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X線回折の焦点について
X線の焦点には線焦点(line focus)と点焦点(point focus)の2種類がありますが、それぞれのメリット・デメリットって何でしょうか。 また、極点図測定(pole figure)では点焦点を用いた方が良いのはなぜなのでしょうか。 いろいろな教科書を読んでも、このあたりのことはあまり詳しく書かれていないので、わかる方がいましたら教えて頂けますでしょうか。 よろしくお願いします。
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メリット、デメリットというより測定目的で使い分けます。 線焦点は、X線が試料を線状(通常は発散ビームを使うので、実際には長方形状)に照射するので、照射領域の平均構造を反映した情報になります。一方、点焦点は通常平行ビームで点or楕円状に試料を照射しますので、線焦点よりはずっと狭い領域の情報になります。 また、「焦点」という言葉を使っていますが、X線は湾曲ミラーを使わない限り収束出来ないので、通常の装置ではX線の取り出し方向の違いとスリットでビーム形状を変えているだけで、線焦点も点焦点もほとんどビーム密度は変わらず、従って線焦点の方が線源強度としてははるかに強くなります。 多結晶試料や薄膜などでのθ-2θ測定で膜面に垂直方向の構造だけを調べる場合は、試料表面内の角度情報は不要ですので、強度的に有利な線焦点を使います。 単結晶試料(極点図形も単結晶測定の一種)では、試料からの回折強度が強く、線源の強度はそれほど必要としません。また、X線の照射面内を含めた角度方向の情報が必要となるので、狭い照射領域で特定の方向に強度分布が出来ない点焦点が望ましいわけです。
お礼
ご回答ありがとうございました。 だから、線焦点で極点図を測定した時よりも点焦点で極点図を測定した時の方がバックグラウンドの強度が低くてピークがはっきりと見えるんですね。 勉強になりました。