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イギリス王室とイギリス労働党

質問させていただきます。映画の中に見られる政治的・社会的描写というテーマでレポートを書いています。映画「Queen」を題材に、イギリス労働党とイギリス王室の関係について取り扱おうと思っているのですが、どのようなサイト及び文献を参考にすればよいのか教えてください。今のところ目ぼしい参考資料が見つからず大変困っています。そもそも労働党と王室は何故仲が悪いのか、その具体例・象徴的な事件としてはどのようなものがあるか等についてご存知の方、またオススメの文献等ご存知の方、どうぞよろしくお願い致します。

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  • tyr134
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回答No.1

私は映画『Queen』を観ていないので、映画と絡められませんけど参考までに。 労働党というのは、その名が示す通りマルクス主義の流れを汲む政党です。 1896年 独立労働党が設立され、1906年に労働党と改称します。 その後、労働者の保護を目的として社会保障政策を次々と打ち出していくことになります。 その政策は、「ゆりかごから墓場まで」という標語で現されています。 ただし、ココで注意が必要なんですがマルクス主義の流れを汲むと言ってもその影響力は弱く、むしろマルクス主義をキリスト教の影響化で焼き直した「キリスト教社会主義」の影響の方が強いです。 いずれにせよ、労働者階級保護を掲げた政策が中心であることに変りはありませんね。 しかし、第2次世界大戦後は殖民地解放の動きが相次ぎ、またそれが世界の趨勢となったこともあり税収が激減しました。 その結果、高福祉政策が足枷となって国庫が逼迫、経済が低迷し英国病と呼ばれるようになりました。 それを自由主義の側に立って改革したのが、有名な保守党のサッチャー女史です。 保守党に長らく譲ってしまっていた政権を、サッチャー主義でも昔の労働党の政策でも無い「第三の道」を打ち出して保守党から政権を取り返したのが、ブレア元首相です。 しかし、ブッシュ坊ちゃんにくっつきすぎた為に支持率が低下、首相辞任を余儀なくされました。 まぁ、本人は前向きにやりたい政策に取り組むと言ってますけど。 ・・・と、まぁ大まかに近現代英国政治史はこんな感じですかね。 さて、英国王室との関係ですが。 元々、王室と議会は相互に対立・監視関係にありました。 議会というのは、元を辿れば封建領主の集まりです。 封建制度というのは、一種の持ちつ持たれつの関係で、王が保護(恩賞・封土)を与える変りに貴族が軍事力を提供するという形です。 当然、貴族達に王と認めてもらえず、軍事力を与えてもらえなければ王はなんの力もありません。 故に、封建制度下の王は権力が限られてきます。 言い換えれば、下から上へ権力を渡すんです。 これを打破したのが、キリスト教の思想に基づいた「王権神授説」です。 これは、「王権は神様から与えられ、王とは世俗での神の代理人である」という理論です。(因みに、宗教界=精神世界の代理人はローマ教皇だった) つまり、権力は上から与えられたのだから下がいくら「認めない」と言ったところでどうにもなりません。(正統性は王にあり) 英国(特にイングランド)は、この二つの論理をその時々の状勢に応じて揺れ動いてきた歴史があります。 つまり、時には協力関係となり(教皇や他のカトリック国と対立関係になると前面に出てくる)、時には対立関係(王権神授説を主張したときに対立しやすい)となったりして来ました。 バランスが取れているときもあれば、バランスが崩れどちらかが不利な立場に陥ることもありました。 しかし、エリザベス1世没後の世界は徐々に市民革命の時代へと突入していきます。 共和制か王制かで揺れに揺れ動いた時代でもあります。 それに一定の終止符を打ったのが、ヴィクトリア女王の「君臨せども統治せず」の原則です。 これは、「王はあくまでも国家統一の象徴であり、政治には口出ししない」と言うモノです。 つまり、政治は議会に委ねるということです。 ヴィクトリア女王以降は、これが基本原則とされるようになりました。 ただ、日本の象徴天皇と違って、憲法や法律には成文化されていません。 (というより、憲法自体が成文化されていない。英国憲法はコモン・ローと制定法、慣例による。雄いつの成文化された憲法としていいのは、マグナ・カルタくらいかと。) よって、日本の天皇は憲法を尊重して政治的発言に慎重ですが、英国のエリザベス2世は結構口出しするようです。 たしか、一部では王室に主導権を取り戻したいとか興味ないとか、色々ウワサがあった気がします。 長々と書いてしまいましたが、まとめると議会と王室は常に権力争いをしてきた歴史があるということです。 映画『Queen』の説明をWikiで読みましたが、そこには ==引用== 首相就任の承認を得るため、エリザベス2世のもとにブレア夫妻が謁見に訪れるが、憲法や伝統の大改革を主張してきたブレアと、反王室派のシェリー夫人のぞんざいな態度に、エリザベス2世は不安や不快の念を隠すことが出来なかった。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3_(%E6%98%A0%E7%94%BB) ==以上== とあります。 つまるところ、「憲法や伝統の大改革」によって権力が奪われることを警戒した王室サイドという描写があるということでしょう。 そして、ここで対立した事からダイアナ妃の死に際して、ブレア側が王室に対してネガティブキャンペーンを張った、、、というストーリーみたいですね。 まぁ、映画も王室側を批判する内容と推察しますけど。 長々と書いてしまいましたが、参考になれば幸いです。 最後に、労働党についての参考資料を。 『イギリス労働党史研究―労働同盟の形成と展開』 (北樹出版 ) 杉本 稔 (著) 英国の通史としては 『イギリス史〈全3巻〉』(みすず書房 ) G.M.トレヴェリアン (著), 大野 真弓 (翻訳) ※著者はホィッグ史観を代表する人物なので、その点を考慮してください。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%83%83%E3%82%B0%E5%8F%B2%E8%A6%B3

参考URL:
http://www.uknow.or.jp/be/s_topics/100faqs/qa08.htm
j-scott
質問者

お礼

大変丁寧な参考回答をありがとうございます! 杉本稔さんの著書は大学の図書館に入っているようでしたので早速借りてこようと思います。 他にもいくつか資料文献を見つけることができましたし、まだまだ課題の先は長いですがレポートもそれに伴うプレゼンもどうにかなりそうです! 本当にありがとうございました!!

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