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疑問が多い長野県辰野町のホタル保護条例: ゲンジボタル天然記念物生息地にもたらされた他地域ゲンジをめぐって
ホタルを無許可で捕獲した場合に罰金を科すという,新たなホタル保護条例が,本年(2009)12月15日に長野県辰野町議会で可決された。 http://www3.nhk.or.jp/news/k10014434741000.html 現保護条例 http://www.town.tatsuno.nagano.jp/sc/syoukou/original/matsuri/hogo.htm もそうだが,問いたい点は二つある。 *1 町民、滞在者、旅行者及び町内で事業活動を行うすべての者(第1条)が,町内全域において(第5条),ホタル採集禁止となっている。 しかし,観光客が見に来る松尾峡のゲンジを始め,この町にしか生息しない希少なホタルというのは存在しない。にもかかわらず,町に入ったとたん全面採集禁止(正確には,新条例では,町長の許可無く採集禁止)だという。 天然記念物生息地「松尾峡」以外でも,町のどこでも,子供の昆虫採集用のホタル採集すら自由にできない条例となっている。 http://www.news.janjan.jp/area/0912/0912174479/1.php しかし,この町内で,少なくとも昭和40年代以前には自由にホタルを採る子供たち(私も含め)を見かけた。それでも,ホタル採集の結果,ホタルが年々減ってきた,ということを見聞きしたことはない。それなのに,今は一律採集禁止だ,というのである。 皆さんは,どう思われるだろうか? *2 条例では,「採るな」とは言うが,「他から持って来て放流するな」とは言わない。 しかし,ここ辰野町では,他地域ホタルは地元ホタルに対し脅威となっている。 しかし,それを防ぐような条例になっていないのである。特に辰野を含むフォッサマグナ地域のホタルは,いわゆる西日本型や東日本型ホタルに比べ分布域が狭い。そのため,この地域には,他県の業者や愛好家から容易にタイプの異なるゲンジが入ってきやすい。 町内で採れないからと,他地域で採ってきて,飼育できない,あるいは死ぬとかわいそうだからと逃がしてしまったら,あらたな移入ホタル問題が生じることとなる。また,町内全域で手軽に増やそうとすれば,採集禁止の町内ホタルではなく,他地域ホタルを入れなければならないという皮肉な結果を生む。 「ホタル保護」と銘打って厳しい条例を作成するならば,ホタル研究者の意見を取り入れた学術的考慮がなされた条例を作るべきではないか。
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ANO2です。 「辰野町環境基本条例」のチェックを怠ったため的外れな回答をしてしまい、大変失礼しました。 仰る通り大元の「環境基本条例の理念」に基づき制定されたホタル保護条例としてはおおざっぱすぎると言うか、目的がずれていますね。 財政難の折、町として観光の目玉にしたい気持ちもよくわかりますが、本末転倒なことをしているように思います。 条例がなくとも、ホタルで町おこしを狙っているところは少なくないので、「地元産」を強調する地域が現れたら、「(偽装)ほたるの里」の観光資源としての価値はなくなってしまいますね。(ニュースのネタにはちょうどよいかもしれませんが) 地元マスメディアなどにも積極的に発信し、町民に「自分たちの持っている観光資源の価値がどこにあるのか」ということをよく理解してもらうのが一番だと思います。 質問者様には不本意かもしれませんが、学術的な意見は「小難しいことは判らん」と聞いてもらえないと思います。 が、お金がらみの話になれば、もっと聴いてくれるはずです。 観光資源の生かし方、他地域との競合において生き残りに必要な辰野町のセールスポイント、「本家」ホタル保護条例制定自治体としてあるべき姿勢、それらに投入する税金のあり方、あるいは必要な工事などなど、住民や納税者、観光で生活されている方々には無視できない話しと思います。 既にやってしまったムダ若しくは害悪な工事に関しては大変な批判が出るので、行政が間違いを認めることは簡単ではありませんが、行政の失敗を素直に認め、反省、修正していくことは評価してよいと思います。人のすることですから100%の成功率なんてあり得ません。町長の勇気と町議会の建設的な議論が望まれます。 「反省して方向転換し、本気で行きます」なんて話しは今の時代だからこそ言えると思うんですけどね。これも時機を逸してしまえば徐々に言いづらくなってしまうし。 ムダな工事に関与した土建業者も、「環境に配慮した工事」に参入して挽回する機会が得られます。町で設計した通りに工事しただけなので、税金の無駄使いの矛先とすべきではありません。 ・・・・まあ、いろいろ批判はあると思いますが、モノは言い様なのです。 町外のNPOがしゃしゃり出て保護を叫べば、町は逆に意固地になってしまい、手遅れになるかもしれません。 なので、地道に町や議会、住民の意識改革をし、「町の断固たる意思として松尾峡のホタルを保護する」方向にもって行くべきだと思います。 それを踏まえて町内NPOや町内外のボランティアを育成します。 根気のいる話しですが、こればかりは性急にやって成功するものではありません。 町内メディアに活動が取り上げられたら最初のゴールを通過したと思って良いでしょう。 地方メディアは地元経済や政界に繋がってますから、なかなか難しいですよ。 怖いのは全国紙やタブロイド紙、週刊誌などに『創られた「ほたるの里」』なんて見出しが出ることです。 長年かけて育成したホタル観光も瞬殺されてしまうでしょう。 ちなみに、私はプロフィールに書いていませんが、山口県の出身です。 ど田舎なことが幸いし、下関以外にも県内各地でホタルの幼虫保護、育成、放流活動が行われています。 私は大手メディアへ情報提供する様なまねは誓ってやりません。 しかし、インターネットの片隅とはいえ、このサイトは比較的大手メディアの目に留まりやすいところと言えます。 他所のホタル観光関係者も目にされるかも知れません。 今回限りの話しではなく、検索結果の上位として永く人目につく可能性もあります。 時間との戦いでもあります。
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>あなたも役所の方? 辰野町には縁もゆかりもありませんが、役所に勤めています。(笑) 今や自治体(役所)同士も競争が厳しいので、のんきな事はやっていられませんね。 でも、傍からみていて、のんびりした自治体がまだまだ多いとも感じます。 財政難の折、教育や医療・福祉、景気対策としての土建など、限られた予算をどこに振り分けるかは国も自治体も悩むところです。 目先の生活が暗く不安定な時代ですから、ホタルの将来性云々いってる余裕などない時代です。 住民、納税者、町長、議員を説得するのはかなり困難な事だと思います。 希少生物の保護は観光資源であるとともに環境対策の重要課題だと思いますが、今はそれだけでは説得材料として弱いかもしれません。 最悪、絶滅してしまっても、遺伝子をある程度確保しておけば、時間をかければ復活できるかもしれません。 しかし、木曽馬のような事態に陥らぬよう、今しっかり取り組んでおいた方が良いような気がします。 幼虫の育成、放流なんて、理科の授業にもってこいだと思いますけどね。 税金を使わない、あるいは効率の良い使い方など、考えれば何とかなりそうだけど。 自分達でアイデアが浮かばなければ、それを小中学生に提案してもらうとか、、。 それも教育の一環として悪くない話だと思いますけどね。 木曽馬のニュース↓ http://mainichi.jp/select/today/news/20091231k0000e040002000c.html
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>絶滅してしまっても、遺伝子をある程度確保しておけば そのとおりです。 ですから、辰野町役場には、在来ホタルを区別して保護を、と提案しているのですが、「そういうことをするつもりはありません」ときっぱり断られています。 役場は、町民に対して、自分たちの住んでいる場所のホタル保護を呼びかけていて、町民も「ホタル取るな!環境壊すな!」と監視している方々もいます。それ自体は結構なことですが、移入と在来区別しなければ、移入の繁殖、在来の減少に手を貸すことになります。 私たちが、そのような保護をしている住民に説明しても、「俺たちには専門的なことは分からない。役場に促されてやっている」と言われると、返す言葉がありません。 本来は役場が在来種を守るような保護のあり方を伝えないといけないのですが・・。 役場の人たちには、「自分たちは地元のホタルを守り、復活させてきた」という意識が強いんですね。もちろん、本当は移入養殖で増えたのですが・・・
*2 条例では、 |(前文) |昭和60年4月には「げんじ蛍」が町の特別シンボルに選定 |辰野町はホタルを生かした町づくりに努め |ホタルの保護をとおして、恵まれた自然を保全し後世に引き継ぐため、 |この条例を制定する。 | |(目的) |ホタルと人との触れ合える自然環境を保全し |「ほたるの里・辰野町」実現に寄与することを目的とする となってますね。「ほたる」であればゲンジもヘイケもよその蛍も すべて保護の対象となっています。 そもそも条例が 「辰野町はほたるの里実現に向けてがんばろー」 という趣旨なので、よその蛍が流入することは、 町としては、むしろ歓迎すべきことのようにも思います。 行政(役場)は条例の目的に従って動いています。 目的外の事業をすることによって条例の目的から逸脱しては 本末転倒でしょう。 松尾峡の蛍が学術的に貴重で保護すべき、というのであれば、 そのような条例を作るしかありません。 訴える先は町長や町議会、地域住民だと思います。
お礼
iD3n77Dさん、ありがとう。 >行政(役場)は条例の目的に従って動いています。 全く同感です。 辰野町は、平成10年に条例第1号「辰野町環境基本条例」 http://www.town.tatsuno.nagano.jp/reiki/reiki_honbun/ae74403491.html を定め、それを基にして、平成15年 に条例第6号「辰野町ホタル保護条例」 http://www.town.tatsuno.nagano.jp/reiki/reiki_honbun/ae74405011.html が成立しました。 iD3n77Dさんが挙げた、ホタル保護条例の前文に、 「辰野町環境基本条例の理念に基づき」 この条例を制定すると書かれています。 前者、第7条に「生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存」が書かれています。それにも関わらず、移入(外来養殖)ホタルが地元(天然、野生)ホタルに与える悪影響を無視しているのは、役場が条例の制定趣旨に従っていないことを意味します。 iD3n77Dさんの指摘は重要です。 町内でさえ案外知られてない(理解してない?)ことですが、ホタル保護条例が、単なる町おこしとか、ほたるの里実現に向けて、というスローガン的なことだけで制定されたのではありません。 国(あるいは国際的な)レベルでも、1990年代から「生物多様性、あるいは在来種保護」の重要性が強調されました。日本は、1993年に生物多様性条約締約、95年(平成7年)に「生物多様性国家戦略」が閣議決定されました。このような生物多様性保護イコール重要な環境問題という国内外の認識と、辰野町環境基本条例、それに続くホタル保護条例の制定は無関係ではありません。 「生物多様性の保護」を求める環境基本条例の理念に沿ったホタル保護条例という、全国的にも珍しい(遵守されれば、世界的にも誇れる!)ホタル保護条例なのです。 >よその蛍が流入することは、町としては、むしろ歓迎すべきことのようにも思います。 上述のように、「辰野町環境基本条例」を前提に考える限り、歓迎すべきことではありません。
補足
iD3n77Dさん、 >「ほたる」であればゲンジもヘイケもすべて保護の対象 全くその通りです。 しかし、町役場は、観光に役立つゲンジ保護優先で、その他のホタル生息地は簡単に潰してきたのが真実です。 実際、松尾峡でも、事前の生態調査をせずにヘイケ住む水田を「さら地(荒地?)」や観光客用駐車場にしたり、 あるいは、クロマドボタルが這う道を、その生息調査もせずに、立派に?(ホタルにとっては迷惑に!)舗装しています。 また、町のホームページ http://www.town.tatsuno.nagano.jp/tatsunosypher/www/info/detail.jsp?id=1150 を見ても分かるように、 町役場は移入の経緯を公表せず、地元産を増やしてきたかのように装ってきました。 滋賀県立大学の学生が,ホタルで町おこしに関する取材をした際も,指導教授にも学生にも,移入の件は全く伝えられず,卒論を書き公表した後に,研究者から指摘され,公表後の卒論に追加コメントを書くこととなりました。 http://csspcat8.ses.usp.ac.jp/lab/ideken/sotsuron/pdf/08fukujin/08fukujin_6.pdf のp73の(注)が後から付けられた。 昆虫写真家の海野和男氏が辰野を訪れた際も, 「後で確認したところ、ここで見られるホタルは全てここで育ったものだそうだ」 http://eco.goo.ne.jp/nature/unno/diary/200310/1065185947.html と,移入放流の事実は全く知らされなかったようです。 >訴える先は町長や町議会、地域住民 町民には、折に触れて、一人一人直接知らせています。県外あちこちから移入したという事実を知らなかった(年配の人でさえ知らなかった)というケースがほとんどです。 町長には、調査結果と対策を求めたメールを送りましたが、無回答(無視?)です。
1に関しては毎年放流してる。自然に増えてるのではない「。 2は辰野町に進言したらいい。
お礼
ありがとうございます。 2に関して,ホタル研究者の意見を取り入れるよう辰野町役場に何度も進言しています。しかし,全く無視されています。
お礼
貴重なご指摘ありがとうございます。 私も含め多くのホタル研究者は、決して学術的な問題ばかり問いかけているわけではありません。ホタルを見ることが好きであり、多くの人たちに楽しんでもらいたいとも思っています。 辰野の場合も、移入してしまったホタルは仕方ない、でも何とか在来ホタルへの影響を食い止めてほしいと提言しているのです。 例えば、町内一律にホタルを保護せずに、在来は在来として保護してほしい、移入ホタルのさらなる増殖は控えてほしい、移入と在来の生息地を分断するような保護政策を実施してほしい、など繰り返し提言しています。決して、観光用移入ホタルをゼロにしろとか、それをホタル祭りに使うなとか言っているわけではありません。 移入ホタルの悪影響が明らかになった以上、その拡大を少しでも遅らせて、在来ホタルの生息地が少しでも多く保たれるように考えてほしいと言っているのです。 しかし、いずれの提言も、ことごとく退けられています。そのような保護策を実施するつもりは全くない、と辰野町役場言うのです。町内各地のホタルが移入ホタルの影響を受けているか調査するつもりもない、と言います。 このように町役場が頑固なのは、前に述べたとおり、「熱心な保護の結果、地元のホタルを回復させた」と、ずっと宣伝してきたことが最大の理由です。そのことを、役場(たぶん町長も含め)が代々数十年に渡り、町の「売り」にしてきたからなのです。ここが最大のネックになっています。 最初の移入養殖が1960年代前半です。それに携わった人々は、すでに高齢となっています。その人たちも、多くのホタルを多くの観光客に楽しんでもらえたらという気持ちから、移入養殖を実施したのだと思います。本当は、そういう人々が元気のうちに、対策を一緒に議論して頂けたら、と思っている次第です。 >町や議会、住民の意識改革 仰るとおりです。この件では、県天然記念物の管理を担当する県教育委員会にも意見を求めました。「町の内部から意識が変われば、こちら(県教育委員会)からも後押しできるが・・」という回答でした。町内NPO、まさにそのようなグループが町内に現れれば、とも言っていました。(ひょっとして、iD3n77Dさん、あなたも役所の方?) >時間との戦い 全くそのとおりと痛感しています。