非常に簡単に言うと、吟醸と大吟醸は、仕込む米の精米歩合の違いです。精米歩合とは仕込むお米をどれだけ削るかということで、米の周りの「ヌカ」部分を取っていくことで雑味がなくなって、芯に近い部分だけを使うことで、まろやかなで純粋な味が出るといわれます。
例えば精米歩合35%というのは、6割5分は削って取ってしまうことを意味します。
また「純米」がつくかどうかは、原料に「米」「水」「麹」だけで作られたもので、醸造用アルコールを添加していないものを指します。
醸造用アルコールは添加量が決まっていますが、これを入れることで、味が引き締まり、また菌による腐敗を止める意味で用います。
アルコールを入れないものはお米の味がはっきり分かり「純米信仰」などとも言われますが、これも好みの問題で一概には言えません。
さて日本酒のグレードは単に「大吟醸」がいいかというと、一概には言えず、「仕込み水」「麹菌」「酒造好適米」の他に、もろみに圧を掛けずに滴ってくる雫を取ったものや、斗瓶に取って貯蔵したもの、カス歩合、など様々な要因で、おいしいかどうかが決まります。
麹菌でも、お米の芯に向かって繁殖するタイプや、逆に表面で繁殖するタイプなど、それによっても日本酒度が違ってきます。
規格外の山田錦を使って杜氏教育用に作ったら意外とおいしかったので市販してしまった「ひょうたんからこま」や、大吟醸の「あら」と純米吟醸の「せめ」をブレンドした「鍋島の裏ラベル」など、日本酒の世界は奥が深いです。
単純に吟醸、大吟醸では語れないのが日本酒です。
違った視点では、鑑評会出品酒があります。今では二百数十も受賞しますし、出品用だけに酵母を変えたりお米を変えたりして、ありがたみは薄れましたが、そういうお酒を出品できる蔵元の力量は認めてもいいと思います。