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熱硬化性樹脂の特性
熱硬化性樹脂(高分子)を規定の温度、時間を掛け硬化させた後 オーブンから樹脂を取り出し、冷まします。 その後、再度オーブンの中へ入れると(温度はガラス転移点以下)樹脂は結晶化するものですか? 樹脂の物性はどのように変化するんですか? それとも、変化しませんか?
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熱硬化性樹脂は結晶化しません。 ナイロンなどの結晶性高分子は、分子が鎖状であるため、ある部分で配列が規則的にそろい、結晶化します。 しかし、熱硬化性樹脂は分子が立体網目状(ジャングルジム状)になっていますので、結晶化することはありません。結晶化は、熱可塑性プラスチックに限られます。 で、一度硬化した熱硬化性樹脂をTg付近まで加熱すると、以下のことが起こります。 ○柔らかくなる。 ○柔らかくなったため、最初の硬化反応のときの局部的な残留応力が除去される(アニーリングと言います)。 ○残留硬化剤や残留モノマーの反応が進み、架橋密度が増加する。 で、これを室温にもどすと、冷えて固くなります。すると、元よりも架橋密度が高くなっているので、1次硬化直後よりも固さや弾性率が増加しています。 そんなわけで、分子構造が変わりますので、物性も少しずつ変化しますね。
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- shota_TK
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ガラス転移温度は、分子鎖のミクロブラウン運動が開始(昇温時)する温度ですね。Tg以上では、プラスチックはエントロピー弾性を示すので、熱力学的には液体と考えていいことになります。 液体の場合、分子は自分の都合のいいところに移動しますから、安定な平衡状態と考えてよいことになります。しかし、これがガラス状になって(分子が拘束され)、エネルギー弾性を示すようになると、熱力学的には不安定になります。 よって、Tgというのは、非平衡状態から平衡状態へ変化する温度、と考えることができます。 さて、温度を上げると(Tg以下であっても)分子は移動しやすくなり、熱力学的により安定な位置に移動しようとします。これにより、少しずつ非平衡状態が緩和され、より安定な平衡状態に変化します。このため、「非平衡→平衡」の変化が起こりにくくなり、Tgは増加します。 よって、架橋密度が増加することがなくても、Tgが増加するのは十分考えられる現象で、実際にそういうことはよく起きます。ただ、Tg-30℃で起こった、というのはちょっと低すぎるような気もします。ごく一般的には、Tg-30℃程度の加熱であれば、Tgの増加は最大でも5℃程度と推測されます。 それと、2回、3回でTgが上がる、という現象は、そのたびに熱力学的により安定な位置に分子が移動している、ということです。これは、低い温度で加熱するほど、回数が多くなります。恐らく、Tg+10℃ぐらいで加熱すると、2回目以降はTgの増加は観察されないと予想されます。
補足
早速の回答ありがとうございます! 熱硬化性樹脂を熱硬化させた後、常温に戻し更に熱処理を 加えると残った反応基が反応しさらに硬くなったり 弾性率が増加するということでしたが、 実際、実験してみると弾性率は上がらずガラス転移点だけ 上がりました。 ガラス転移点-30℃で熱処理を行っています。 時間を5、10、15時間と変えてもガラス転移点に変化はありませんが ガラス転移点-30℃、5時間の熱処理後、冷ますという作業を2回、3回と増やすとガラス転移点が徐々に上がります。 これは、熱硬化性樹脂のどんな物性が関わってこのような 結果になるんですか?