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日本の教科書とアメリカのTextbook
今、教職の勉強をしているのですが・・・ 教材としての日本の教科書と米国のTextbookの違い また、その違いが生じる理由、教育的背景は何なのでしょうか?
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- hukuponlog
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アメリカの教科書は、日本とは違い検定がありません(正確にはあるのですが、日本とは違います)ので、様々な種類が出版されています。 また、あれだけ広く、州や地区(district)毎の権限が強いですから、一般論として「アメリカのText Book(教科書)は・・・」とは言いにくい部分はあります。それを前提に言えば。 基本的に違うのは、アメリカには教科書はありません。あるのはあなたが質問に示したように学校用(授業用)テキストです。教科書というと、その教科を学ぶためだけに専門に教科書会社が作った本で、従って、一般書店の店頭に並ぶことなどあり得ませんよね。 でも、テキストは普通に書店で購入ができます。イメージとしては、本屋の参考書コーナーや、パソコンソフト関連書籍のコーナーを思い浮かべてください。書店では、ああいう感じの扱いだと思えば良い。(ただし、分厚くて堅くて大きくて重い) 内容(レベル)は、同じ学年・教科であってもテキスト毎に、難しいものから易しいものまで様々です。ただ共通して言えることは ・学習的ではなく、読み本的に記述がされている。つまり、数学でも科学でも読んで面白い本になっている。 ・理念的というよりも、実学的、実用的。練習問題が金利計算だったり、バイトの時給の話だったり。太郎さんと花子さんが現実にはあり得ない行動をとる日本の問題よりも、リアル。 という特徴というか、傾向はあります。ですから、日本の教科書よりも、興味が湧きやすいかもしれません。 その背景ですが,これを語ろうと思ったらアメリカの建国史から述べる必要があります。 1.アメリカには日本の教育基本法にあたるような,教育のあり方や理念を規定する法律はありません。教育は基本的に州政府の仕事だという認識です。 2.また,教育に関しては地区(District)教育委員会の権限が非常に強く,地区毎に教育に関する考え方や予算の使い方,教育内容や方法まで様々です。 3.アメリカは移民の国ですから,知識も文化的背景も多様な子ども達が学校に集まります。中には,英語すらままならない子供だっています。 このことから,アメリカの教科書には日本には無い,多様性が生まれます。簡単に言ってしまえば,法律的にも権限としても,さらに現実問題としても,どのような教科書を使ってどのような教育をするかは,国で一律に決められるものでは無い,ということでしょう。 4.アメリカは開拓の国ですから,学校制度よりも前に教育がありました。具体的には,学校なんて無い場所では必要な知識は親が教える,近所の学問のある人(例えば神父さん)が教える,それが私塾から学校に発展していった(特に西部開拓地域)歴史があります。現在でもホームスクールといって自宅で保護者が勉強を教える制度が認められており,全米でおそらく150万人程度の子供は,学校ではなく親が勉強を教えているはずです。 5.そもそも学校に対しての考え方がプラグマティックです。躾は家庭がするもの,学校は知識を与えるところ,とする考え方がアメリカ人には根強くあります。 このことから必然的に教科書も実学的・実用的な面が強くなります。また,実用的ということは問題解決型学習(PISA型)ということでもあります。 ただし,上で述べたことは近年多少変わってきています。それはブッシュの打ち出したNCLB政策との関係です。ただ,おそらくそこまで踏み込んだ勉強は不要でしょうから,興味があったら調べてみると良いでしょう。NCLBで検索をかければいくらでも出てきます。