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トランジスタのエミッタ抵抗
こんばんは。 電気回路を勉強している初心者です。 トランジスタのエミッタ抵抗について教えてください。 エミッタ接地回路でエミッタ側に抵抗を入れると、温度特性などでトランジスタの増幅率が変わっても、実際に出力される増幅が一定に安定すると本に書いてあるのですが、理由がよくわかりません。 ネットやこのサイトでも調べてみましたがわかりません。 よろしければ教えてください。よろしくお願いします。
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定性的な説明は isoworld さんと outerlimit さんの通りです。 もし定量的な説明が必要であれば以下を参考にしてください。 例えば以下のようなエミッタ接地の増幅回路を考えます。 ┌──-┬─ Vcc(電源電圧) │ Rc R1 ├─ Cout ─ Vout │ C Vin ─ Cin ─┼─ B │ E R2 │ │ Re ────┴──┴───── GND Vin が入力信号で、Vout が出力信号です。交流の入力信号に対して、カップリングコンデンサの Cin と Cout のインピーダンスはゼロと仮定します(これを考慮すると式が複雑になるため)。すると、交流の等価回路は次のようになります。 ib → ← β*ib Vin ─┬──┐ ┌──────┬─ Vout │ r ↓ β*ib │ R1//R2 └─┤← Ve Rc↑β*ib │ Re↓(1+β)*ib │ ─┴────┴──────┴─ r はトランジスタの入力抵抗、βはトランジスタの電流増幅率、ib はベース電流、Ve はエミッタ電圧です。 R1//R2 は R1 と R2 の並列合成抵抗で R1//R2 = R1*R2/( R1 + R2 ) です。電源ライン Vcc は一定電圧なので、交流的にはGNDと同じとみなせます。したがって入力端子から交流的に見ると R1 と R2 が並列接続されているように見えます(実は、信号源の出力抵抗が充分小さければ、この部分は全体の増幅率に影響しません)。 エミッタには、直流電圧に交流電圧(信号)が重畳した脈流的な電圧が出ていますが、この図で Ve というのは、その交流(信号)成分を意味しています。Vin もベース電圧の交流成分、Vout もコレクタ電圧の交流成分という意味です。電流も同様で、ベース電流やコレクタ電流は直流に交流が重畳した脈流ですが、図で示したのは交流成分の意味です。電流の向きは、ベース電流 ib が図の向きに増える方向に動いたときに、コレクタ電流 β*ib が図の向きに増えるということを表わしています。β*ib が増えると、コレクタ抵抗 Rc による電圧降下で、Vout は小さくなる方向(負の電圧の方向)に動くことになります。ib が増えるのは Vin が大きくなる方向(正の電圧方向)に動いているときなので、Vin と Vout の位相は互いに逆になります。 コレクタ電流は、ベース電流をβ倍したもので、エミッタ電流はベース電流とコレクタ電流の和なので、ベース、エミッタ、コレクタに流れる電流について以下の関係式が得られます。 ベース電流 ib = ( Vin - Ve )/r --- (1) エミッタ電流 ( 1 + β )*ib = Ve/Re --- (2) コレクタ電流 β*ib = -Vout/Rc --- (3) 式(1)を式(2)に代入して ib を消せば ( 1 + β )*( Vin - Ve )/r = Ve/Re これを Ve について解くと Ve = ( 1 + β )*Vin/( r/Re + 1 + β ) --- (4) 一方、式(1)を式(3)に代入して ib を消せば β*( Vin - Ve )/r = -Vout/Rc --- (5) 式(4)を式(5)に代入して Ve を消せば β*{ Vin - ( 1 + β )*Vin/( r/Re + 1 + β ) }/r = -Vout/Rc → Vout/Vin = -( β*Rc )/{ 1 + ( 1 + β )*Re } --- (6) となります。上式の右辺の分母・分子をβで割ると Vout/Vin = -Rc/{ Re + ( r + Re )/β} --- (6') となります。- がついているのは、Vin と Vout が逆相になっていることを表わしています。 トランジスタの電流増幅率 β が非常に大きいとき、式(6')の ( r + Re )/β はゼロとみなせるので Vout/Vin = -Rc/Re となって、信号増幅率( Vout/Vin )はコレクタ抵抗とエミッタ抵抗の比だけで決まります(この近似式は増幅器の設計によく用いられます)。 しかしβ が非常に大きいとはみなせないとき(普通のトランジスタのβは数十~数百程度)、βの大きさによって Vout/Vin が変わります。Vout/Vinが β の変動に対してどれくらい安定しているかというのは 、式(6)をβで偏微分した「信号増幅率の変化率」で評価します。 信号増幅率の変化率 = ∂( Vout/Vin )/∂β = - Rc*( r + Re )/{ r + ( 1 + β )*Re }^2 --- (7) β が非常に大きいとき、信号増幅率はゼロに漸近しますから、βの変動に対して信号増幅率は変化しない、つまり増幅率は安定ということになります(βそのものが大きいのでβが多少変わっても影響が少ないのは当然といえば当然ですが)。 βが有限の場合、Re がもしゼロ(エミッタ抵抗がない)ならば 信号増幅率の変化率 =- Rc/r --- (8) となって、Rc が大きく、r が小さいほどβの変動に弱い回路になります( r は通常、数kΩで、ベース電流が大きいほど小さくなる)。式(7) を書き直すと 信号増幅率の変化率 = ( Rc/r )*( 1 + Re/r )/{ 1 + ( 1 + β )*( Re/r ) }^2 となります。この式は分子に Re/r、分母に ( Re/r )^2 の項があるので、Re/r が大きいほど信号増幅率の変化が小さいことを表わしています(Re/r = 0 のとき式(8)になります)。 式ばかりいじっていてもピンと来ないので、数値例を紹介します。Rc = 10kΩ、β = 100、r = 5kΩ の回路で、何らかの原因でβが 50 に下がったり、200にまで大きくなったとします。すると、式(6)または式(6')を使って計算すると分かりますが、回路全体の増幅率、増幅率の変化は以下のようになります。 ・Re = 0 の場合 増幅率 = -100(β=50)、-200(β=100)、-400(β=200)、増幅率の変化 = -50%~+100% ・Re = 100Ωの場合 増幅率 = -49.5(β=50)、-66.2(β=100)、-79.7(β=200)、増幅率の変化 = -25%~+20% ・Re = 1kΩの場合 増幅率 = -8.93(β=50)、-9.43(β=100)、-9.71(β=200)、増幅率の変化 = -5.4%~+2.9% Re が大きいほど増幅率そのものは低下しますが、安定度が良くなることが分かると思います。なお、エミッタ抵抗に並列にコンデンサを入れた回路は、交流的にはRe が小さい回路になるので、信号増幅率は大きくできますが安定性は良くありません(直流的な動作点は安定します)。
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- outerlimit
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簡単に言えば 補償作用です 温度が変わり、増幅率が上がればエミッタ電流が増加します →エミッタに接続の抵抗に流れる電流が増え電圧降下が大きくなる →エミッタの電圧が上がる →ベース-エミッタ電圧が下がる(ベース入力が下がる) →エミッタ電流が減少する 詳しくは 勉強してください
お礼
なるほど。大変よくわかりました。ありがとうございました。
- isoworld
- ベストアンサー率32% (1384/4204)
エミッタ接地回路でエミッタに抵抗Reを入れると、コレクタにつけた負荷抵抗をRcとすれば、その電圧増幅率は概ねRc/Reとなり(ReもRcも適切な値の場合)、トランジスタのhfeやその他の特性のバラツキ・(温度)変動に左右されにくくなります。フィードバックがかかった状態になるので、安定になるわけです。
お礼
電圧増幅率はRc/Reにのみ決まるので、トランジスタの増幅率に左右されなくなるのですね。よくわかりました。ありがとうございました。
お礼
詳しい説明ありがとうございます。 等価回路で式を計算してみると実際に安定する事がわかりますね。 大変参考になりました。ありがとうございます。