伝統的には名前は漢字でつけています。
しかも,行列字(こうれつじ)といって兄弟の間では原則として同じ1文字を共有します(姉妹は必ずしもその限りではありません)。
行列字は,ある世代が「土へん」(厳密な部首でなくても文字の一部に「土」の形を含む)の字だったとしたら,その次の世代は「金へん」の文字,というように,五行思想の「木火土金水」(もっかどごんすい)の順序でローテーションが決まっています。
県立新潟短大の趙先生のサイトに詳しい説明があります(参考URL)のでご覧ください。
というわけで,今でも(少なくとも韓国では)このルールにのっとって命名する場合が多いです。
出生届にも,漢字表記の欄があります。
ただ,最近では少数ながら漢字表記を持たない人もいます。例えば,No.1の回答にあった,ワールドカップの車(チャ)ドゥリ選手もそうです。
ちなみに彼のお父さんのチャ・ボングン氏は「車範根」という漢字表記があります。
「金(キム)マリア」という例もどこかで見ました。
北朝鮮では公式には漢字を全廃していますので,出生届もおそらくハングルだけだと思われます。
金正日氏が生まれた頃はまだ名前にも公式の漢字表記があったのかもしれません。
アジア大会などのスポーツニュースで,日本のメディアでは韓国の選手を漢字表記していますが,北朝鮮の選手は柔道のケー・スンヒのようにすべてカタカナです。
なお,韓国でも漢字はあまり使われなくなっており,新聞でも政治家などは漢字が書かれていますが,スポーツ・芸能人はほとんどハングルだけです。
今年のワールドカップのときも,韓国の新聞で選手名の漢字表記を見たことはありません。(単行本で1冊,使用例をみたことがありますが)
韓国の方に「アン・ジョンファンは漢字でどう書く?」と聞いても,正確には答えられない方が多そうな気がします。
日本のメディアはよく調べるなあと思ったことでした。
お礼
非常に詳しい解説をしていただきどうもありがとうございました。大変参考になりました。