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国立大に受託研究を依頼したときの研究結果の知的所有権について
ある企業が国立大に寄付金百万円を出し、ある材料の機能性を調べる実験を依頼しました。結果は機能があることが実験的に明らかになりました。この結果を企業に相談することなく、大学が出願人となり、実験担当教授が発明人となって特許を申請しました。 国立大学の多くは、「受託研究の結果生じた発明等については、原則として本学に帰属することとなります。」と書いています。 受託研究の場合は、ピンポイント的な研究が多く、企業では状況証拠しかなく、科学的な根拠を得るために大学に依頼すると思われるので企業が発明人である比重がかなり大きいと思うのですが。「・・・・・生じた発明等については、原則として本学に帰属する・・・・・」の根拠が理解できません。どのような根拠でしょうか。共同研究の場合はある程度理解できますが。良い結果が出るかどうか分からない実験に高額な研究費を出費するリスクが中小企業にはあります。 大学は知的所有権を売却すると思われるので、この場合、研究を依頼した企業には対価は支払われないのでしょうか。実情をご存じの方がおられましたら教えてください。また、最初に書いた例では企業との機密保持を犯していると思われますが。 これが常識的なことでしょうか。そうであれば価値の大きい研究の場合、国立大に研究を依頼するのを躊躇します。
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今回、その大学が行ったの、単に依頼された測定であり、受託研究による「発明」ではありません。 特許法 第二条(定義) この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。 (2項以降略) そのため、大学はこの技術について発明をしておらず、特許を受ける権利を有していません(冒認出願)。 特許法 第二十九条(特許の要件) 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。 (以下略) そのため、特許法39条6項のように、「特許出願又は実用新案登録出願でないものとみなす」ことになります。 特許法 第三十九条(先願) (1~5項略) 6 発明者又は考案者でない者であつて特許を受ける権利又は実用新案登録を受ける権利を承継しないものがした特許出願又は実用新案登録出願は、第一項から第四項までの規定の適用については、特許出願又は実用新案登録出願でないものとみなす。 (7,8項略) まずはこのような法的な面を大学に伝え、少なくとも発明をした御社が出願人に入っていなければ特許になる要件を失ってしまう、ということを理解してもらいましょう。 その後、大学からの出願が公開される前に完全に取り下げてもらい(出願から1年3ヶ月以内)、改めて御社主体で出願する(大学との共願で妥協できるなら共願にいれさせてあげる)ようにしましょう。
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材料の機能性ということですが,せいぜい発見にとどまり特許性は疑問です.事実関係が不明ですが,その発見をもとにした大学創出の発明なら大学にも権利があります. 寄付金とのことですが,慈善的なひもの付かない資金なのでしょうか.ならば,権利主張は困難でしょう.権利を放棄しているなら,やむをえません. 高額な研究費を提供するなら,まず,事前に,機密保持を含む契約書を交わすべきですが,それはどうなっていますか? 大学側が一方的に「原則として本学に帰属」というのはそれに優先する契約が無いからではないでしょうか? とにかく,契約に戻るべきです.
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ご回答ありがとうございました。 依頼した教授が前からの知り合いであったことと企業が権利に対して無知であったことから生じたものと思います。寄付金に関してもひもは付いていませんが、教授の言うとおりにこの形にしたようです。
- touan
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大学は何を発明したのですか? 「機能の存在を確認してほしい」というリクエストに応えただけならば、大学側に発明者は存在しません。 ただ…機能を発揮させる上で、使用量なり使用法なり、何かしらの新しい知見が加えられていたら、その新しい知見部分は大学側の発明になるでしょう。 問題は、再発防止です。委託に当たっては事前に覚書なり契約書なり、議事録(相手にサインをしてもらえばリッパな覚書です)でも構いませんから、あなたがたの要望を相手に承諾してもらうことが必要です。ゆめゆめ、口頭だけで依頼して「お願いします。」とならないように。
お礼
ご回答とアドバイスをありがとうございました。 特に新しい知見はなかったようです。教授が社長の知人と言うことで信用したようです。私大の教授とは共願の形を取っているようです。<・・・大学側に発明者は存在しません>の解釈にそう思います。
- ruthgoo
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あくまでも一個人の考え方という前提ですが、 受託研究を行うにあたり、実際に実験をするのは大学の教員 そして大学の設備であるので、それに伴う新たな知見も 大学に帰属する、という考え方と思います。 私も気になって少し調べてみたのですが、 「受託研究の…帰属する」という一文、仰る通り殆どの大学で 規定されていますね。企業様側にとっては今まで大切にしてきた技術を 大学に取られてしまうような感じをお持ちになるかもしれません。 受託研究を行う前に分かっている範囲で構わないので特許出願して しまう(新たな知見は優先権を主張して出願を行う)、 受託研究後は共同出願として出願人欄に含めてもらうよう 交渉する、などがせめてもの対策になるかな、と思います。 (このあたりは受託先の大学によって異なります。)
お礼
ご回答ありがとうございました。 国立大も法人になったとはいえ、平成21年度国立大学運営費交付金予算額案では東大878億円、京都大596億円、東北大496億円などまた、第3期科学技術基本計画では、2006年度から2010年度までの5年間、総額約25兆円の政府研究開発投資など多額の税金が使われているのですから、サービスも必要と思うのですが。
お礼
詳細なご回答をありがとうございました。 これからも大学に実験を依頼する予定がありますので勉強させていただきます。 例に挙げた件は、残念ながら出願から1年3ヶ月以上経過してしまいました。一応、大学側に言うべきことは言うように企業に伝えたいと思います。