カトリックでは、僧になる時、頭の上部を剃る儀式をします。頭の上部というか脳天というか、仏教の僧は、頭全部を剃って,丸坊主になりますが、カトリックでは、脳天を剃って、額の生え際とか、耳の上とか、後頭部とかの髪は残します。
その結果,残った髪が、脳天が剃られた状態で、頭を囲むような形で輪を描きます。これをトンスラ(ラテン語でトンスーラ tonsura)と言います。これは、最初に僧となる時に剃るもので、この儀式のことも、トンスーラと言います。
中世では、最初の儀式の時に剃って、その後もずっと剃り続けたようですが、近世以降になると、普段は、髪を生やしているケースもあります。フランシスコ・ザビエルは、カトリックで、イエズス会の修道士ですから、当然、ずっと剃髪し続けていたはずです。
ただ、男性の頭は、歳と共にはげてくる人がいるのであり、そういう人は、別に頭を剃らなくとも、自然にトンスラの状態になります。ザヴィエルは剃った結果、頭に髪がないのか、歳を取って禿げたので髪がないのか分かりません。
十数年前の映画「薔薇の名前」では、ショーン・コネリーが、中世のフランシスコ会の修道士を演じていましたが、彼の頭は当時すでに禿げていたので、頭を剃髪する必要はなかったのですが、他のメインの出演者は、頭を剃り、髪が生えてくるので、撮影のため、毎日頭を剃り、たいへんだったという話があります。F・マリー・エイブラハムなどがそうです。
また見習い修道士の場合は、完全に頭頂部を剃るのではなく、トンスラの印として、頭の髪を小さく円形に部分的に剃ります。
トンスラをするのは、カトリックの神父、修道士で、プロテスタントの牧師はそんなことはしません。しかし、東方教会の聖職者は、トンスラではなく、仏教の僧と同様、頭全体を剃りました。
トンスラの儀式は1972年に廃止されました。僧になる時の儀式のトンスラと、その後もトンスラを続けることはまた別です。チェーザレ・ボルジアは枢機卿ですから聖職者ですが、彼が頭を剃っていたという話は聞きません。
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