- 締切済み
神経細胞モデルの一種HHモデルについての質問です。
神経細胞モデルの一種HHモデルについての質問です。 HHモデルにおいて電流Iは I=CdV/dt+Iion とキャパシタ電流とイオン電流の和で表され、さらにこれから CdV/dt=-(INa+IK+IL) となるとのことですが、このときなぜI=0としてよいのですか?
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
みんなの回答
- 瀬形 三四郎(@cellMinene)
- ベストアンサー率0% (0/0)
訂正です Im = INa + IK + IL ではなく、 Iion = INa + IK + IL です HodgkinとHuxleyの並列等価回路モデルは、電位の変化(各イオンチャネルの透過性の変化)によるNaイオン、Kイオンの移動と、常に開いていてイオンが漏れでいる分(リーク電流)の3つを想定しています。そのために、NaとK成分、および漏れ成分の3つを考えます。それらの運動をコンダクタンス(抵抗の逆数)という概念を用いて記述した4つの微分方程式と6つの関係式がH-Hモデル方程式です
- 瀬形 三四郎(@cellMinene)
- ベストアンサー率0% (0/0)
I=0となるのは、膜が静止電位にあるときです。 膜の等価回路モデルは、膜の内側から外側へ流れる全膜電流をIm、キャパシタを通る容量性電流をIcap、コンダクタンスを通るイオン性電流をIionとすると、 Im = Icap + Iion となります。このとき、Icap = C(dV/dt)、Iion = g(Vm - Eion)なので、 Im = C(dV/dt) + g(Vm - Eion) (1) となります。このとき、H-Hモデルでは、発生する電流を、電気依存性の可変性チャネルのNaコンダクタンス、Kコンダクタンス、そして定透過性チャネルを漏れ出るリーク電流成分の和で表わす並列等価回路モデルを考えるので、 Im = INa + IK + IL となります。このとき(1)の式について、Imが発生するのは、外部からの外向きの刺激(電流)が与えられたときで、定常状態ではIm=0であるとしています。これは、「NaイオンやKイオンも移動しているが、Naイオン性の内向き電流とKイオン性の外向き電流の量が釣り合っているので、和としては0」ということです。I-V特性曲線などで縦軸(電流)が0になるとき横軸(電位)はおよそ-60mV~-50mV(静止電位の値)ほどになっていることも参照して下さい。 実際、Im=0のとき、(1)から、 0 = C(dV/dt) + g(Vm-Eion) であり、静止電位では(定常状態なので微分成分は)dV/dt=0となることから、 0 = g(Vm -Eion) ⇒ Vm = Eion となり、膜電位Vm = 平衡電位Eionとなっており、実験値とモデルが近似すること、また、膜電位VmはEionに収束することが確認できます。 回りくどくなりましたが、「Im = 0としてよい」のではなく、外部からの刺激(外向き電流)がないとき、つまり静止電位にあるときは、「Im = 0となる」ということです。外部から外向き矩形電流などで刺激してやれば、Imは0でなくなり、(i)まずキャパシタを通る容量性電流Icapが発生し(すぐに減衰する。微分成分なので定常すると0)、(ii)次にコンダクタンスを通るイオン電流が発生する、(iii)このとき、NaコンダクタンスとKコンダクタンスの活性化に時間差があって、Naコンダクタンスが早く活性化するので、まずNa電流、そしてK電流が発生する、というのが、とても単純化したモデルです。(i)~(iii)の過程や、その後のNaの自己再生的過程、Naスパイク、Na不応期、そして再分極、後過分極などの過程は、より複雑なので、生物物理や電気生理の教科書の、イオンコンダクタンスや活動電位のところを参照してみて下さい。