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老婆語

「老婆語」とはどんな言葉でしょうか?

みんなの回答

  • M_Sato
  • ベストアンサー率54% (550/1003)
回答No.2

柳瀬尚紀訳「ダブリナーズ」の解説に出てきたことばですか。 「中気車輪」は柳瀬さんの苦心の結果ですね。 柳瀬尚紀さんは言葉お遊びがお好きですからね。 そうすると「老婆語」はNo.1で私が書いたのちょっとニュアンスが違うかもしれませんね。 知ったかぶりでいい間違えるというパターンは英文学ではよく出てくるようです。『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルが若いころ書いたマリオネット用戯曲にも、ミセス・マドルというお婆さんが初めて列車に乗るのですが、知ったかぶりをして、「(手荷物を)電線機で送って」(電信機のこと)とか「すべて分かってますから。ゲップでしょ、列車の蔓延でしょ、蒸気インヂアンでしょ」(切符、遅延、蒸気エンジンのこと)などという台詞が出てきます。「老婆」にそういうイメージがあるのでしょうね。 あと、老婆ではありませんが、シェイクスピアの『から騒ぎ』のドグベリー警察署長とか、ディケンズの『ピックウィック・ペーパーズ』のサミュエル・ピックウィック氏なども、そうした役回りでしょう。

madoyan193
質問者

お礼

重ね重ねご回答有難うございます。 今度のご回答が柳瀬氏の言う「老婆語」により近い感じがします。大変勉強になりました。

  • M_Sato
  • ベストアンサー率54% (550/1003)
回答No.1

「老婆語」というのは、おそらく「役割語」のひとつではないかと思います。 老婆語とは 「わしゃ、こう見えても若い頃にゃ別嬪でな、村の若い衆(しゅ)によく言い寄られたもんじゃよ」 というような言葉ではないでしょうか。 「役割語」というのはこう定義されています。 「ある特定の言葉づかい(語彙・語法・言い回し・イントネーション等)を聞くと特定の人物像(年齢、性別、職業、階層、時代、容姿・風貌、性格等)を思い浮かべることができるとき、あるいは特定の人物像を提示されると、その人物がいかにも使用しそうな言葉づかいを思い浮かべることができるとき、その言葉づかいを「役割語」と呼ぶ。」   ――金水敏著『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』(岩波書店、2003年刊)より たとえばお茶ノ水博士が「わしはアトムの親がわりになっとるわい!」と喋ると、いかにも博士らしいですよね(これは「博士語」です)。しかし現実世界では老婆も博士もこんな喋り方をしません。あくまでも漫画や小説や映画やTVドラマなどフィクションの中だけの「ヴァーチャル日本語」です。 詳しくは、上に挙げた本をご参照ください。

madoyan193
質問者

お礼

早速ご回答、有難うございました。なんとなく分かってきました。 実はこの語“老婆語”が出てきたのは、「ダブリナーズ」(新潮文庫)の解説に訳者の柳瀬尚紀氏がジェームス・ジョイスの用語翻訳には工夫が要る例として“Pneumatic Tyre(ゴム製の空気タイヤ)が「中気車輪」rheumatic wheelという“老婆語”(“”は投稿者)になっている。・・・”という解説があり、これが良く理解できず質問した次第です。原語で“ニューマティック”と言うべきを生半可に理解した老婆が“リューマティック(リューマチ)”と間違えるシーンをジョイスがユーモアとして利用したのを訳者は“中気”と更に一ひねりしたということでしょうか。

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