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人間の個人差について
人間は基本設定(目は2つで指は五本だとか)は同じですが、個人差はありますよね。 この個人差がなぜ生み出されるのか、という質問です。少し調べてみましたが、 (1)塩基配列の違い(2)コピーされる遺伝子の数の違い によって作られるタンパク質に変化が生まれ、個人差につながっていくということでしょうか? そして、塩基配列の違いやコピーされる遺伝子の数も、家族間ではやはり似通っているのでしょうか。 また、個人差を調べているうちにHLAについても興味が出てきました。免疫の本なども読んでみたのですが、完全に同じHLAを持つ人間はほぼいない、ということでこれもある意味では個人差なのだろうか?と思いました。でも、HLAは両親からの遺伝ですよね…。HLAは塩基配列の違いや、コピーされる遺伝子の数が違うこととは無関係なのでしょうか。 どれか一つにでも回答をいただけると嬉しいです。 これらに関係するWebページや、入手可能な文献なども教えていただけると幸いです。
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(2)のコピーされる遺伝子の数の違い、というのは何を指すのか意味がよく判りませんが、(1)の塩基配列の違いは当然あるでしょう。 もうひとつ、大切なことを付け加えれば(3)環境の違い、です。 一卵性双生児は「自然状態のクローン」で遺伝子はまったく同一ですが、「個人差」がまったくないわけではありません。 また、例えば牛でクローンを造っても、身体の斑紋は個体毎に違います。遺伝子だけで全てが決まるわけではない、ということなのでしょうね。 遺伝子の多様性は、もちろん家族間では似通ったものになります。子供が持っている遺伝子セットのバリエーションは、両親の遺伝子セットの組み合わせと突然変異だけになりますから。 ただこれもその組み合わせ方は非常に数多く存在しますし(1000人くらいの子を作ったくらいでは同じ遺伝子セットを持った子はできないでしょう)、突然変異の確率は非常に小さいので一般的には無視して考えても良いということで、「個人差は遺伝子の違いと環境の作用によって現れる」という理解でOKだと思います。 基礎から勉強されるのであれば、下記webくらいは一読してひととおり理解できるくらいには勉強されることをお薦めします。 あまりにも基礎的な事しか書かれていないので、それほど"役に立つ"というサイトではありませんが・・・ 遺伝学概論(web) http://www.fides.dti.ne.jp/~fuyamak/genetics/index.html 書籍で勉強されるのでしたら、とりあえずこれは「バイブル」と言って良い本です。ただし高いので図書館などで読まれることをお薦めします。専門家がちょっとど忘れしたり専門外のことを調べるのに、「あれはなんだっけ?」と今さら恥ずかしくて人に聞けないようなことを調べるのに使う本、という認識です。私はそういう使い方をしていますし。 「細胞の分子生物学」(ニュートンプレス) http://www.amazon.co.jp/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%81%AE%E5%88%86%E5%AD%90%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6-Bruce-Alberts/dp/4315517305/ref=pd_sbs_b_img_3 バイブルは少し高すぎるので、ということでしたらこちらは如何でしょう。なんとか自腹切って買っても良いと思える上限くらいの価格の本です。 この本の「基礎編」はなかなか判りやすく「遺伝」というものを解説していて面白いです。これは高校生物くらいの学力があればなんとか理解できると思います。 「応用編」は、まさに育種や品種改良等の現場で遺伝学をどう応用しているのか、という話になります。ま、このあたりになると私も実際の自分の仕事にクリティカルヒットしていない分野はよく判らなかったりしますからあまり真剣に読んでいませんが、基礎編の内容をきちんと理解すれば、ひととおりは概念くらいは判る造りにはなっています。 とりあえず「基礎編」だけでも非常に興味深く読めるのでお薦めです。この基礎編を難解に感じたり興味深いと思えなければ、それはそもそも「遺伝学」を学ぶのに要求される基礎学力が足りていない、ということだと思います。高校生物から復讐しなければならないでしょう。 「応用動物遺伝学」(朝倉書店) http://www.asakura.co.jp/books/isbn/978-4-254-45023-1/ もうひとつHLAについてですが、私の半端な知識でHLAをこのスペースで綺麗に説明する自信がありません。 免疫学も勉強し出すと非常に深く難解ですから(浅く容易な分野なんてないのですがね)、あまり一度に手を出さない方が良いと思います。 少なくとも、「個体差」についての疑問がきっかけなのでしたら、遺伝学から進化論あたりに興味が流れていく方が自然かと。遺伝学を勉強しながら分子生物学に興味が流れてしまったら、そのうち免疫学にも辿り着くかもしれませんけど。 「免疫学イラストレイテッド」(羊土社) http://www.yodosha.co.jp/book/9784897063720.html というわけで、もうGWも終わってしまいましたが、時間を見つけてこれらの本を読んでみて下さい。 ちなみにどんな分野でも言えることですが、ある分野をちょっとまじめに勉強しようと思う時は、ちゃんとした「専門家が書いた本」を最初に読むことをお薦めします。「専門家」というのは、例えば"医者"のような広い分野をカバーする職業人ではなく、その特定の分野(遺伝学なら遺伝学)で原著論文を何本も書いている人、のことです。 専門外の人だと間違いや嘘が多いので、最初にそういう本を読んでしまうと弊害が大きいです。特に遺伝学や進化論は魑魅魍魎といって良い状況です。 難解で取っつきが悪そうに見えても、専門家が書いた本を根気よく読んだ方が結局は近道でしょう。
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- geneticist12
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>1)塩基配列の違い(2)コピーされる遺伝子の数の違い 2で、どの遺伝子が発現するかというのは基本的には共通です。生存や生殖にかかわらないような、必須ではない遺伝子には、発現しなくなる変異をもった家系があるかもしれませんが、重要な遺伝子が発現しないならどこか異常が生じるでしょう。 1の塩基配列の違いというのはあります。タンパク質をコードしている配列が違えばアミノ酸配列に違いを生じ、それがタンパク質の機能・活性・性質の違いを、いろいろなレベルで(ちょっと違う程度から、非常に異なる場合まで)変化を与える可能性があります。 また、タンパク質をコードしていない領域でも、遺伝子の転写を調節する領域で配列の変化があれば、遺伝子の発現レベルやタイミングが異なる場合があります(個体差としてはこちらの方が大きいかも)。 たとえば、ABO式血液型(これも遺伝的個体差のひとつ)の遺伝子のタイプA, B, Oは、タンパク質をコードする配列の、一塩基(だったか非常に少ない数だったか)の違いによります。 また現在、医学薬学系の研究で、いろいろな遺伝子の一塩基多型(全体の配列は相同だけれど、所々に個体によって違う塩基があること。SNPといいます)の調査が盛んに行われています。そのねらいの一つは、体質や特定の病気へのなりやすさ、薬の効き方などのの個体差に関係する遺伝子の塩基配列の違いを見つけようというものです。 HLAは、非常に幅の広い個体差の代表的なものです。 簡単に説明すると、ABO式血液型と同じようなものですが、これは3タイプの遺伝子しかないのに対して、HLAは数万タイプが存在するところが違います。3タイプの遺伝子の組み合わせで決まる血液型と違い、数万タイプの遺伝子の組み合わせで決まるHLA型というのは、とほうもなくたくさんあります。 輸血なら同じ血液型の他人は容易に見つかりますが、HLA型の一致が必要な臓器移植や骨髄移植では、なかなか適したドナーが見つからないわけです。親子でも(HLA遺伝子のタイプを仮にアルファベットで表します) 父ABと母CDの間に生まれた子ACは、どちらの親ともHLAが一致しません(父に対してC、母に対してAのように合わないタイプがあると拒絶されます)。子の兄弟では、1/4の確率で同じ型になると期待できます。 何年か前に、一人息子を移植で助ける目的で、もう一人子供をもうけた例があって物議をかもしたことがありました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%90%83%E5%9E%8B%E6%8A%97%E5%8E%9F http://ja.wikipedia.org/wiki/MHC#.E9.81.BA.E4.BC.9D.E5.AD.90
お礼
遅くなって申し訳ありません。 一つ一つに対しての丁寧な回答をありがとうございます。何とか理解することが出来てほっとしています。HLAについても、わかりやすく説明してくださって感謝です。 回答ありがとうございました!
- splwtr
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ヒトゲノムの話ですね。 人間が人間を創り出すのは倫理上の問題がありまして その辺の文献があるのなら、クローン人間はいるような感じと思います。 しかし、個人差や個性に注目されてるのならば、「人間科学」と言う 面白い本があります。(謎が謎を生むような本です) 「唯脳論」も面白いかもしれません。 お役に立てる情報でしたら、幸いです。
お礼
遅くなって申し訳ありません。お早い回答に感謝です! 謎が謎を生むような本…。とても興味深いです。「唯脳論」も興味をそそられる題です。読んでみます! 回答ありがとうございました!
お礼
遅くなって申し訳ありません。 詳しい回答をありがとうございます!説明の仕方が悪くてすみませんでした。わかにりくいですよね…。 牛のクローンで斑紋が固体ごとに違う、などという話はまったく知りませんでしたので驚きでした。 また、Webや書籍の紹介までしていただいて本当にありがたいです。さっそく図書館で探してきます! HLAについてですが、そうですよね。免疫の方まで手を出したら結局どちらも中途半端になりそうです…。まずは、「専門家の書いた本」で遺伝子の勉強に専念しようかと思います。 回答ありがとうございました!