過剰な運動に関して言えば、ピルビン酸に戻ってクエン酸回路(TCA回路)に入ります。
なぜ過剰な運動でピルビン酸が乳酸になるかというと、酸素が足りないからです。
血液が運んでくる酸素の量(酸素供給量)には上限があります。急に運動をしたり、酸素供給量の上限を上回るほどの酸素を筋肉が欲すれば、「酸素が足りない」という状況になりますよね。
まず基本的事項を。
グルコース(ブドウ糖)などの糖は、解糖系で分解された後、クエン酸回路に入ります。
解糖系では少しのATP(エネルギー)が、クエン酸回路では多くのATPが産生されます。
ただし、解糖系では酸素は必要ないけれど、クエン酸回路では酸素が必要です。
ここからはちょっと詳しいので参考程度に。
【解糖系は酸素なしでも進みますが、クエン酸回路は酸素がないとまわりません。
ですから酸素が足りないと、クエン酸回路に入り込むことができず、その手前のピルビン酸の状態でとどまってしまうのです。
ではなぜピルビン酸の状態でとどまらず、乳酸になるのでしょうか。
参考URLを併せてご覧になってくださるとうれしいのですが、いろいろ化学式が書かれている二行目の真ん中のあたりに、
グリセルアルデヒド-3-リン酸→1,3-ビスホスホグリセリン酸
という式がありますね。このときにNAD+がNADPHになっています。
一方、三行目の最後、
ケトピルビン酸→乳酸
の反応では、逆にNADPHがNAD+になっています。
つまり、解糖系を進めるにはNAD+が必要なのに、ピルビン酸でとどまってしまったらNADPHばかりが増えてNAD+が足りなくなってしまいます。
だからピルビン酸を乳酸に変えることによってNADPHをNAD+をもどしてやるのです。】
生化学を習ってなければ【 】の中のことは必要ありませんね。
【 】内のことをものすごく簡潔にいえば、酸素がない(足りない)状況のときに
「ピルビン酸でとどまってしまうと解等系が進ます後からくる糖を分解できないので、ピルビン酸を乳酸に変えることで解等系を進めるようにしている」
ということになります。
ただ、乳酸は酸性な上に、乳酸が蓄積すると筋肉が痛くなります。一気に階段を駆け上ったときに一瞬感じる足の痛みです。
乳酸を乳酸のままにしておくことはできません。
ですから運動をやめるとしばらくは血液が筋肉に流れ続けて酸素を供給し続けます。これによりクエン酸回路が回るので、
乳酸→ピルビン酸→クエン酸回路に入る
ということができるのです。
乳酸もなくなって、新たなエネルギーが作られて、めでたしめでたし、となります。
お礼
ご回答ありがとうございます。 とても詳しく説明して頂いたおかげで、私の中の腑に落ちていなかったものが、一気に解消されました。 誠にありがとうございました。