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国家憲兵の役割とは?イタリアとフランスの組織について
- 国家憲兵とは、イタリアとフランスに存在する組織であり、警察や軍隊といった役割の住み分けが特徴です。
- イタリアの国家憲兵は重武装の機動隊や陸上版の海上保安庁として活動し、治安維持や国境警備など多岐にわたる任務を担当しています。
- フランスの国家憲兵も同様に治安維持や国境警備を担当しており、陸海空と肩を並べる第四軍という大きな組織に所属しています。
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ヨーロッパ諸国における「憲兵」の歴史は、君主国(王国)時代の近衛兵、そしてその起源はローマ帝国の皇帝(インペラトール)を守る近衛兵までさかのぼることができます。 ローマ時代の軍隊はローマ領域内の各地域や城壁都市内では実質的に警察の役割も担っており、法律的にも軍隊と警察の区別があいまいでした。ところが共和国時代からローマ市内には軍隊を入れることができず、市内には警察組織がなく、有力者が私兵を雇って自分の身を守っているのが普通でしたし、庶民は自警団を組織しているのが普通でした。 有名なカエサルの時代は、ルビコン川が市内外を分ける境界線だったため「賽(さい)は投げられた」という有名な句が残ることになったわけで、つまりルビコンを渡るということはクーデターを意味していたわけです。 また自警団というとレンブラントの「夜警」を思い起こさせると思いますが、近代的な警察組織ができるまでは自分たちの自治として警察権も庶民の中にあったのです(ただし、裁判権と検察権は王や政府にありましたので、勝手に罰することはできませんでした) このカエサルが暗殺されたことにより、カエサルの後を継いだ初代皇帝アウグストスによって、最初の近衛軍団が作られます。市内には軍隊を置いてはいけないのに、近衛軍団は外の敵と戦う軍隊とは違って皇帝を守るための組織ということで、市内におくことができるようになったのです。 このような経緯から古代ローマから1000年程度たったフランス王国などでも近衛兵という組織は生き残り、日本でもベル薔薇の舞台にされるぐらい有名になっています。今でもこの伝統が生き残っているのが、各国の「国家憲兵」という組織になるのです。 このような伝統を鑑みれば「国家憲兵」そのものが近代的な警察組織よりも以前に軍隊組織から発生したのがわかると思います。そのため、現代でも軍の位置づけであり軍の組織の中に位置づけられるのです。 そしてやっていることは「国家の安定を脅かすすべての人・状況の排除」であり、国外であれば軍隊、国内にあっては警察という仕事になるわけです。 逆にいえば近代的な「警察」は、近代的な考え方があって始めて生まれたものであり「私権の制限」を誰がどのように行えるか、という問題があるのです。 この問題の解決には、実は様々な方法があります。日本でも警察は都道府県単位で設置することになっていますが、これは元々藩の単位で各藩が警察権を持っていたことに由来します。同様に日本では消防は市町村レベルで設置します。これも火消しの時代から村や町の自治組織が火消しを担ってきた文化を近代的な行政組織に取り入れた結果なのです。 フランスにおいては、人口1万人以上の町には独自の警察組織を置くことができ、それ以外のすべての場所は国家憲兵隊が警察業務を行っているようです。つまり、古代ローマの城壁都市は自治自警団、それ以外の領域は軍隊、という住み分けの伝統が残っているということでもあります。 パリにおいては、パリ警視庁があり警察権を握っていますので、国家憲兵隊は要人警護、つまりSPの仕事が主な任務になっているようです。しかし、捜査権はありますので要人警護に必要な範囲内でテロ組織を捜査したり、実行犯を逮捕したりできるようです。 イタリアにおいては、もっと事情が複雑なようで、詳しくは分かりませんが「取り締まる対象」によって組織が分かれているようです。 日本においても同様ですが、近代国家(民主的な国家)ができるまでは、軍隊が警察の役割を担っていたのです。近代国家は軍隊と警察の役割を分けたのですが、武力でもって人々に強制させる力がある、という意味ではその境界線は実にあいまいなものです。 日本でも今の自衛隊は「警察予備隊」という名前でスタートしましたし、日本の海上保安庁は警察(そのため領海を越えて警察権を実行できない)ですが、海上自衛隊よりも実戦経験豊富と言われています。実際に、不審船が体当たりしたり、射撃されたりしているのは海上保安庁ですから、その通りなのかもしれません。 日本は島国なので、国の中と外が明確ですが、ヨーロッパをはじめほとんどの国は国境で隣の国と接していますので、軍隊と警察の境界も明確に出来ないところがあるのでしょう。フランスの憲兵は都市以外を守っているのですから、誰も居ない山岳地帯で隣の国が攻めてきたら、軍隊として対応する必要もあるわけです。警察の場合は、国内法に則っていない限り勝手に撃ち殺すことは出来ませんから(軍隊は即応できます)そういう意味でも、曖昧でないと対応できないところもあるのだと思います。 ちなみに、イタリアの中にあるバチカン市国では、軍隊を持っていませんが市国内の警察権は「スイス人衛兵」が担当しています。詳しいことはウィキィあたりを参照していただきたいのですが、時代がかった衣装を見るだけでも、宮崎駿の「ルパン三世 カリオストロの城」に出てくる衛兵を思い起こします。 多分に、バチカン市国の衛兵からインスピレーションを貰ったことはまちがいないところだとおもいますが、伝統や文化というのは意外なところで生きているものです。
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- AkiraHari
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誤解を招く書き方でした。憲兵は軍隊の警察ですが、軍人だけを取り締まるものではありません。 イタリアの国家憲兵はネットで調べてください。私もそこに書かれていることしか知りません。 他にも国によっては親衛隊などもあります。今注目されているリビアも親衛隊があり、これがカダフィ側の主力です。アメリカは陸海空軍だけでなく別に海兵隊があります。勿論憲兵(MP)もあります。 今の日本には自衛隊があり、これには警務官が存在します。自衛隊の警察官なので一応、憲兵に相当します。ただし、戦前戦中の憲兵とはだいぶ違います。日本の戦前戦中の憲兵は本当の憲兵で軍隊の警察官と言うだけでなく司法・行政警察権限もありました。軍法会議もありました。 普通の警察は主として普通の犯罪を取り締まります。窃盗とか強盗などです。憲兵や特高は国家に係ることを担当したようです。つまりスパイとか当時の政権に反対する行動などです。赤紙が来て息子を戦場に送り出すのに万歳で送らない者も非国民として取り締まり対象になります。その頃生きていたわけではないので聞いただけの知識です。内地、いわゆる今の日本国内と外地、いわゆる朝鮮や台湾、満州などでは役割も違ったようです。
お礼
再度の回答ありがとうございます。 私は「憲兵」というものを紹介して頂いた自衛隊の「警務官」に近い組織と考えており、本来の「憲兵」の役割を誤解していたようです。 カラビニエリだけでなく、日本の事例についても色々調べてみたいと思います。 また機会があればよろしくお願いします。
- AkiraHari
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憲兵のことです。 その国によって、任務は微妙に変わりますが、基本的には軍隊の警察です。米軍ではMPですね。 軍隊の警察と言っても取り締まり対象が軍隊だけというわけではありません。
お礼
回答ありがとうございます。 普通の憲兵と違い民間人も軍人も取り締まる権限を持っているということでしょうか? 民間人も取り締まる場合警察との住み分けはどのように為されているのでしょうか?
お礼
回答ありがとうございます。 憲兵の歴史的経緯を説明して頂き、国家憲兵という組織が巨大な理由をようやく理解できました。 私は「憲兵」というものを単に軍人だけをとりしまる軍内部の警察組織と誤解しており、「憲兵」と職務内容が幅広い「国家憲兵」は全く別物なのだろうと考えていました。 そもそも「憲兵」という組織自体、近衛兵から発生した様々な任務を持つ組織だったのですね。 今後は対テロ組織などとして存在感が増すかもしれませんね。 職務の住み分けについてはフランスの事例を紹介して頂いたのでカラビニエリについては自分で調べてみようと思います。 また機会があればよろしくお願いします。