- ベストアンサー
X線回折・・・試料が粉末と固体による違い?
毎度毎度X線についてです。 イマイチ私の言ってる意味がわからないかもしれませんが、質問です。 試料が粉末か固体かによる違いは何でしょうか?つまりですね、なぜ粉末状にするのか、ということです。固体を砕けば粉末になりますよね?固体では調べられないことが、粉末なら調べられるということなのでしょうか? 本で調べたところ、多結晶体(粉末も)は回折が様々な方向におこるそうなのですが、それでしょうか?
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
> 固体では調べられないことが、粉末なら調べられるということなのでしょうか? 上の記述で「固体」を「結晶」に替えれば、実験的な利便性という意味で、その通りと言えます。 Braggの回折条件 2d・sinθ=nλ (d:面間隔,θ:回折角,λ:波長) [*] はご存知と思います。また、一つの結晶の中には、面間隔の異なるBragg反射面が多数あり、それぞれが結晶に対すして固有の角度(面方位)をもっていることはよろしいでしょうか。 波長の決まったX線を、一つの結晶に当てることを考えて見て下さい。[*]の条件を満たすとき、そのBragg面の鏡面反射の方向に回折線が出ます。結晶中のBragg面はそれぞれ特定の方向を向いていますから、ある方向から単色X線を入れても一般に[*]は成立しません。そこで、入射X線の向きを変えながら、Bragg条件に合うθの面を拾い上げていくという操作が行われます。ただし、結晶中のBragg面は何通りもありますから、θスキャンのためには、常に入射線の鏡面反射となる方向の回折線だけを検出するようにします。これがディフラクトメータ法です。 しかし、このようなスキャンでは、結晶の置き方で決まる、ある仮定された一つの面についての回折条件(θ値)を探ることができるだけです。この結晶中の様々なBragg面の情報をそろえようと思えば、結晶の向きを僅かずつ変えながら、無数の測定を繰り返す必要が生じてしまいます。そこで考案されたのが、お尋ねの粉末法と呼ばれる手法です。結晶を粉々にすることで、全てのBragg面に対して、ディフラクトメータが検知する反射面に一致する確率を与えてしまえば、1回の測定で全ての面のθスキャンができ、結晶固有の回折線パターンが得られるというものです。(まさにコロンブスの卵!) 粉末にして向きがバラバラになっても、常に鏡面反射方向だけの回折を検出するように工夫すれば、Bragg条件の式がそのまま使えるというところがミソです。
その他の回答 (1)
- chan008
- ベストアンサー率52% (45/85)
まず、X線を当てる試料面を平坦にしなければいけません。いろいろな面からの回折波があっては、きちんとした測定ができないのはおわかりでしょう?したがって、良く行うのは、細かく粉砕して試料ホルダーに詰め、平坦な面にそろえるという方法をとります。 したがって、もちろん、平坦な面だと固体?(要するに塊のことですよね?)のままでも測定はできます。これも良くやる方法ですが、綺麗に切断した塊をセロテープなどでホルダーに固定してその面からのX線回折を測定したりします。 次に、固体中の結晶配向という問題を考える必要があります。その塊の中にある結晶子が完全にランダムに配向している場合は、そのまま平らな面をだして測定することで、標準的な結果が得られます。しかしながら、塊というのはある結晶配向をもってできている場合が少なからずあります。このとき、そのままX線を当ててしまうと、ある特定の結晶面からのブラック反射が大きく起こってしまい、特定の回折線が大きくなったり小さくなったりしてしまいます。もちろん、この配向を調べるために、あえて塊のまま測定する場合もありますが、物質の同定など標準的な測定においては、回折線の強度比が変わってしまっては困りますので、ランダムな配向状態を作る必要があります。そこで、塊を砕いて粉にし、あらためて試料台につけることで、試料の結晶配向をできるだけ解消する事を行います。
お礼
なるほど、そういう使い分けがあったのですか。 勉強になります。ありがとうございました。
お礼
粉末の方が、なにかと便利なんですね。 ありがとうございました。