- ベストアンサー
集英社 中国・世界の歴史 学習漫画の毛沢東の扱いについて
集英社の学習漫画 中国の歴史と、世界の歴史の、共産党VS国民党の辺りを読むと、毛沢東がヒーローとして書かれています。 特に「世界の歴史」では、彼は農民出身で、農民を大切にした革命を行った、とありました。 しかし、農業に詳しいはずの彼が、「大躍進政策」で、飢饉を招いたのは何故でしょうか? 漫画が間違っているのか、歴史が間違っているのか、どこかでバイアスがかかっているのか… お教えくださると幸いです。
- みんなの回答 (6)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
バイアスがかかっているのかという質問には、かかっているのでしょうということになると思います。 ただしここで気をつけないといけないのは、バイアスがかかっていると指摘する人の意見、 あるいはバイアスがかかっているという指摘自体が、 逆のベクトルでバイアスがかかっている事が往々にしてあるということです。 つまり特定の国家、民族、イデオロギーという視点に立脚している限り、バイアスは避けられないということです。 それは右でも左でもです。 ご質問の件にしても、毛沢東の描写にバイアスがかかっているのは事実でしょうが、 それを安易に反左翼反中国に結びつければまた別の偏りが出てくるでしょう。 いずこの国でも革命家が革命を達成した後自分が今度は権力に染まってしまうことはつき物なのです。 ロベスピエール然りクロムウェルしかり、レーニン・スターリン然りです。 中国の歴史上でも圧制をおこなう王朝があれば、またそれに倒そうとする革命勢力も必ず立ち上がるものでした。 しかし圧制者と倒した革命指導者も自分が権力を握れば圧制を行うようになる事が繰り返されてきました。 中国や朝鮮をけなし我が国の歴史や人物を誇りたい向きもあるようですが、 我が国とて民衆の困窮を顧みない権力者などいくらでもいましたし、 それに対抗するものもやはりいました。 我が国だって共産化していれば毛沢東や金正日が出てきたでしょうしね。 江戸時代の名君とされる上杉鷹山とか徳川吉宗とか、こういう人が名君で有り得るのは、 それだけ前代の為政者が武家の格式・権威に固執して理不尽な財政を行い、民衆に負担がいっていた証左でもあります。 中国の思想家の荘子の有名な言葉に「家乱れて孝子あらわれ、国乱れて忠臣あらわれる」というのがあります。 これは子や臣下を例えにしていますが、君主にしても同じことですね。 とりとめなく書いていますが、要はどういうことかというと、他人の偏向は目についても 自分自身の偏向には気がつきにくいということです。 また自分の考えにあった意見はそれがまっとうで中立的に見えてしまうものでもあります。 歴史を普遍的に見ていくには、国家やイデオロギーから出発するのではなく、 「人間」そのものの本質に着目することが重要と思います。
その他の回答 (5)
- Roman0
- ベストアンサー率18% (118/628)
「歴史」というものは、司馬遷とヘロドトスが洋の東西で独立に発明した概念で、世界中、それ以前に「歴史」というものは存在しませんでした。 現代でも歴史という概念を持たない文化があるくらいです。 で、歴史とは、現在の国家の正当性を過去に遡って説明するためのストーリーなんです。 だから、「完全に公平な歴史」なんて物自体が、そもそも矛盾概念です。「まっすぐな曲線」というようなものですね。出発点からして「今の国家による統治は正統である」という結論ありきなんですから。 事実を誇張したり取捨選択するのは当たり前ですね。 が、中国の場合、これが日本人のセンスからしたら行き過ぎているというのがポイントです。 誇張や取捨選択ではなく、捏造や隠滅もOKというのがかの国の方針ですから。例えば、他者に対して「修正主義」と悪口のつもりで言ったりするのは、自分が主義で修正しているから他者もそうに違いないと思っていることの表出です。 結論として、漫画が間違っています。 毛沢東は一時期確かにヒーローでしたが、現在は単なる失政者であり虐殺者です。 また、毛沢東は農業に詳しいわけではありません。毛沢東の専門は中国の政治です。「権力は銃口から生まれる」という言葉に象徴される、徹底したリアリズムが、その特徴です。だから例えば、利用できるものは何でも利用し、利用価値が無くなったものは平然と切り捨てています。農民のことですが。
お礼
ご解答ありがとうございます! 毛沢東が一時期ヒーローであったのなら、ヒーローである時期を描いたあの漫画は合っているということになってしまいそうです。 しかし、農民に優しい政治家…という部分は間違いということが解ったので、違う目線から読めそうです。 中国は劉備もですが、ヒーローとして描かれている武将なり政治家は、みな、農民の味方という設定になっていますね。 ここにも中国側の誇張した解釈を感じてしまいます。
- jayoosan
- ベストアンサー率28% (929/3259)
毛沢東が農民出身だとしても、それで農業関係に詳しい、食料生産ができるとはなりません。 日本は農法を昔から研究し、古い書物に農法を残し蓄積し、未来に生かす知恵がありましたが、それでも情報のネットワークのない時代(明治あたりも含め)、その有益な情報が、全国で共有されていたわけではありません。実際いまでも、どこそこの県の誰々さんが、こんな農法でやっている、これはすばらしい、となると全国からその情報を求めて、農業関係者が押し寄せ教えを請いに集まります。 TOKIOのダッシュ村をみているとわかりますが、農業全般に詳しい人がついていますが、それでも虫に大量に食われたり、あるとき全部枯れていたりが起こります。しかしそれを失敗や、物事の終わりとは見ず、では次の栽培や収穫にむけて、どう条件を変え、自然と共生するかをしっているのが、あの詳しいおじいさんで、最終的に収穫に結び付けてくれています(すいません、名前忘れました)。 簡単にいうと、農業をやっていたというだけでは、8割がたは自然にやられて負けてしまいます。これは農業国に限らず、現在の日本でも素人農業者は同じだと思います。しかし、先人の知恵の共有と、ノウハウの蓄積が日本にはあるため、農業改革、米の食味改革(おいしい米の作り方)、を連綿とつづけることができました。 90年代に日本が中国で農業ビジネスをはじめ、中国産の食材向けに野菜を提供できているのも、日本人の知恵が入っているからです。 というわけで、毛沢東は、単に農民出身であったというだけで、農業に詳しいわけではなかったでしょう。実際彼は、16歳で故郷を離れ、思想の旅にでていますので、実践経験も少なかったのだと思います。 また大躍進政策のころも、先端の知恵をもっている人間もブレーンにもいなかったか、あるいは彼が回りの意見を聞く耳を持とうとしなかった(あるいは、当時の統治体制の中では、周囲は怖くて進言できなかった)のだと思います。 現在の金正日の一言で(あるいは彼がそう指示したと幹部が言葉を語って)、なんでも改革指示が人民に出されるようなものだったのかもしれません。 ちなみに日本の農法の蓄積や、日本人がみつけた農業技術は本当に世界から評価されており、JICAなどの団体を通じて、日本の農法の海外への伝授が毎年行われていますし、日本の農法を現地語に翻訳しマニュアル化した農書が各地で生きています。
お礼
ご解答ありがとうございます! 中国の農業レベルは当時、日本と比較にならないくらい低かった…といったことになるのでしょうか。 日本に米を伝来した国は中国だったのに、皮肉な事態だったのですね。
- buchi-dog
- ベストアンサー率42% (757/1772)
「「マオ 誰も知らなかった毛沢東」は「激辛書評で知る 中国の政治・経済の虚実」ではでっちあげと批判されておりますが、「矢吹 晋」さんも左翼論者なのでしょうか?」 下記のURLを参照すると、「矢吹 晋さんも左翼論者なのでしょうか?」は「イエス」のようですね。 http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-05/050510yabuki.htm 靖国神社に対して 「靖国についていえば、そういう日本古来の誇るべき伝統を踏まえたものか、神道の伝統的考え方にかなった神社かどうかということをよく考えなければいけないということですね。例えば小泉さんは、死んだらみんな神様、仏様になるんだから死者を区別していいのかと語りましたが、これは事実に合わないウソですね。私は、福島県守山藩の出身です。会津藩ではないけれども、私の小藩は会津藩や二本松藩に預けられたことがあります。そこで会津藩士たちの運命に関心がある。会津藩士は靖国に祭られていない。死んだ人はみんな神か仏になるとは、大ウソですね。 江戸無血開城の人気者・西郷隆盛も、祭られていないし、日露戦争の連合艦隊司令長官である東郷平八郎元帥も祭られていない。彼は病死した。そして乃木希典陸軍大将。彼は明治天皇の大喪当日殉死したので、やはり祭られていない。死者を厳しく選別するのが靖国の立場であり、ここをごまかすのは許されない。平気でそういうウソを言って、それが通っているのは実におかしなことです。」 などということを平然と言う人が、まともな史観の持ち主とは私には思えません。
お礼
再びご解答ありがとうございます。 「矢吹 晋」さんは無神論者ということでしょうか。 近世の日本人=神道、仏教と考えたら、確かに左よりの人に分類されるのかもしれません。 しかし、「激辛書評で知る 中国の政治・経済の虚実」は中国に批判的な書物なので、 親中=左翼 という理論になったとすると、微妙にかみ合わない気が致します。
- bossnass
- ベストアンサー率44% (176/394)
バイアスがかかっているんでしょうね。 集英社の「中国の歴史〈10〉現代中国と世界」、「世界の歴史 (17) レーニンと毛沢東」のシナリオは左翼系の文筆業の人です。 大手出版社やマスコミは、基本的に戦後左翼思考の人たちが上層部に多く残っていますし。 それよりも、この「世界の歴史」を一番多く買ってくれるところがどこかを考えた方が一番正確かもしれません。 ・・・多く買ってくれるのは「学校」ですね。 個人で買われる量の数倍は学校一括購入です。 学校で購入図書の選別は、もちろん教員。日教組組合員の人たちですから。 集英社も、思想以前に営利団体なので売れるものを出版しなきゃいけませんもの。 毛沢東や現代中国史の暗部やリアリティを描写した歴史マンガものは 「戦争論」ぐらいしかありません。 いかに売れているとはいえ、反左翼・エロ・グロ・血なまぐさい描写がある同マンガを図書室に置くのは、左にバイアスのかかった先生方たちも躊躇するんでしょうね。
お礼
ご解答感謝致します。 日教組の采配で、左翼寄りの漫画が子供たちに読まれているのですね…! しかし、あの漫画シリーズは、最初は清貧だった革命家が晩年は暴君・堕落化するパターンが多いので、 毛沢東のその後にあまり触れていないところを見ますと、近代史すぎるからカットされたのか、 ご解答の通りバイアスをかけているのか…限りなく黒に近いグレーであるとも見えますね。 「戦争論」は図書館にありましたので、今度借りて比較しようと思います。 (SAPIOは逆に右派ですが、小林よしのり氏は真実を書かれている…と信じていいのでしょうか?)
- buchi-dog
- ベストアンサー率42% (757/1772)
正解は「どこかでバイアスがかかっている」です。 毛沢東の実像については、下記の本を読まれるとよろしいでしょう。 マオ 誰も知らなかった毛沢東 上巻 http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31622357 下巻 http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31622358&pg_from=rcmd_detail_1 左翼系の歴史家が監修した歴史漫画で描かれている毛沢東は「虚像」です。上記の本で書かれていることが実像に近いと言われております。 大躍進で多数の中国人が餓死し、文化大革命で多数の中国人が犠牲になっている最中も、毛沢東と中国共産党幹部は贅沢な生活にふけっていました。これは、現在の北朝鮮の金正日と同じですが、もっと言えば「清や明の皇帝」と同じです。 清のある大臣についてのエピソードで、こういうものがあります。 高官A「貴官もご承知の通り、都の近くで飢饉が起き、毎日多数の者が餓死し、あるいは流民となって他国で乞食をしている。天子様に報告したか」 大臣B「天子様には、民は何不自由なく暮らしていると申し上げている」 高官A「なぜ本当のことを報告しないのか」 大臣B「本当のことを報告したところで、飢饉に苦しむ民を救えるわけでもない。天子様には係わりのないことなので、無駄なことを報告しても有害無益だ」 具体的にこのような大臣が実在した訳ではなく、いわゆる「東洋的専制」と言われるものを寓話化したものでしょう。しかし、金正日や毛沢東が、民が餓死するのを平然と無視できるのは、上記のような論理というか発想によるものです。これは、清や明の皇帝と何ら変わりません。 日本では、今も米沢では郷土の恩人として感謝されている上杉鷹山が残した言葉に下記のようなものがあります。 「伝国の辞(でんこくのじ)とは、鷹山が次期藩主・治広に家督を譲る際に申し渡した3条からなる藩主としての心得である。 内容は下記の通り。 一、国家は先祖より子孫へ伝候国家にして我私すべき物にはこれ無く候 一、人民は国家に属したる人民にして我私すべき物にはこれ無く候 一、国家人民の為に立たる君にて君の為に立たる国家人民にはこれ無く候 右三条御遺念有るまじく候事」 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%9D%89%E9%B7%B9%E5%B1%B1#.E4.BC.9D.E5.9B.BD.E3.81.AE.E8.BE.9E 毛沢東や金正日に、鷹山の爪の垢を煎じて飲めと言いたいですね。日本人に生まれて本当に良かったと思います。 なお「領民が餓死するのを座視するのは領主にあらず」というのは、名君と称えられる上杉鷹山に限らず、江戸時代の大名に共通する「常識」でした。 領民の困窮を放置して、幕府から咎められて領地を没収された大名が何人もいます。例えば、 上野沼田藩3万石 真田信利 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E7%94%B0%E4%BF%A1%E5%88%A9
お礼
ご解答感謝いたします。 「マオ 誰も知らなかった毛沢東」は「激辛書評で知る 中国の政治・経済の虚実」ではでっちあげと批判されておりますが、「矢吹 晋」さんも左翼論者なのでしょうか? (私は専門知識がないため、どちらが正しいかの判断は難しいです) しかし、後の歴史を考えたら、やはり漫画で描かれている毛沢東像は、正しいものとは言えないのでしょうね。 上杉鷹山氏の言葉は知りませんでした。 現在の、強国に媚びる日本の政治家にも垢を煎じて飲んでいただきたいものです。 素敵な心得を教えてくださって、ありがとうございました。
お礼
ご解答ありがとうございます! どのような執筆者も国ないし団体どこかに所属しているから、文章であらわす行為自体、バイアスがかかっているということになるのですね。 …となりますと、完全に公平な歴史書というのはこの世に存在しない…という結論に陥りそうです。 こういった言論をしても法律違反にならない日本でさえ、格差社会と叫ばれていますものね。 毛沢東だから圧制になったというより、人間の本質が圧制者…なのですね。 奥深い考察を感謝いたします。