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C3植物とC4植物の光合成機構の相違をある程度詳しく教えてください!
C3植物とC4植物の光合成機構の相違をある程度詳しく教えてください!
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- kagakusuki
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葉の葉脈の維管束は維管束鞘と呼ばれる1層の細胞層に取り囲まれています。 C3型植物の場合、この維管束鞘細胞の中に葉緑体が存在しないのに対して、C4型植物では維管束鞘細胞内にも葉緑体が多数存在しています。 又、C4型植物の場合、更に維管束鞘の外側を葉肉細胞が取り囲んでいて、その様子が花環の様である事からKranz(クランツ)構造と呼ばれる構造が見られますが、C3型植物には、その様な構造がありません。 C3型植物とC4型植物の双方共、光合成(炭酸同化作用)においては、カルビン・ベンソン回路と呼ばれる一連の化学反応によって、二酸化炭素と水から糖を合成しています。 C4型植物の最大の特徴は、葉肉細胞内でエネルギー(二酸化炭素1分子あたりATP2分子分)を消費して、ハッチ・スラック回路と呼ばれる一連の化学反応を行う事で、大気中には0.038%しか含まれていない二酸化炭素を濃縮してから、維管束鞘細胞内で行われるカルビン回路(C3型植物では葉肉細胞内で行われる)に送り込むという点です。 反応に使われる二酸化炭素(炭酸)の濃度を高める事で、化学反応の速度が速くなるため、C4型植物はC3型植物と比べて、二酸化炭素から糖を合成する速度が向上します。(2倍になると言う説もあります) 言うなれば、C3型植物は自然吸気エンジンで、C4型植物はスーパーチャージャー付エンジンと言った処です。 C4型植物の間にも、二酸化炭素を濃縮するための化学反応の経路の違いによって、NADP-ME型、NAD-ME型、PEP-CK型、等の数タイプに分かれています。 例えばNADP-ME(ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド燐酸-林檎酸酵素)型は、維管束鞘細胞から放出されたピルビン酸を原料にして、葉肉細胞内でATP(アデノシン三燐酸)がAMP(アデノシン一燐酸)に変わる際に生じるエネルギーと燐酸を利用して、ピルビン酸正燐酸ジキナーゼという酵素の働きで、ホスホエノールピルビン酸に変えます。 ホスホエノールピルビン酸はホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼという酵素の働きで、二酸化炭素と結合して燐酸を放出し、オキサロ酢酸に変わります。 この二酸化炭素が反応して最初に生じる物質が、オキサロ酢酸という、1分子中に炭素原子を4個持つ物質である事から、この様な光合成を行う植物の事をC4型植物と呼びます。 オキサロ酢酸は、林檎酸デヒドロゲナーゼという酵素の働きで、NADPH(還元型NADP)やヒドロニウムイオン(水素イオン)から水素を受け取って、林檎酸になり、NADPHはNADP+(ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド燐酸イオン)になります。 林檎酸は、拡散により葉肉細胞から維管束鞘細胞に移動し、そこで林檎酸酵素の働きで、林檎酸とNADP+が反応して、二酸化炭素を放出し、ピルビン酸とNADPHになると共に、二酸化炭素(炭酸)を放出します。 そして、ピルビン酸は拡散により葉肉細胞に移動して、再びホスホエノールピルビン酸の原料になります。 こうして維管束鞘細胞に濃縮された二酸化炭素は、リブロースビス燐酸カルボキシラーゼという酵素の働きで、カルビン・ベンソン回路を構成する物質の1つであるRuBP(リブロース-1,5-ビス燐酸)と反応して、2分子のPGA(3-ホスホグリセリン酸)となり、カルビン・ベンソン回路に入ります。 カルビン・ベンソン回路で、二酸化炭素が反応して最初に生じる物質が、PGAという、1分子中に炭素原子を3個持つ物質である事から、カルビン・ベンソン回路のみで光合成を行う植物の事をC3型植物と呼びます。 二酸化炭素と最初に反応する物質であるRuBPとホスホエノールピルビン酸を比べると、ホスホエノールピルビン酸の方が二酸化炭素と結合し易いため、ホスホエノールピルビン酸を使うC4植物の方が、より多くの二酸化炭素を集める事が出来るのです。 【参考URL】 光合成の森 > 光合成質問箱 > 光合成FAQ > Q3:C4型の光合成の特徴は何ですか? http://www.photosynthesis.jp/faq/faq3-3.html C4型光合成 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/C4%E5%9E%8B%E5%85%89%E5%90%88%E6%88%90 臨床化学への招待 > C4型光合成 http://kagaku.ukaru.info/610/620/640/ent5937.html C4 photosynthesis http://hwm5.gyao.ne.jp/y4c4c/