>売買契約の場合に完全履行請求として修補請求は出来るものなのでしょうか?
>不動産の売買契約において債務者に過失がある不完全履行(後発的瑕疵)場合の買主の追完請求なのですが、
修補請求できると思いますが。。
>法は売主には修補能力がないと考えているみたいですので(∵売買の瑕疵担保では、請負の場合と異なり修補義務が課されていない)、
一般的に売主に「能力がない」かどうかを法が決めつけているとは思えません。「能力がない」売主でも業者にでも頼めばよいですよね。
修補請求を認めないとする必要性はなんでしょう?
570条で修補請求が定められていない点についてですが、
法定責任説に立ってお考えになるならば、570条は、原始的一部不能(契約締結時に目的物に瑕疵がある状態)な債務の履行が現状引渡しで足りる以上、そのような場合に有償契約における等価的均衡を維持するために瑕疵担保責任を認めるのですから、そもそも、修補して完全な物を給付しろという請求権は観念しえないですよね。
とすれば、瑕疵担保責任において瑕疵修補請求や代物請求が認められないのは、「売主に修補能力がないことではなく、完全履行請求を観念しえないことがその根拠というべきでしょう。
そして、黙字の品質保証特約などを認定して瑕疵修補請求を認めるのは、買主が他の業者に修補させて代金額を損害賠償として請求するのは迂遠であって、当事者の合理的意思からすれば売主にその「能力がある」なら請求を認める旨の合意があったと解釈するのが便宜だからでしょう。但し「能力がある」ことはたしかに「一般化できない」ので、例外的な場合にのみこれを認めるべきでしょう。
この点においてのみ「能力」の有無が問題になるのではないでしょうか?
補足
いつも懇切丁寧かつ論旨明瞭な回答を有難うございます。 >>一般的に売主に「能力がない」かどうかを法が決めつけているとは >>思えません。「能力がない」売主でも業者にでも頼めばよいですよ >>ね。 >>修補請求を認めないとする必要性はなんでしょう? 瑕疵担保責任では、明治の頃は、建物を建築する際には、請負が一般的 であって、売買というのは中古の建物であり、売主も買主も素人であっ たみたいですね。 そのため、売主も買主も修補する建設業者を探す点では、同じ程度の知 識しかなく、買主に修繕費用相当額の損害賠償をして、買主は業者に修 繕を依頼するとういことだったみたいです。 (これはあまり有名な話ではないのでしょうか?) 現在でもこれを維持する必要性はないと思うのですが、判例は危険負担 の債権者主義のように、基本的に条文に忠実ですので、570条をその まま適用しているようです。 (但し黙示の特約によって妥当な結論を導いている) 債務不履行責任における追完請求の場合でも、570条が売主には修補 の能力がないとして修補請求を認めていないのであれば、債務不履行で あっても認めないとしないと整合性に欠けるように思いました。 >>570条で修補請求が定められていない点についてですが、法定責任 >>説に立ってお考えになるならば、570条は、原始的一部不能(契約締 >>結時に目的物に瑕疵がある状態)な債務の履行が現状引渡しで足り >>る以上、そのような場合に有償契約における等価的均衡を維持する >>ために瑕疵担保責任を認めるのですから、そもそも、修補して完全 >>な物を給付しろという請求権は観念しえないですよね。 >>とすれば、瑕疵担保責任において瑕疵修補請求や代物請求が認めら >>れないのは、「売主に修補能力がないことではなく、完全履行請求 >>を観念しえないことがその根拠というべきでしょう。 請負の瑕疵担保責任の場合に、修補請求を認めていることをどのように 説明したらよいでしょうか? 請負の瑕疵担保責任は、売主の担保責任と特則であると同時に債務不履 行の特則であるとして、瑕疵については債務不履行としての追完請求と しての修補請求を認めると考えればよいのでしょうか?