通貨の実力の意味と切り上げさせたい意図は?
よく、「中国の元は実力以下の交換レートに設定されている。通貨の切り上げをすべし!」とアメリカが言ってますが、ここでいう「通貨の実力」というのはどうやって評価しているのでしょうか。すべての国が金本位制なら、最終的にはどの通貨も金という共通の尺度に置き換えられるので、通貨の実力の大小というのは評価できるように思えますが、変動相場制の場合、どうやって通貨の実力を評価しているのでしょうか。次のような例の理解でよろしいですか(質問(1))?
今、1ドル=10元とします。また、中国では国産牛乳1本が10元で買えるとします。一方アメリカでは国産牛乳1本が1$で買えるとします。牛乳はどちらの国でも同じような労力で生産できる商品で、すべて国内で消費される商品だとします。一方、中国ではアラブ産のガソリンが1L=20元するのに対し、アメリカでは同ガソリンが1L=1$で買えるとします。ここでは、両国は国内で消費するガソリンは単純にアラブから輸入している国と仮定します(アメリカがテキサス産原油がありガソリンが豊富にあるとかいう差はここでは無いとします)。「アメリカでは牛乳1本とガソリン1Lが同じ価格なのに、中国ではガソリン1Lが牛乳2本分の値段なのは、元が実力以上に安く設定されているからだ」とアメリカが主張。通貨を切り上げて1ドル=5元とすると、それ以後は中国でガソリン1L=10元となり、アメリカと中国でのガソリンという共通商品の価値の乖離がなくなる。しかし、中国人にとっては牛乳の価格は以前と変わらず10元で、輸入品が安くなる。こういうことでしょうか(質問(2))?
ところで、中国はアメリカ国債をたくさん買ってますが、元の切り上げがあると、アメリカは実質、中国に対する借金が少なくなるのではないでしょうか。今1$=10元でアメリカは中国に対して1000元=100$借金があるとします。通貨切り上げで1$=5元と切り上げると、500元=100$となり、中国が100$の借用証書をアメリカに示しても、切り上げ前は1000元中国に返さなければいけないのに、切り上げ後は500元だけ返せばよく、アメリカは500元まるもうけということになるのではないでしょうか(アメリカが元を外貨としてたくさん持っていると仮定して)(質問(3))?
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同様の類推で、アメリカは(アメリカのヘッジファンド勢は)通貨の切り上げ前にこつこつ元を集めて、元の切り上げというイベントで一儲けたくらんでるということは無いでしょうか(質問(4))。