- ベストアンサー
現代中国音での「日本」の発音について
現代中国語の発音と日本の漢字の発音との違いは大変大きいですね。 先日の温家宝首相の演説で、日本と言うところだけは聞き取れましたが、なんだか「リューベン」といった感じの発音ですね。 そもそも、我が国に漢字が入ってきたときの発音はいわゆる漢音だと習いましたが、その後に呉音なども輸入されて、日本の漢字の発音は随分と複雑化しているようですね。ところで、「日本」という字の「本」が現代中国音では、ホンによく似た ベン という発音になるのは何とか理解できるのですが、「日」が リュウ となるに至った歴史的な変化の履歴はどんなのでしょうか。韓国では「日」は イル となるようですね。これは古代中国音から現代の発音への途中の時期の発音が入っているのでしょうか? また、漢音から現代音までの発音の変化の基本原則のようなものがあるならお教えください。
- みんなの回答 (6)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
中国語を学習している者です。ご質問の「日」の字の発音の件については、私も以前から気になっていたので、調べてみました。 原因は中国語側の音韻変化にあるようです。元々n音だったものが、「摩擦音」に変わったようです。「日」は、呉音では「にち」ですが、漢音で「じつ」と読まれることに、その変化の痕跡が残ってます。探したら、以下のページにも書いてありました。 http://plaza.harmonix.ne.jp/~onizuka/Yamatai.html 「次にこれは現代の北京語にも当てはまるが、」あたりをご覧ください。 摩擦音ですので、中国語が「r」の字を当てているのは他の国の人は誤解しやすいと思います。中国語の「日本」(ピンインではriben)をカタカナ書きするときは「ルーベン」ではなく「ズーベン」と言ったほうが近いかもしれないと思ったりします(i の母音は r の影響を受けてウみたいな音に変わっています)。 中国語の現代までの発音変化については、以下のページが分かりやすいかと思います。 http://www.pacific-en.co.jp/x260-4-2.html A4. 日本と中国の漢字音 (「弱唇音の分化」、「入声の消滅」、「濁音の消滅」、「舌面音化」あたりをごらんください)
その他の回答 (5)
- jayoosan
- ベストアンサー率28% (929/3259)
漢音の前に、上海あたりの呉音が日本の当時の都や中心部に広まっていたと考えるのが、多くの歴史書や言語関係の書物をよむ上でつじつまがあいます。 遣唐使を長安に送るようになり、その音が日本に入ってきて、呉音と異なることに日本人も気がつき、漢音をつかうようお達しが一部にありました。下記参照。 http://sanwa.okwave.jp/qa3683341.html (しかし呉音は十分普及しており、現在まで残ったといわれます) ではその前ですが、その前を漢音とよぶべきなのかわかりませんが、言語学ではなく歴史的に書物を追うと、日本から送られた外交文書の見事な漢文に中国側が関心したことがわかっていることと、中国の史記のいくつかに西のほう(九州ではないか)とおもわれるある地域に中国人からわたったと思われる人が集まって住む地域がある、ということが書かれているので、すでに中国大陸のどこかの地域の中国人が日本にすみついていたことは、推測できます。漢書等にみられますが、それが漢音とは限りません。 現在の標準中国語(普通話)は、北方の言葉をもってきてピンインの表記と簡体字を使うという政令のもと、1950年代より意図的に普及を試みたシステム化された言語なので、ここからすべての過去の中国語を追うには無理があると思います。実際、日本には南部方面からの移民が推測されますし、時代があとになるつれ南のほうから移住者の記録もみつかるため、現在の中国語の発音から判断できません。呉(上海あたり)からの人の日本への渡航が後世に途絶えたわけではないのです。 また、韓国の漢字学者も指摘していますが、中国の1000年以上前の音は、漢字自体が表意文字であるため、音に関してはハングルとか日本のカナなど音を表す外国語を頼りにしないと、もう当時の音がわかりにくくなっているとのことです。ただ一般的に南部の音に、古代の中国語の音がけっこう残っているといわれます。 「日本」は、広東語ではyat bun (ヤップンのような音)、台湾や福建の南のほうのミンナン語では、lit pun (リップン) 、上海語では nyiek ben (ニェッベン)などの音であり、現在のニッポンに通じるものがあります。また、 ミンナン語では、数字が、チ・ニ・サン・シ・ゴ・ラック(123456)、世界がシーカイ、了解がリャオカイ、など現在に通じる音もあります。福建の一部の人が「人民日報」を発音するとき「ジンミンニポー」と聞こえたこともあります(普通話では、ren min ri bao)。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A9%E5%8D%97%E8%AA%9E 漢音も呉音も唐音も、それぞれの地域の音であったため、現代音までの発音の変化はさまざまです。現在の普通話に通じる北方での音の変遷は現在の普通話に通じますし、また中国の各地域の言葉も、バbaとパpaを実は同じ音とみていたが、日本にはいってかわったとか、またラク楽とガク学も、楽もガクとも日本では読みますので、ある時点で変化が起きたであろうことを研究している方はいます。ただ、現在の中国語は、古代の音とは違うといわれます。 ところで音ではなく「日本」の漢字の意味ですが、日は日(太陽)はいいとして、本は「本物」の本とか元である、とする説明がありますが、漢字のもともとの意味(象形文字時代からの意味)は、木がありその下に大地があり、そこにしっかり根を下ろしている様を表しています。ですので、本とは、それ自体が本当という意味からとったわけではなく、 木の根元で、根元は大切な部分なので「大事な部分」「大切なもの」という意味で、そこから本(もと)という意味が派生しています。 日本は、太陽を大切なものとしているわけです。 http://www2.netwave.or.jp/~hamai/kanji/ki.htm
お礼
「一般的に南部の音に、古代の中国語の音がけっこう残っているといわれます。」ということに、現代日本語の標準語とされている関東式アクセントが実は、古い時代に畿内で使われていたアクセントの名残であるということと同じ現象であることを教えて頂き、興味深く読ませて頂きました。 また、日の本の語源も参考になりました。 ご回答ありがとうございました。
- Big-Baby
- ベストアンサー率58% (277/475)
>我が国に漢字が入ってきたときの発音はいわゆる漢音だと習いましたが 逆です。最初に日本に入ってきた発音が漢音です。隋による統一(589年)まで中国はいわゆる南北朝時代で、日本は南の王朝と国交があり、この南の方言音が日本に入ってきて、呉音と呼ばれています。唐では都は長安に置かれ、この長安の音が日本に入ってきて漢音と呼ばれました。「日」という字について言えば、「にち」と読むのが呉音で古い音、「じつ」と読むのが漢音で新しい音です。昔の日本人の耳には呉音の音はnit、漢音はjitと聞こえたことでしょう。マルコポーロが東方見聞録を書いていますが、その中で日本国のことをZipanguと書いています。元の時代の標準音ではすでに「ジー」に近い音になっていたのでしょう。現代中国音は漢音の直系ですから、昔の漢音もおそらく現代中国語の標準音ri(「ジー」と「リー」の中間音)であったと思われます。と、書いてきたのですが、ここまでは素人考え、漢字音研究家の藤堂博士の本があるので、参照すると、南北朝時代の「日」の発音はnrietで、唐の時代の発音はrietであったと書いてあります。昔の南方音にはnの音があったが北方では消えていたということなのでしょう。 なお言うまでもないことですが、今でもたとえば香港で話される広東語の音と標準中国語では発音はぜんぜん違います。すべての漢字について発音が違うのです。
お礼
nriet が n がとれてriet となった、そしてrはジーとリーの中間音というお話しは大変良く理解できました。ありがとうございました。 お教えの通り呉の国の方が、漢の国よりも一時代前でしたね。 大学受験のときの知識がどんどん抜け落ちて行くことに我ながらおどろいている年代です。
- mattari001
- ベストアンサー率50% (5/10)
さっきの回答で、中国語のピンインが正しく表示されませんでした。「日」は「riの4声」です。
- mattari001
- ベストアンサー率50% (5/10)
中国語で「日」は「rì」と発音します。発音は「巻き舌のリー」(北京語)か「下を歯に当てて唇を横に開くズー」(上海辺り)。広東語での発音は知りません。もし「リュウ」に聞こえるなら、それは温家宝氏の発音のクセかもしれません。口を教科書どおりに明確に横に広げずに普通に話せば「リュウ」に聞こえることもあるかもしれません。そもそも「巻き舌のリー」を聞き取る耳は日本人にはないですから。ただ中国語は地方によって発音がかなり異なります。例えば、「五」は北京では「ウー」ですが、「ゴ」というのを耳にしたことがあります。「香港」は広東語では「ホンコン」ですが、北京語では「シアンガン」です。また北京語を話す場合でも、教科書通りのきれいな発音で話す人はまれです。それは日本人も同じことで、アクセント辞典に標準語として表記されているとおりの発音で話す人はまずいないでしょう(もし辞書どおりの発音で会話をすればかなり奇妙に聞こえるかもしれない)。会話での発音はその人のクセが多分に出ます。
お礼
確かに、温家宝首相は「日本」の発音をするときには、唇を薄くして横に引いておられました。おっしゃるとおり、 日本語の場合も東京の山の手の方と思われる高齢のご婦人が、アクセント辞典どおりに「a RI ga tou」などと話されると奇妙な感じがしますね。いまでは殆どの東京の若い人は私の住む関西アクセント地方とあまりかわりない「A RI GA tou」と言う言い方をしていますね。
- nebnab
- ベストアンサー率34% (795/2317)
「日」を現代中国語の発音記号であるピンインで書くと、「ri」となります。 実はこの音、日本語のかなで書き表すのがいちばん難しい音だと個人的には思っています。質問者様のように「リュー」と聞こえても不思議はないですし、ピンインの「r」に引きずられて「リー」と書く人もいますがちょっと違うし…南方なまりだと明らかに「ジー」と聞こえますし… あえて書くと「r」は「リ」と「ジ」の中間の音です。 「ri」は日本語発音の「ジツ」に対応すると私は思います。「ジツ」が漢音か呉音か不勉強で存じませんが… 思いつくままに書きました。直接の答えではないですが参考にしていただければと思います。
お礼
ご回答ありがとうございました。試しに、舌の中央をへこませて両側を両歯茎につけて摩擦音を出しますと、「rhi」とも「zhi」とも聞こえる音になりますね。ジッが、リー系の摩擦音に変化したと言うことが何となく理解できました。
お礼
私自身では到達できないようなサイトをご紹介して頂きありがとうございました。大変参考になりました。 とくに、中国語が表音文字でなかったことから、昔の発音がわからないということ、および「入声の消滅」、「舌面音化」については非常に参考になりました。ありがとうございました。