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格助詞を&に と動詞触るの関係
日本語を教えています。 ふと、古い参考書を読んでいると コップにさわる という例文がありました。この「さわる」を使えば コップをさわる という文もできます。 この時の二つの文の違いが判らないのです。 他の例が思いつかず、「触れる」で考えれば、コップに触れる はあっても コップを触れる はない。 なぜ さわる だけ???? 簡単なことかもしれませんが、考えるともう今は夜も眠れず、コップをさわることもできません。いえ、コップにさわることもできない???? さわる、ふれる、どう違う??? お願いします。 もう少しでこの格助詞の授業に入ります。 焦っています。’
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おはようございます。 あまり詳しくないのですが、辞書にあたってみました。 > コップに触れる > > コップを触れる ふれる 〈自動詞〉ある物事【に】じかに接する。また、じかに接して影響を受ける。 「コップに触れる」「異文化に触れる」「温かい人柄に触れる」 〈他動詞〉手・指などの体の部分【を】他のものに軽く接触させる。 「肌を触れる」「手を机に触れる」「杯に口を触れる」「展示品には手を触れないでください」 おそらく、他動詞として使う場合、「体以外のもの」の場合に違和感を覚えるのではないでしょうか。 他動詞:BにAを触れる 自動詞:BがAに触れる (参考)〈他動詞〉人々に広く知らせる。という意味で「悪口を触れて歩く」 本来は、自動詞なら「に」、他動詞なら「を」で受けるとなっていますが、意味が似ている場合などに「に」と「を」の両方で受けてしまうことがあるようです。 > コップにさわる > > コップをさわる さわる 〈自動詞〉あるもの【に】手など‘を’ふれる。 「コップにさわる」「額にさわると熱がある」「しばらくカメラにさわらなかったせいか、手ぶれがひどい」 岩波国語辞典には、「触れる」との混同から、「壁をさわる」のような他動詞的用法もあらわれはじめた。 とあります。上の例文でも「カメラをさわる」ともいえそうに思えてしまいますが、ゆれが生じているということでしょうか。本来の用法では「コップにさわる」が正しいとされていたけれど、今では「を」も定着してきていると言ってよさそうですね。
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- 日比野 暉彦(@bragelonne)
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こんにちは。 ★ 格助詞を&に ☆ ヲ格もニ格も 話し手がものごとを対象として取り上げるとき 対象(あるいは客体もしくは賓客)として示しますよということを示す格です。賓格と言うとよいと考えます。 ヲ格は 賓格の基本です。第一次賓格であり それは 対象を素直に全体としておのれのいま相い対するものとして捉える場合に用います。対格あるいは目的格などとも言います。 ( a ) 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣‐ヲ (古事記歌謡・1) 二格は ヲ格の特殊形態に使います。全体に対する特殊。これは 一般に 具体的にしてしばしば一点集中的です。与格と言います。 ( b ) ( a )の内の 妻籠み‐ニ (=妻をこもらせるために / (別解)妻とともに) つまり 《妻籠み》という客体を 特殊に具体的にその一点に集中して取り上げますよというしるしが 二格だと考えます。 ( c ) 賓格:《妻籠みなる八重垣》‐ヲ 与格:《妻籠み》‐ニ 一般に ヲ格は他動詞の賓格(対格)として 次の用法があります。 ( d ) 八重垣〔‐ヲ〕つくる この八重垣を賓客としつつ 具体的な何らかの情況や行為を思い浮かべるときには たとえばそこに誰が住むかという表現として 二格を用います。 ( e ) 八重垣‐ニ 誰が住むか。 けれども このときにも対象(ここでは 八重垣)をやはり全体として相い対するものと――主観的に――捉えるなら こう表現するでしょう。 ( f ) 八重垣‐ヲ つくる。 / 買い取る。 / 奪う。 / 独り占めする。 ( g ) ??? 八重垣‐ヲ 住む。 * なお 【Q:「は」 と 「が」】 http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa5277320.html へのわたしの回答(=そのNo.7)を参照してください。以下に引用しておきます。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (α) A‐ハ B‐ガ C‐ナリ。 / C‐スル。 ☆ これを 基本文型とします。 文は 問答として成ります。問い(主題)と答え(論述= C )です。 問いは 一般に 二つの主題( A および B )によって発します。 A: 第一中心主題 B: 関係第二主題(関係というのは 中心主題 A に関係するとの意) C: 論述主題(つまり 主題に対する論述) ○ わたし‐ハ 名‐ガ ヤハウェー‐なり。 ○ われ‐ハ 心‐ガ すがすがし。 ここで 基本文型(α)は さまざまに内発的な展開を起こします。 特に 第二主題 B が 細かく具体的な主題を提示することになります。 B ‐ → B1・B2・・・Bn: 関係第二主題からの派生 B 1‐ノ: B‐ガのガ格にもその用法がある属格 B 2‐ヨ / ヤ: 第一主題を呼び掛けの対象とする呼格 B 3‐ヲ: 論述の述語動詞に対してその賓格を表わす。また対格。 B 4‐ニ: 同じく 賓格のうちの与格を表わす。 B 5‐ヘ: 同じく 方向格。 B 6‐カラ: 同じく 起点を表わす起点格 B 7‐ニテ / デ: 所格 B 8‐ユヱ: 原因格 ・・・ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お礼
ご丁寧にありがとうございます。 やはり古文が大切だと教えられました。言葉の大切さを知っていた古代の人々が大切に育んだ言葉の重要性を忘れてはいけないと思いました。そしてその言葉を、色々な意味で改善しできた言葉も、大切でいつかは古典になるのでしょうか。 言葉を愛する皆様からの返答に感動しています。
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こんばんは。 ご丁寧なお返事ありがとうございます。 あと少し、私なりに大切だと感じたことを挙げておきます。 > ・「地図に頼る」 > 「B(何)を」が表に現れていなくても、 > 地図にそこへの行き方を頼る、というニュアンス。 > ********* > 「地図に~」のように、「に」格の現れる文脈では、 > たとえ「を」格が隠されていても、 > 必ず何かをその対象に求める行為である。 「何かを~する」行為を予測させない例では「地図に」のような“物”相手の「に格」はあらわれない。以下 助詞・助動詞の辞典より ・「息子を頼る」 ・「息子に頼る」 のように「に」と「を」が競合するのは、対人関係をあらわす表現に限られるようです。 時や場所にかかわる言い方ではゆれは生じないとなっています。 ・弟―に行かせる/を行かせる ・妻―に働かせる/を働かせる ・息子―に(生活を)頼る/を頼る ・学生―に(数学を)教える/を教える しかし、「を格」の名詞が述語他動詞の行為の対象でしかない場合は、次のようにゆれは起こらないみたいです。 ・仲間 を 呼ぶ ・友達 を 招く ・生徒 を 叱る ・親 を 敬う ・皆 を 招待する 「に格」の成り立つのは以下の場合。 ○「せる/させる」の使役行為 ○「AにBを他動詞」(息子に生活を頼る) * 「学生に数学を教える」は、教える対象の学科があるから「~に~をV」文型が可能。 * 教える対象を意識しない「~を教える」では、「人の子を教える立場」のように、訓育・教導を指し、特定の事柄を教授する「誰かに何かを」ではないため、「猿に芸を教える」ことはできても、「猿を教える」ことはできない。 ・困難―を克服する(他)/に打ち勝つ(自) ・痛み―を訴える(他)/腕力に訴える(他) ※ 「腕力に」は“によって”の意味の「に」 では失礼いたします。
お礼
Lyric様、 本当にありがとうございます。 素晴らしい。こんなに詳しく情報を下さり、なんと御礼を申してよいかわかりません。 こんな可愛い小さな助詞たちが、実は手ごわいというのを感じておりましたが、皆様からのお答えで、やっぱり可愛く思えてきました。 まるで、夜空にところどころ光っている星、冷や麦の中のピンクの一本(ちょっと格が違うかも)のように思います。 でも、もしかすると一粒でも辛くなる唐辛子か山椒かな? 言葉の面白さを伝えていきたいと思います。 ありがとうございました。
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こんにちは。No.1、2です。 ご質問を一つ見落としていました。 > コップにさわる > という例文がありました。この「さわる」を使えば > コップをさわる > という文もできます。 > > この時の二つの文の違いが判らないのです。 「腫物をさわる/腫物にさわる」 「手をふれる/手にふれる」 『助詞・助動詞の辞典 東京堂出版』によれば、一言でいうと「意志/非意志の差」となっています。 つまり、前者「腫物をさわる」「手をふれる」は自らの意志によって、後者「腫物にさわる」「手にふれる」は意志を伴わない場合ということです。 その他、格助詞「を」でも「に」でもいえる場合についてのニュアンスの違いの説明を、ご参考までにいくつか引用いたします。 ------------------ ・「野を行く」 野を動的目標としてとらえ、例えば野の中を動いて行くとか 野を横切ってさらに進むとかすることを表す。 ・「野に行く」 野を静的目標としてとらえ、それを目当てに進むことを言う (したがって、野に到達すれば大概は進行をやめるだろう) --------- ・「庭を出る」 庭から外部(例えば、屋敷に沿う道)に出ることをいう。 ・「庭に出る」 家の中(例えば、庭に面した座敷)から庭に出ることをいう。岩波国語辞典 ------------------ ・「玄関を入る」 その場所に入って、さらにその奥を考える場合。 ・「玄関に入る」 その場所内に位置移動をする意識。 --------- ・「息子を頼る」 頼る対象者が息子である。 ・「息子に頼る」 頼る事柄(生活など)が意識の内にあって、 それを頼る相手として「息子」を指名している表現。 --------- ・「地図を頼る」 頼る対象が地図そのもの。 ・「地図に頼る」 「B(何)を」が表に現れていなくても、 地図にそこへの行き方を頼る、というニュアンス。 ********* 「地図に~」のように、「に」格の現れる文脈では、 たとえ「を」格が隠されていても、 必ず何かをその対象に求める行為である。助詞・助動詞の辞典 ------------------ というニュアンスになるようです。 最後に「に」の使い方として、以下の一例を挙げておきます。 |対象に対する志向性が感じられる述語では、対象を「に」であらわす。 |「彼に頼る」「手にかみつく」「枝に飛びつく」「父に感謝する」「灯火に親しむ」「仕事に慣れる」「リーダーの意見に賛成する」類語例解辞典
お礼
ご丁寧に本当にありがとうございます。 これでゆっくり眠ることができます。 腫れ物にさわるように、あつかっていた「を」と「に」をきっちりあつかうことができるようになりました。 本当にありがとうございました。
- lens2009
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回答ではありません。 質問からは、学習者のレベルや授業で扱う文法項目がわかりません。 それらを教えていただければ、協力できるかもしれません。 初級前半の学習者に「触ります」と格助詞「を」「に」の関係を 教えようと考えているのなら、学習者を混乱させるだけなので 止めた方がよいです。まずは「を」と「に」の基本的な用法を 定着させましょう。 中上級の学習者なら直接対象と間接対象に注目して文法の復習を すればよいでしょう。「に触る」「を触る」の語感の違いも 理解できると思います。
お礼
ありがとうございます。 初級の生徒さんには混乱を招かないよう気をつけていきます。 アドバイスを有難うございました。
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No.1です。補足いたします。 > 「肌を触れる」 =(男女間などで)肌と肌とがふれるという意味です。肌に肌をふれる。
お礼
ありがとうございます。 肌を触れるようなチャンスがあればいいのですが。 袖を触れ合うチャンスは毎日、頂いております。 こうやってお答え頂けると、本当に嬉しくなってしまいます。 ありがとうございました。
お礼
ありがとうございました。 そうだったのですね。この「さわる」例文にあってから、同じような「ふれる」で考えてみたのですが、応用できないので、 今度は「さわる」と「ふれる」の違いが気になっていました。 言葉はこのように変化していくので面白いと思います。 いったい、だれが一番最初に「さわる」を使い出したのか、そして「さわる」が先か「ふれる」が先かとか、あら、又、眠れなくなりそうです。 言葉は大好きです。 ご回答、ありがとうございました。