「ありのまま」の「あり」は「存在」を意味する動詞「ある」がもとになったものですから、その存在自体が問題になっていると思います。したがって、そのものがそのものとして存在する基本的なもの、たとえば、内面的な性格や性質などに注目した表現だと思います。
したがって、「ありのまま」は「内面」に注目して、それが変わらずに「外面」に表れていることを表すのではないでしょうか。
これに対して「そのまま」は外面や外見に注目して、それが、内面や過去の状態と違っていないことを表すように思います。
たとえば、No.1の方が挙げてくださった辞書の「そのまま」の用例では、「聞いたことを『ありのまま』話す」は言えなくはありませんが、(A)「『ありのまま』動くな」、(B)「本物『ありのまま』に作られた偽造品」、(C)「鞄(かばん)を置くなり『ありのまま』遊びに行った」といった使い方は無理だと思います。
(A)では、体の姿勢というあくまで外見的なもの、(B)では、中身や機能といった本質的なものではなく、外見がそっくりであるということ、(C)でも、「鞄」が「置かれている」という動作の結果としての外見的事実、にそれぞれ注目しての表現だからでしょう。
「話す」を修飾する場合は、「ありのまま」も「そのまま」も使えますが、「ありのまま」は、「事情をありのまま話す」のように、(No.2の方がおっしゃるように)偽ったり飾ったりせず、内的なものをそのまま外に出す。「そのまま」は表現などの外的なものを変えることなく表す、という傾向があると思います。
もちろんそれらの重なり合ったところでどちらでも使える場合がありますが、極端な例を挙げれば(あくまで極端に言えば、です)誰かの言ったことを「伝える」場合に、「ありのまま伝える」なら、「彼はうざいと言った」ということを「彼は不快感を覚えている」と表現してもいいが、「そのまま伝える」なら「うざい」という言葉を使って伝えるということになるのではないでしょうか。
お礼
解りやすくご回答頂き、有難うございました。 説明する時に使わせて頂きます。