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取締規定
取締規定によってそれに反する契約等の効力が否定される場合とはどのような場合なのでしょうか?
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契約は,自由に行えるのが原則です。 その例外として,民法では,公序良俗に反する場合などにはこれを無効としています。 一方,取締規定は,それぞれの法律に基づいて,何らかの規制を行っています。法律は,一種の公序ですから,それを無視した契約については,公序良俗に違反するということになりそうにも思えます。 しかし,取締規定に違反する契約が,なんでもかんでも公序に違反するとして契約等の効力が否定されてしまうと,取引の安定に支障があります。また,取締の趣旨によっては,必ずしも契約自体を否定する必要がないものもあります。 では,どのような場合に契約の効力が否定されるべきかを考えると,取締規定の目的が,契約を禁止することにある場合など,契約自体を否定しないと,取締規定の趣旨を没却して,公序良俗に反するような場合ということになります。 例えば,食品衛生法上の許可がないのに,無許可で肉などの食品を販売した場合,その売買契約も食品衛生法に違反するものになります。しかし,食品衛生法の目的は安全な食品の流通なのですから,無免許であっても,正常な食品売る行為自体は,法の趣旨を没却するものではありませんから,公序良俗に反するとまでは言えないでしょう。無免許での行為自体を罰して,無免許での商売が違法であることを明らかにして,設備等に問題がある場合にはそれを修正させれば,食品衛生法上の免許の目的は達し得るので,当該売買契約自体の効力は否定されるものではありません。 一方,同じ食品衛生法に違反する行為であっても,例え販売の許可があったとしても,法に違反する毒物が混入した食品をそれと知って売却する行為については,毒性のある食品が流通することを防止するという法の目的に明らかに反しており,取引自体が公序良俗に反していますから,その契約の効力自体が否定されるべきでしょう。
お礼
いつも懇切丁寧、論理明快な回答有難うございます。 とてもガッテンいたしました。 取締規定は本来、行政目的のために行われるもので、行政上の権利義務を生じるのみで私法上の影響を与えないのが原則ですが、行政目的達成のために私法上の効力を否定することが特に必要な場合や、公序良俗に反する場合には効力が否定されるということですね。