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日本律令国家における典薬寮の役割について
こんにちは。 日本古代では、疫病や熱になると、呪術や祈祷でもって その人を回復させようとしているイメージがあります。 では、典薬寮(後、内薬司併合)の役割って何だったのでしょうか。 生薬や鍼灸施療が、病気回復につながるのだと 当時の人々は思っていなかったのでしょうか。 知識を教えていただければ幸いです。
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「この時代、やはり医学も迷信的で極めて儀式的・呪術的なものにすぎなかったということでしょうか」 そうではないと思いますね・・。 典薬寮を設置したことからして、呪術的医療から大陸から伝来した医学に、少なくとも上流階級の意識は変わっていたと思います。 それは、典薬寮における医学教育が、医学全般を教えるといったあいまいな内容ではなく、医生、鍼生、按摩生、呪禁生に分かれており、さらに医生は、体療(内科)、少小(小児科)、創腫(外科)、耳目口歯と分かれていたという事実です。 しかも、医生の修業年月は、体療7年、鍼生も7年です。 つまり、大陸の医学を修得するには、それだけ専門的な知識・技術が必要だということを認識していたからに違いありません。 そして、すべて官費でまかなわれていますから、最新医学を導入するという当時の国家の意気込みを感じます。 民間療法に限らず一般庶民のことは、記録されることが少ないので、どのような治療がなされたのか、専門家ではないので分かりません。 まだまだ”神だのみ”の域を出ることはなかったのでしょうが、寺院の施薬事業など、医僧の役割が大きかったと思います。 そこで、庶民は「灸」治療を受けることはあったと思います。 参考。丸山敏秋著『鍼灸古典入門』 http://www.shibunkaku.co.jp/shuppan/shosai.php?code=478420475X
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- forest12
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もちろん、日本古代に西洋医学的知識を求めるのはおかしいわけですが、祈祷だけに頼っていたわけでもないようです。 天然痘や麻疹が流行りますが、もちろんウイルス性のものだとは気づいていませんから、あまり対症療法もできなかったでしょうが、 とりあえずの処置として、水や生ものは口にさせない、ネギやニンニクなどを煮て食べさせる、あとは安静にさせるなどは奨励されたようです。 (つまり生薬というか漢方的な効果を狙っていたとは思われます。) 天然痘の治療のため、海藻を口に含ませるという指導も典薬寮が行ったそうですが、これはさすがに生薬としては考えにくいでしょうか。どういう効果を狙ったのかはわかりません。 また、当時は衛生状態がかなり悪く、奈良時代の下級役人は赤痢や疱瘡など(他には座って仕事をするので足病や腰病など)を罹患しました。 そのときの対処法としては、湯治、鍼灸治療なども行いましたし、できものなどは、蛭食(ひるかい)といって、患部にヒルを載せて悪い血を吸わせる治療が行われました。 ただし、流行の病などは、そういう努力も甲斐なくバタバタと人が死んでいくので、人智の及ばぬ部分に畏怖の念を覚え、 それが御霊信仰へと繋がっていくのですが、ちょっとご質問の趣旨からは外れますので省略します。 (菅原道真の天神信仰などは、実際謎の夭死が相次ぐなどしたため形成された側面がありまして、ご興味があれば調べてみるとよいでしょう。) 拙い知識で申し訳ないです。少しでもご参考になれば幸いです。
お礼
なるほど……ありがとうございます! 医療もちゃくちゃくと発展していっていたんですね。 ヒルに悪い血を吸わせる治療なんかも驚きです。 細かく教えていただいて感謝です!
- fuuraibou0
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典薬寮では、頭(かみ)以下の職員ならびに医師、針師、按摩師、呪禁師、 薬園師、また各科の博士、生徒が所属し、平安時代には、元旦から3日間、天皇に薬を供御する際、典薬寮の内薬司(うちのくすりのつかさ)の差し出す薬を後宮の尚薬の「薬の女官(にょかん)」が預かり奉献していました。
補足
ありがとうございます。 『延喜式』の典薬寮条の規定ですね。 正月に献上されるのは屠蘇や白散ですよね。 それは長寿を祝って飲む薬酒ですね。 呪禁師も、後々陰陽寮などの興隆により、衰退していったみたいですね。 ではこの時代、やはり医学も迷信的で 極めて儀式的・呪術的なものにすぎなかったということでしょうか?
お礼
回答ありがとうございます。 細分化されてより専門的に教え込まれていたんですね。 興味深いです。 参考URLに書かれていた「呪術は医療発展を遅くした原因」だというのも 納得です。 医療は医療で国家の力が入れられていたんですね。 参考として挙げていただいた本も探します! ありがとうございました。