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「日本語のルーツは古代朝鮮語ではない」という説の論拠とは?

こんばんは。 いつもお世話になっております。 イ・ヨンヒさんなどが、日本語のルーツは古代韓国語にあると主張しておられますが それに対して安本美典氏などが日本語のルーツは古代韓国語ではないと主張しておられるようです。 で、質問です。 (1)「日本語のルーツは古代韓国語ではない」という説の論拠とはどのようなものでしょうか。 (2)(1)の説はどなたの説でしょうか。 もちろん、ご自身の説でも構いません。 ※私が知りたいのは、「日本語のルーツは古代朝鮮語ではない」とする論拠のみで、どちらが正しいのかを問うているわけではありません。 ※研究者の批判・悪口などはお控えください。

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回答No.14

 No.13です。  お許しが出ましたので 李寧煕説の批判にかかります。  その当時 かのじょに宛てて書いた文章を載せます。  《あくたい・もくたい》――「記紀・万葉の解読通信」No.11所収――の議論について少し異なった解読の余地があるのではないかと考え 筆を執りました。  ちょうど今 トゥングース諸語を勉強中で アクタイに関しては これらの諸語に   ○ アクタ: 去勢された〔トナカイ・馬・牛〕  ☆ という単語があることを知ったのです。  ○ akta- :トナカイを去勢する( кастрировать оленя)=(α)とする。  1. エヱ゛ンキ語:(α)   ○ aktakaa:去勢されたトナカイ=(β) / トナカイを去勢する術を    知っている人  2. ソロン語:去勢馬・去勢牛  3. エヱ゛ン語:aak-:(α)/ (β)(騎乗用)  4. オロコ語:xakta(ハクタ):(α)  5. ナ-ナイ語: akta mori(n)-:去勢馬    ○ xakta-:(α)(トナカイに限らず)      xaktato:去勢された      xaktoaxa:馬  6.マンチュー(満州)語:去勢馬    ○ aktala-:(α)(トナカイに限らず) / 罪びとを去勢する /    馬に乗る / 〔荷を背に〕負い分ける / 容器に弓形の把手耳をつける  * 〔以下は トゥングース・マンチュー語派のほかのいわゆるアルタイ語族〕  7. モンゴル語:agtala- :(α)(トナカイに限らず)    ○ agt :去勢馬  8.ヤクート語: at:去勢された    ○ attaa:(α)(トナカイに限らず)     attaki / attiki:去勢された   (以上は 『トゥングース・マンチュー語派比較辞典』ナウカ1975より引用)  これらを見ると 李寧煕女史の解読と 語義がそっくりです。つまり 現代韓国語の  ○ アクテ( aktae )→    アクテ‐マル:去勢馬    アクテ‐ソ:去勢牛    アクテ‐ヤング:去勢羊  ☆ と意味が同じです。  また アクタ( akta )だけではなく aktakii(エヱ゛ンキ語)や attaki(ヤクート語)の語形もあるので これらから -k- が脱落して アクタイになる可能性があります。  次に 馬を意味する語の mori(アルタイ語族)が 韓国語のマル( mal )と対応すると思われるごとく akta- も あるいはおっしゃるように アグ‐タイ=子供‐もぎ取り という語源に分解することができるのかも知れません。  これは akta- が そのトゥングース諸語で 語源として明らかでないので いまひとつはっきりしません。ただしまた ぎゃくに xakta-(あるいは hakta- )のごとく 語頭に x- ( h- )が現われる形態も見られ それは アガ・アグと対応するかどうかは 分からなくなるかもわかりません。(むろん h- は フランス語のごとく 落ちやすいようですが)。  日本では 中国から宮刑の制度をおおまかに言って採り入れず 宦官をつくることがなかったと見られます。また一般に動物の去勢の習慣もあまり行なわれていないと言われます。ので このアクタイが 去勢に関係した語としてなら 日本語に固有のものではないと おおよそはっきりしています。  いまはまだ 議論の余地があると考えられること このことのみをお伝えしようという趣旨です。すなわち アクタイが 去勢者の意味の語として韓国から入って来たとしても その語源また出自は まだ韓国固有の語だというまでには 明確ではないと言うべきでしょう。  わたしは古代韓国語とそして古代日本語とが 互いに似通っていて さらには一つの基層としては同じ一つの言語であった部分を持つのではないかと考えている者ですが もう少し議論の余地があるのではないかと思う点を もう一・二例 挙げたいと思います。  同じトゥングース諸語に  ○ aksa-:侮辱を感じて立腹する / 侮辱する(つまり いわゆる悪態をつく)  ☆ という語があるようなのです。  ○ aksa-:侮辱を感じる( обидеться)=(γ)  1. エヱ゛ンキ語:(γ)    ○ aksan:侮辱・無礼・腹立たしさ・いまいましさ / 争い・けんか  2. エヱ゛ン語:aas-:(γ)    ○ aasan:=エヱ゛ンキ aksan  3.以下 語例を省略します。    ☆ つまり アクサが アクタやアクタイ(悪態)に変わることはあり得ます。例として ふさぐ(塞ぐ)=ふたぐ。  こう見て来ますと いろんな可能性が考えられます。偶然の類似から 借用語である場合や 果ては 同源の語である場合などです。  ただこれらはまだ 基礎語彙であるとは言い難いようにも思われます。  長くなりますが もう一点 別のことがらで考えてみます。たしかに日本の相撲は モンゴル相撲(ボフ)や韓国のシルムから来たのかも知れません。つまり後者は 言葉も同じです。(ルが取れて シムからシモ→スモとなる)。  と同時に 聞くところによりますと ポリネシア・ミクロネシア(いわゆるアウストロネシア語族)にも 同じように すもうの習慣があったと言います。あるいは 日本で独自に発明されたかも知れません。(格闘技ですから 似たり寄ったりでしょう)。  すなわち以上のことから言えることは 言語と生活習慣のすべてを韓国から持って来たと考えることには少々無理があるのではないでしょうか? すなわち可能性があると同時に つねに別の可能性もあり得て まだまだ説明不足の感をいなめないのではないでしょうか?  たとえば  ▲ いかなるプロセスを経て韓国語が日本語になり変わってきたのか。(p.5)  ▲ 日本語のルーツである韓国語。(p.6)  ▲ 日本語が どのような方程式を通じて韓国語から変貌してきていることばなのか。(p.15)  ☆ といった見方は――もちろんそれを具体的に研究し その裏付けを発表されて来ているわけですが―― ほかの見方もあり得るだろうということをもはや閉ざすかのような発言ないし口調に響きます。  あらためて 日本語のあくたい(悪態)が韓国語のアグ‐タイから来ているとしても 今ではその語源が 日本語では分からなくなっているのが現実です。アグ・アゴは 阿児として解読できますが タイ(タ)=取る・摘むなどという語は 日本語からは解明できないものです。  ということは なるほど韓国語起源だと仮りにしましても その起源のことばが 日本語として日本の地で一定の方程式とプロセスを経て用いられ保存されてきたというその反面で じつはそれは このアクタイという一つの語の問題なのであるに過ぎないということも考慮しておかねばならないはずです。  もしおっしゃるように  ○ アクタイ(悪態)← 子供(アグ)‐もぎ取り(タイ)  ☆ という起源であるとしますと それは日本人から見て〔と代表のごとく発言しますが〕 きわめて違和感のある発想であり語の成り立ちだと思います。つまりもしこの起源にもとづくなら おそらく日本語にとってこの語は外国語であると考えます。つまりむしろ一つの借用語だとなります。  つまりは 借用関係の証明がせいぜいであって 言語の同系を言うには百歩も千歩も勇み足であろうと考えますが いかがでしょう。   

noname#163492
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 李寧煕さんに手紙を出したのですか! 私も出してみようかな。 でも、きっと文面から察するに返事は来なかったのでしょうね。 (1)あくたいもくたい=あくたもくた=あくたもくぞ については、手元にある彼女の著書「日本語の真相」においても触れられています。 【あくたいもくたい・あくたもくた】 同語の古代韓国語(朝鮮語ではなく韓国語となっています) 子供もぎとり=睾なし男の女なし男 という意味 アグ(子供)・タイ(もぎとり) 【あくたもくぞ】 あくたいもくたい・あくたもくたと同語ではない。 小くず大くず=子の糞・女の糞 という意味 ア(端)・グダ(汚い) 回答者様によれば、 トゥングース諸語の中にアクタ:去勢された〔トナカイ・馬・牛〕という意味がある。 また同じトゥングース諸語にaksa-:侮辱を感じて立腹する / 侮辱する(つまり いわゆる悪態をつく) という語がある。 このアクサがアクタやアクタイとなった可能性もある。 日本には去勢の週間がないので、単なる借用語であるとも考えられる。 (2)相撲 モンゴル相撲・・・ボフ 韓国・・・・・シルム(ルが取れて シムからシモ→スモとなる) ポリネシア・ミクロネシア(いわゆるアウストロネシア語族)にもすもうの習慣があった。 日本で独自に発明された可能性もある。 うーん、これは興味深いですね。 なるほど、偶然の類似・借用語・同源の語など様々な可能性が考えられるということですね。 やはり、日本語・韓国語のみならず、周辺の言語にまで視野を広げる必要がありそうですね。 このたび質問をたてたことは私にとって大変有意義なものであり 回答を下さった皆様には深くお礼を申し上げます。 言葉の問題は多方面の知識が必要で、また深い考察が必要なのだと実感しました。 大変ムツカシイ問題ですが、ますます興味が涌いてきました。 本当にありがとうございました。

その他の回答 (25)

  • sudacyu
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回答No.5

<参考>No.3です。 質問に答えて。  中国は、「文字」の国として、2000年以上も前から統一国家統治に黄河流域に起源をもつ書き言葉を使い続けた結果、揚子江流域やそれより南の地域も、古来からの口語文法は失われてしまいました。  しかし、単語の『発音』については、そのまま保存され続けて、四川・広東・福建・上海語という、北京周辺とは全く違う発音が残されています。  日本語の数  イチ ニー サン シー ゴー ロク シチ ハチ  福建語の数  イッ ニッ サン シ ゴッ ロッ シッ パ  日本語の数を数える時に、短く止めるような感じになります。

noname#163492
質問者

お礼

何度も回答をありがとうございます! わー、確かに似てますね! >中国は、「文字」の国として、2000年以上も前から統一国家統治に黄河流域に起源をもつ書き言葉を使い続けた結果、揚子江流域やそれより南の地域も、古来からの口語文法は失われてしまいました。 なるほどですね。 日本語を考えるとき、古代韓国語との比較のみを考えるのではなく もっと広い視野で見なければいけないということが理解できました。 大変勉強になりました。

  • civliv
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回答No.4

安本氏が日本語が古代韓国語で無いと主張しているのは、基礎語彙の一致度から推計した結果両言語が分岐した年代として一万年前程度という結果が出たためだったかと記憶しています。古代朝鮮語が成立する以前に分岐しているので、朝鮮語がルーツということではないと。 ※基礎語彙の一致度から類推するというのは、どの言語にもある基本的な語彙を数百選定して、その言葉が時間と共に一定の割合で変化すると仮定し言語同士がどの位以前に枝分かれしたか推定する方法です。 いずれにしても8世紀成立の日本書紀や万葉集などの文献が豊富に残っている日本語とは違い、朝鮮半島に関しては現存する歴史書の最古のものでも三国史記(1134年)となってしまい、日本書紀(720年)と比べると400年も新しいものしか残っていませんし、歌にしても万葉集が数千首収録しているのに対し、朝鮮のほうでは郷歌といわれる新羅時代の歌が20数首残っている程度で史料が絶望的にすくなく、古代朝鮮語というのは解明がほとんど進んでいません。単語が100弱推定できるとかそのレベルなので、ルーツどうこうというのははっきりしたところは分からないというのが続くと思います。

noname#163492
質問者

お礼

回答をありがとうございます。 >基礎語彙の一致度から推計した結果両言語が分岐した年代として一万年前程度という結果が出たため 安本さんは確か平均在位年数などを計算しておられたと思いますが 日本語と古代韓国語も計算によるものなのですね。 もしよろしければ、どのような計算方法で1万年程度とはじきだされたのか、教えていただけませんでしょうか? 朝鮮半島の史書の最古のものは1134年なのですね。 イ・ヨンヒさんは単に古代韓国語というだけで どの時期に用いられていた言語であるかを明確にはしていないようです。 このあたりに問題がありますね。 大変参考になりました。ありがとうございます。

  • sudacyu
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回答No.3

<参考>  数字については、中国福建省の福建語と日本語はとても良く似ています。  「楽浪海中、倭人有り、分かれて百余国を為す。歳時を以って来り献見すと云う」・・・・・(漢書地理志燕地) という表現をそのまま受け止めると、倭人=「海洋民族」です。  現在のように陸上に生活基盤を持っているのではなく、海に生活基盤を持っていて、船を交通手段としている民族が、「倭人」だととらえると、中国福建省沿岸から台湾・沖縄・九州沿岸・朝鮮南部の多島海を生活基盤にしていた民族があっても不思議ではありません。 (海は、現在のような国境ではなく、交通路でした。逆に、森で覆われた陸地は想像以上に交通困難で、道=川→船と言う状況が、農耕社会が始まってもかなり続きます。)  その民族の言語が、日本と朝鮮に引き継がれたという可能性も捨てきれません。

noname#163492
質問者

お礼

回答をありがとうございます。 >数字については、中国福建省の福建語と日本語はとても良く似ています。 というのは、イチ・ニ・サンという発音が似ているということですか。 魏志倭人伝の記述などからも倭人は海洋民族だったと考えられなくもないですね。 >中国福建省沿岸から台湾・沖縄・九州沿岸・朝鮮南部の多島海を生活基盤にしていた民族があった可能性 なるほど、検討の価値はあると思います。 大変参考になりました。感謝します。

  • shin1417
  • ベストアンサー率27% (199/721)
回答No.2

自説です。 まず、朝鮮半島の住民(民族)自体が何度も入れ替わっている事。 韓国語自体、前の住民(民族)の言語、更にその前の、そのまた更に前の、というように様々な言語の影響を受けているであろうと言う事です。 そして、それらの言語は同じように日本語にも影響を与えていたでしょう、という事です。 日本は現在の朝鮮族と呼ばれる民族が朝鮮半島に定住する遥か以前から、朝鮮半島と交流がありました。 ですから、同じ言葉が韓国語、日本語の両方にあってもおかしくは無い、むしろ当然であろう、という事。 つまり、      他の言語        |     ------     |        |    ○   韓国語       日本語 であって、      韓国語       ↓        ×      日本語 では無い。 ようするに、韓国語と日本語は同じ言語から影響を受けた兄弟かも知れないが、親子では無いでしょう、という事です。

noname#163492
質問者

お礼

貴重な自説をお聞かせくださり、ありがとうございます。 >韓国語と日本語は同じ言語から影響を受けた兄弟かも知れないが、親子では無い なるほど、そうかもしれませんね。 それでは韓国語と日本語のルーツになった他の言語とは 何でしょうか? その言語は今も存在する言語ですか? それとも消滅してしまっている? よろしければ教えて下さい。 大変参考になりました。感謝します。

  • ESE_SE
  • ベストアンサー率34% (157/458)
回答No.1

自説にて失礼します。 私の立場としては「肯定するほどの材料があるのか」という消極的否定論です。 古代日本語の成立については精通していませんので。 そもそも「古代朝鮮語」がどの程度解明されているのでしょうか、寡聞にして知らないのですが。 日本には古代の文書も比較的多く残っていますが、これは日本が島国であるが故に自然の砦により守られたことで侵略の頻度が非常に少なかったことによる、世界的に見ても稀なケースです。 これに対して朝鮮半島は地続きであることから、中国の中原を支配した民族に度々侵略を受けています。 その際に焚書も発生したのか、古代朝鮮の文献は極めて限られているそうです。 そんな実態の見えない言語と日本語の関連性をどこでどう確認したのか、そのあたりがむしろ知りたいです。 当然共通の単語なら複数存在するでしょうが、それが単語の借用(言うなれば外来語)ではなく日本語の源流が朝鮮語であるという証拠にはなりません。 例えば「カステラ」「カルタ」などはポルトガル語が起源とされていますが、だからといって「日本語の起源はポルトガル語」などとは言いませんよね。 むしろ場合によっては逆に古代日本語が朝鮮語に借用された、朝鮮側の外来語である可能性も否定は出来ないでしょう。 以上の理由から、「日本語のルーツは古代韓国語である」という説には 肯定するほどの信頼性を感じません。

noname#163492
質問者

お礼

貴重な自説をお聞かせいただき、ありがとうございます! (1)古代朝鮮の文献がすくないので、古代朝鮮語をいかにして知りえたか疑問である。 (2)共通の単語は外来語である。 ということですね。 (1)についてですが、 日本語のルーツは古代朝鮮語であると主張されている イ・ヨンヒさんの本は読みました。 古代朝鮮語というだけでなく、新羅語・百済語などの違いなどにも 触れておられました。 しかし、それがどれだけ信憑性があるものなのかは おっしゃられるとおり、確認する必要がありますね。 大変参考になりました。

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