ごめんなさいでした。いやー、鉛筆も持たずに回答かいちゃいけないでした。はい。stomachmanうんうんうなってまじめに考え直しました。
結論から言いますと、
「i,-1,あるいは-i倍されている、というのを気にしない、という約束する。だから、(2+5i)(2-5i), (5+2i)(5-2i) ,(-2-5i)(-2+5i), (-5-2i)(-5+2i) は全部同じ分解であるとみなす。そういう約束のもとで分解は1通りである。」
ということでした。
えーなにそれ。と仰らずに、以下の議論におつきあい願います。
数学では、素因数分解の一意性は次の定理で示されています。
定理
「単項イデアル整域において、零元でも正則元でもない元の素元分解は、一意的に可能。ただし同伴のものは同一視する。」
分かんない言葉がいっぱい出てきますが、ひとつづつ解釈しましょう。
●「素元分解」てのは素因数分解の一般名称です。
●「単項イデアル整域」:ここでは (a+bi) (a,b は整数)というものの集合Sについて、その元を素元分解する話をしています。その特別の例が(4n+1)+0iです。こういう(a+bi)全体がなす集合は「単項イデアル整域」ちゅうものになります。説明すると長くなるので、まあ「単項イデアル整域」とはこの集合Sのことだと思ってください。 S = { a+bi | a∈Zかつb∈Z}ただしZは整数。
●「零元」とは0のことです。これは簡単。
●「正則元」というのは逆数が集合Sのうちに存在するもの。(つまりある元uが正則元であるというのは、u(a+bi)=1 になるような(a+bi)が存在するということ。普通の整数のばあいなら、1と-1です。)
Sにおいては、具体的には正則元は1,-1,i,-1だけです。以上、零元と正則元(0,1,-1,i,-1)は素因数分解の対象にしない。
●「同伴」というのは二つの数p,qの間の関係です。pがqで割り切れてしかもqがpで割り切れるときには、pとqは同伴。こういうものは同一視しなくちゃいけない。具体的には、ある数(a+bi)に正則元をかけ算すると同伴の数を作ることができる。(だから、普通の整数の場合は aと-aが同伴の関係にあります。)
(5+2i)×i = (-2+5i),
(5+2i)×(-1)= (-5-2i),
(5+2i)×(-i)= (2-5i)
ですから、これらは全部同一視する。
というわけで、
「(a+bi),(-a-bi),(b-ai),(-b+ai)の4通りは同じ物とみなして区別は付けない」という約束のもとで、「素元分解は、一意的に可能」ということなんでした。
ちなみに、普通の整数の場合には「aと-aの2通りは同じ物と見なして区別をつけない」という約束のもとで、「素元分解(素因数分解)は、一意的に可能」ということなんでした。
お礼
ありがとうございました。15分くらい、じーっと眺めて、どうやら納得がいきました。整数の範囲で「1」を掛けるのと「-1」を掛けるのを同一視する、というのを、複素数まで拡大する場合には「i」と「-i」まで広げる、という感じですね。 せっかく知り合った「一意性くん」と別れなきゃいけないかと思ってましたので、ほっとしました。本当にありがとうございました。