのではないのか?ということです。なぜなら、この不当利得返還請求権というのもまた一般債権ですので、時効は10年となり除斥期間はありません。ですから中断しつづけることが可能なのです。 こちらの法律構成のほうがすっきりしていて質問者さんに有利かと思われますが、何か特別な事情をお抱えでしたら余計なことですね。
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- businesslawyer
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NO2・3さんの回答及びそれに対する質問者の補足で私もよろしいかと思いますが、一点だけ念のために、詐欺による取消権を行使すれば、その金銭消費貸借契約は遡及的に無効となるので、相手に対して不当利得返還請求をすればよい、というところは何の異論も無いのですが、その「詐欺による取消権の行使」自体が、「追認できる時から5年(消滅時効)、または取り消しうる行為の時から20年(除斥期間)」で消滅してしまいます。特に、「追認できる時」、すなわち、「質問者が詐欺にあったことを知った時」から5年で消滅しますので、注意してください。
お礼
とてもご丁寧な回答を頂きまして、有難うございます。 本件貸金の取り消しができる期間をよく確認して、近いうちに、簡裁で公示送達(詐欺加害者が行方不明)による取り消しの意思表示を予定します。
- jewels
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貸金債権についての支払督促の債務名義と、不法行為に基づく損害賠償請求で得た確定判決の債務名義はそれぞれ債権が別ですので、中断するのも別個ではないでしょうか? 私も勉強不足かもしれませんが、損害賠償請求がどういった理由で貸金債権の時効中断になるのでしょうか・・・。 また、質問者さんがおっしゃっている除斥期間を問題にしている条文は民法724条後段のことでしょうか? この同条後段の規定は消滅時効説と除斥期間説の対立はありますが、そもそも、時効か除斥期間かの判断は通説ではそれぞれの権利の性質や規定の趣旨に照らして実質的に判断するとされていますので、No.1さんが言われたような振り分けではなかったともわれます。 判例は724条後段は除斥期間だといっていますが、批判がつよいです。そのひとつに3年の時効が中断されても20年で権利が消滅してしまうという質問者さんの疑問が含まれています。不当なんじゃないか?ってことですね。 具体的な方法ですが、債務者をはやくみつけるしかないですね・・・。見つけて強制施行かけるか、債務の承認をとるかではないでしょうか。
補足
No.1と2さん、有難うございます。 質問の中で説明が不足していますので、失礼ながらNo.1と2さんの解答欄に分けてします。 質問で、「経緯を同じくする別口の・・」とあるのは、合計3回の貸金を詐欺の被害であることの証拠集めに時間がかかることを予想して、3回の貸金のうちの一番多額の分を、証拠を必要としない貸金で、当面の権利確保のため支払督促の債務名義を取りました。 その一年後、詐欺の証拠を集め終えて、被告行方不明の公示送達の方法で「別口の貸金・・」である残りの貸金を詐欺の損害賠償として、勝訴判決を得たわけです。 支払督促手続は、実態審理がないので裁判ではなく書記官による処分で行われ、したがって既判力はないが執行力のみを与えた制度である、とされています。 その支払督促分を時効中断のため提訴しようとすると、貸金の理由や経過を同じくする他方の貸金が詐欺の損賠判決として既にあり、その判決文を証拠として提出し、その様にして3回の貸金全体が詐欺である以上、貸金を訴因とするほか、選択的あるいは予備的にそれを請求しなければならないので、その場合には民724除斥の問題が出てきます。
- businesslawyer
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貸金債権の消滅時効は、十年(民法167条)であり、判決で確定した権利の消滅時効も十年(民法174条の2)ですので、支払督促の債務名義の消滅時効も十年となります。そして、時効完成前に時効の中断を繰り返せば、時効は完成せず、いつまででも請求できると思われます。除斥期間との関係を心配されていますが、貸金債権の時効期間は十年とされていますが、除斥期間はどこかに条文上記載されているでしょうか?私が調べた限りではありませんが・・・。例えば、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は3年で、除斥期間は20年とされていますが、これは民法724条に明文で定められているからです。条文上、権利行使の期間制限をしている場合、「時効によりて・・・」とある場合は消滅時効期間であり、なければ除斥期間と解釈されていますが、債権の除斥期間が「20年」というのは、どこから出て来た事でしょうか?私は聞いた事がありませんが・・・?仮に、除斥期間が存在しているなら、その期間が過ぎてしまえば、請求は出来ない事になり、もはや請求する事は出来なくなると思われます。
補足
(続き)問題のひとつは、詐欺の損賠請求であれば、その除斥期間を最高裁判例で解釈する限り、No・2のjewelsさんの通り債権回収が不可能となりそう、他によい方法がなければ・・・ということです。 私には、この最高裁判例が一般債権者と不法行為被害者との間で均衡性を欠く不当なものに思え、どうにも理解できなかったので、他によい手がないか、皆さんのお知恵を借りたかったのです。 契約関係から発生した一般債権者が消滅時効の中断の方法で、20年を超えても権利の実現の可能性を持つのに比較して、少なくとも同程度に、法的保護を受けても不当とは思えない立場にあるはずの、不法行為による被害者は、除斥期間のためその権利実現の道を閉ざされるのは、均衡性を欠いた不当な判例としか思えません。 時効中断のための再提訴では、前述の別件の損賠判決のほかに本件の支払督促を証拠にして、貸金請求と損賠請求を選択的あるいは予備的に請求する方法も残されていて、それで貸金請求の判決を取ると、以後時効中断を繰り返していけばよい、ということでしょうか。
補足
証拠を必要としない貸金とは、詐欺被害立証を要する損賠請求訴訟ではなく、万が一の破産宣告の配当請求に備えて、一旦、貸金の形で貸金メモを基礎に迅速に支払督促手続きを、という意味でした。 不当利得返還請求権を視野に入れてはいなかったので、取消権を行使してはいません。 仰られるように、本件では703条を行使するのが至当かと思われ、強力な回答を承りました。