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WAIS-R
WAIS-Rの知能検査で言語性IQが110、動作性IQが90の場合、処理速度は遅いが記憶等はいいので文系が得意という判断でいいのでしょうか?
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言語性IQが110,動作性IQが90というのは平均的であり, 言語性と動作性の差も深刻なものではないと思います。 と同時に,この数字だけから 「文系が得意」などという判断を下すのは不適切でしょう。 そもそもWAIS-Rは診断的「知能」検査であって, 文系/理系といった「学力」類型とは本来別次元のものです。 言語性,動作性というのは課題の性質による分類であって, もともと動作性検査は心身の障害や教育環境上の理由などから 言語を介した検査に向かないケースを想定して導入されたものです。 WAIS-Rの言語性検査の下位項目には 「知識」,「理解」,「算数」,「類似」,「単語」,「数唱」が含まれます。 これらがはたして「文系的能力」と言えるでしょうか? これらのうち「単語」,「知識」,「類似」の3項目はたしかに「言語理解」という因子に括られますが, 言語理解は文系はもちろんのこと,理系においても必要とされる能力です。 また残りの「理解」,「算数」,「数唱」は 理系的能力そのものではないにしても,それと関連を持つことは容易に想像がつきます。 言語性検査によって測定されるこれらの能力は 文系/理系に共通して学力の土台を成すものと見るべきでしょう。 同じようなことは動作性検査についても言えます。 WAIS-Rの動作性検査には 「絵画完成」,「符号」,「積木模様」,「迷路」,「絵画配列」,「組合せ」が含まれます。 これらが低位の場合,理系の分野でやっていくのはたしかに難しいかもしれません。 だからといって文系にとっては無用の能力かというと,そういうものでもないでしょう。 実際,文系の大卒募集に際して企業が課すSPIや 法科大学院の適性試験ではこの手の問題が必ず出題されます。 御質問のケースの場合, 理系の進路を選択すると困難を生じる可能性があるが, 文系に向いていると積極的に言えるほどのものでもない, というところでしょうか。