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OPアンプの2ポール補償について
OPアンプの2ポール補償について 「定本 OPアンプ回路の設計」を読んでいます。 この本には、OPアンプの2ポール補償として、 下図が掲載されています。 この説明に、 「第2の極より低周波では、C1,R1の分圧比が-20dB/dec の周波数特性を持つので、Ccの効き方は合計で-40dB/decのロールオフ を示します」 とあり, http://blogs.yahoo.co.jp/denshiyorimichi/50900979.html に示されているようなボード線図が説明に載っています。 Ccの効き方が合計で-40dB/decになる理由がわかりません。 なぜでしょうか?
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ANo.2 の回路での利得の周波数特性は添付図のようになります。 ロールオフ特性は、抵抗やコンデンサの値で変わるのですが、直流(ω = 0)では Vout/Vin = A0 なので、直流利得は外付けの素子(C6、C7、R5)に依らず一定です。この A0 はオペアンプの直流でのオープンループ利得に相当します。利得の式 Vout/Vin = A0*( 1 + j*ω*A )/{ 1- ω^2*B + j*ω*( C - ω^2*D ) } --- (1) を見ると、分子は ω の1次式、分母は3次式なので、ω が非常に大きいときに Vout/Vin → 0 となるローパスフィルタ的な特性になります。中間的な周波数ではどうかというと、ANo.2 に書いたように、A~D の値によって変わりますが、どのような特性になるかは、以下のように、周波数領域に分けて考えると理解できると思います。 式(1)の分子の複素数 1 + j*ω*A ですが、この絶対値が大きくなるのは 1/A << ω の場合で、それより低周波では 1 + j*ω*A を 1 と近似できます。その境界の周波数は fa = ω/( 2*π) = 1/( 2*π*A ) = 1.06MHz になります。 分母の実部 1- ω^2*B の絶対値は、 1/√( B ) < ω のとき急激に大きくなります。その境界の周波数は fb = 10.3kHz になります。 1- ω^2*B は ω の2乗に比例するので fb 以上の周波数では全体の特性に大きく影響しますが、fb 未満の周波数では 1 と近似できます。 分母の虚部 ω*( C - ω^2*D ) は √( C/D) < ω のとき急激に大きくなります。その境界の周波数は fc = 391kHz にります。この項は fc 以上の周波数では全体の特性に大きく影響しますが、それより低い周波数では ω*C と近似できます。 このように、定数の値が ANo.2 の式(2)の場合、式(1)の特性は3つの周波数 fb = 10.3kHz、fc = 391kHz、fa = 1.06MHz で区切られた4つの周波数領域に分けて考えることができます。このうち、 f < fc の周波数では f < fa なので 1 + j*ω*A ≒ 1 f < fc なので ω*( C - ω^2*D ) ≒ ω*C と近似できます。したがって式(1)は Vout/Vin ≒ A0/( 1 - ω^2*B + j*ω*C ) と簡略化できます。これは f < fb では Vout/Vin ≒ A0、fb < f < fc では Vout/Vin ≒ A0/( ω^2*B ) という -40 dB/dec で減衰する特性です。
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- inara1
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ANo.1 のURLの「2ポール位相補償」の部分の回路の周波数特性を計算してみると、確かに-40dB/dec のロールオフ特性となりますが、抵抗とコンデンサの値によっては、-20dB/dec になったり、低周波では -20dB/dec、高周波では -40dB/dec になることがあります。 2ポール位相補償回路の複素利得(伝達関数)は、添付図のように、各素子に流れる電流と電圧の関係(連立方程式)を解けば求められます。抵抗とコンデンサの記号はANo.1 のURLに書かれた回路と同じとしましたが、この C7 と R5 と C6 は、「定本 OPアンプ回路の設計」の C1 と R1 と Cc にそれぞれ対応します。 抵抗とコンデンサの値をANo.1 のURLと同じ R3 = 100kΩ、R4 = 1MΩ、R5 = 10kΩ C4 = C5 = 10pF、C6 = 1.5pF、C7 = 15pF gm3 = 10^(-4) S、gm4 = 10^(-2) S としたとき、添付図の式(1)の定数の値は A0 = 10^5、A = 1.65×10^(-7)、B = 2.38×10^(-10)、C = 1.13×10^(-5)、D = 1.88×10^(-18) --- (2) となります。これを使って利得の大きさ(Vout/Vin の絶対値)の周波数依存のグラフを描けば、-40dB/decのロールオフ特性を持つことが分かります。 定数の値が式(2)の場合、 10kHz~ 390kHzの周波数領域では、添付図の式(1)は Vout/Vin ≒ -A0/( ω^2*B ) と近似できます。これは周波数 f ( = ω/( 2*π) ) が 10倍 (decade) になると、利得が 1/100 (-40dB)になるので、-40dB/decのロールオフ特性になります。
- inara1
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そのボード線図の次のページ(http://blogs.yahoo.co.jp/denshiyorimichi/50905937.html)の「2ポール位相補償」と書かれた回路で計算すると、複素利得は Vout/Vin = A0*( 1 + j*ω*A )/{ 1- ω^2*B + j*ω*( C - ω^2*D ) } という形になります。かなり複雑な式なので、現在、回路シミュレーションの結果と比較しながら検証しているところです。今日は仕事で時間が取れないので、続きは明日以降でもいいでしょうか。
お礼
いつもお世話になってます。 ありがとうございます! いつでも時間のあるときで結構です。 何でも回答できるinara1さんはすごいですね
お礼
大変詳しい回答ありがとうございます! なるほど、抵抗や容量の値によって変化するのですね。 シミュレーションまでしてくださって大変助かっています 本当にありがとうございました これで解決致しました