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肺胞の分圧較差
肺におけるCO2とO2の移動は肺胞と毛細血管の間における各物質の分圧較差によって生じるそうですが、分圧較差とはどんな意味・仕組みですか?教えてください。
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気体の分圧はわかるでしょうか。 大気中の酸素濃度は約21%なので、 大気圧を760mmHgとすれば、 酸素の分圧は、 21/100*760=160[mmHg] です。 大気は体温37℃ほどで吸入され、気管で水蒸気でほぼ飽和される。 この温度の水蒸気分圧は約47mmHgなので、 酸素分圧は、 21/100*(760-47)=150[mmHg] です。 これが、肺胞に入って静脈血とガス交換して、酸素分圧が下がり、二酸化炭素分圧は上がる。 静脈血の酸素分圧(静脈血の酸素濃度と平衡になる気体中の酸素分圧)は40mmHgしかないので、 はじめは、分圧差150-40=110[mmHg]が推進力となって、吸入気から静脈血へ酸素が移動する。 この差のことを「分圧較差」と言っているのです。 吸入気から静脈血に酸素が移動すれば、次第に静脈血の酸素分圧は上がり、吸入気の酸素分圧が下がって、肺胞の中では、酸素分圧は約100mmHg、静脈(動脈)血の酸素分圧も100mmHg近くなって平衡になり、ガスの移動が止まる。 二酸化炭素についても同様で、これは静脈血側から吸入気側へ移動する。吸入気の二酸化炭素分圧が低く静脈血の二酸化炭素分圧が高いからである。 何かが移動するには、必ず何かの較差があって、その較差を小さくする方向に移動する。 気体の移動の場合は、圧力(分圧)の差だし、溶液の溶質なら濃度差だし、熱なら温度差、電気は電位差、水が流れるのは高低差(ポテンシャル差)だ。これらの差がなければ、何も移動しない。自然現象、物理・化学の根本概念の1つだよ。