まず言いたいのは、政治家のお題目を真に受けたらいけないということです。
政治家は、事実ではなく、人々に信じさせたい内容を話します。
単純なフレーズ、単純な構図で話すことで、人々に故意に誤った結論を持たせ、政治家が行いたい政策を支持させるためです。
ま、要するに我田引水ということですね。
だから我々は政府の発表は、政治家の見解を鵜呑みにせず、
実際に何が起きているのか、本質は何かをよくよく見定めなくてはなりません。
それを踏まえて考えるべきは、まず「テロとの戦い」ってなんやねんてことです。
イラク戦争はテロとの戦いといえるのか? 答えはノーです。
テロとの戦いとはそもそも何か。テロリズムとは概念にすぎません。
人々の頭のなかの考えと戦うことは不可能です。
もしそれが可能ならば、ドラッグや、暴力犯罪も撲滅できるはずですが
そういうことはできたためしがないのです。
ではテロリストとの戦いなのでしょうか。
しかしテロリストとはすなわちテロリズムを信奉する人のことであって
テロリズムとは暴力やその脅威に訴えて物事を解決しようとする人であり、
これはアメリカ軍も含めて多くが対象になる。
ブッシュ政権は、さも、テロリストという明確な敵がいるようなく口調ですが
実際にはテロリストは、普通の人が誰でもなりうるものでしかありません。
ではアラブのイスラム原理主義者が敵なのでしょか?
これは宗教戦争か? それはまさしくアルカイダの主張です。
宗教は無形のものですからそれ自体が争うことは不可能なわけで、
実際に争ったことはなく、事実は宗教が争いの口実に利用されるだけです。
テロとの戦いというフレーズは、ブッシュ政権が戦争を正当化するための方便にすぎません。
識者間では、4年前の開戦当初から、ブッシュ政権が”見えざる敵”との戦いを煽って、9/11の恐怖を政治的に利用しているという指摘がなされていました。
事実、存在しない脅威が喧伝される一方で、殺戮と破壊の種をまいたというのがブッシュの戦争の結果なのです。
アフガニスタンを中途半端な状態で放棄してタリバンを復活させ、
一方でイラクを破壊して再建する能力もない。
また勝つ、負ける、と簡単に言いますが、勝利の基準というのは
一見すると絶対的な基準があるように思えますが、実際にはきわめて不明確で相対的基準にすぎません。
要するに、何を持って勝ったかとは一概にはいえないのです。
だからある基準では敗北でも、ある基準では勝利ということは
往々にしてあるのです。
よって政治家は思い通りに勝敗を細工できるというわけであり、
逆に言えば、勝ったか負けたかなどたいした意味はないのです。
重要なのは、結果的にどうなったか、現状はどうかということであり、
そこから導き出される近い将来どうなるかということです。
アメリカがいまやろうとしていることは、単に出口戦略をどう構築するか
ということであって、勝ち負けではありません。
共和党を中心に考えれられているのは、増派でイラク全土を一時的に軍事制圧下において
短期的な平静状態をつくって、それから撤退するというもの。
いわゆるニクソンの”栄光ある撤退”の焼き直し。
ま、現状ではそれ以外の選択肢はないのは誰の目にもあきらかです。
お礼
回答ありがとうございます。テロ戦争を始めたら、テロが激しくなったのはなんとも皮肉な話ですね。 「共和党を中心に考えれられているのは、増派でイラク全土を一時的に軍事制圧下において短期的な平静状態をつくって、それから撤退するというもの。」 なるほど、確かにそのとおりですね。共和党が何をしようとしているのかが納得しました。