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クロロプレンゴム(CR)について
クロロプレンゴムは、他のゴム(エチレン・プロピレンやニトリルゴム)に比べ、スコーチ(加硫工程前に加硫を起こし製品加工不能になる現象)しやすいのですが、それは、なぜなのでしょうか? 極性で考えてもCRよりもEPDMのほうが、極性は小さく硫黄と反応しやすいはずなのですが・・・
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ゴム技術に於いて加硫反応という用語は、必ずしも硫黄を用いた架橋反応に限定して使われているわけではありません。 よって、硫黄を使わない場合にも加硫という用語を用います。 クロロプレンゴムの特徴は 1)硫黄加硫を用いないか、用いても補助的に使うだけ 2)加硫には金属酸化物が必要。 3)金属酸化物として亜鉛華がゴムに添加される場合が多いが、クロロプレン中では他のゴムと機能が異なる。 ということです。 質問者様がお尋ねのスコーチの話は本当に硫黄加硫のことですか? 一般のゴム(例えば天然ゴム)における硫黄加硫では、ラジカル反応によって加硫すると考えられていますが、金属酸化物を用いたクロロプレンの一般的な加硫方法はイオン反応によって起こると考えられています。 また、通常の部分では起こりにくく、クロロプレン重合時にごくわずかに発生する異性化部分で起こると言われています。 異性化部分とは、シス1,2結合に起因するt-アリリッククロライドの部分を指します。>CCl-CH=CH2 この異性化部分は、通常のクロロプレンで1.5%程度存在すると言われていますので、20万程度の分子量だとすると1分子中に34個程度の反応点が存在することになるようです。 2分子のクロロプレンから金属酸化物に塩素を渡し、酸素原子を1つもらうことでエーテル結合で加硫(架橋)されます。 >C=CH-CH2-O-CH2-CH=C< また、反応性の低い硫黄を補助加硫に使うことでスコーチを著しく長くすることが可能です。当然、単純に硫黄を加えるだけでなく他の補助薬品を工夫する必要があります。 しかし、硫黄加硫におけることが質問内容でしたら、上記内容はピントはずれですね。 一方、ニトリルゴムはNBRの事でよろしいのでしょうか? NBR中に存在するアクリロニトリルは15%~50%程度で共重合量によって低ニトリル、高ニトリルなどと呼ばれます。 残りの成分はブタジエンなので、加硫促進剤や加硫剤は天然ゴムやSBRと同じ物が使われます。スコーチはやや短いと言われています。 この理由はよく知りませんが、相溶性の観点からブタジエンのところに促進剤や加硫剤が集まっているためか、ブタジエンの部分だけを考えると大量に添加していることになるためかもしれません。 エピクロルヒドリンゴムも天然ゴムなどの硫黄加硫とは別反応です。 ゴムのグレードによっては硫黄を併用して加硫出来る物もありますが、チオウレアと酸受容体である鉛化合物や酸化マグネシウムなどとの併用系が基本的には使われてきました。 歴史的にはアミンなどの塩基が加硫剤として使われました。 (この場合は加硫剤と言うよりも触媒という方が正しいように思えますが、ゴム業界では加硫剤といわれています。) これはスコーチが短すぎて使いにくい物でした。
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- DexMachina
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No.1です。 > 塩素を含む、クロロスルホン化ポリエチレンゴムや、ヒドリンゴムも > そういった傾向があるということでしょうか? 塩素の有無ではなく、クロロプレンゴム内の二重結合の隣に、塩素の ような電気的偏りを大きくするものが結合していることが、スコーチの 原因ではないかと推測しています。 この構造です; -C=C- | Cl ゴム内の二重結合に塩素などが隣接していると、例えば以下のような 電荷の偏りを生じやすくなって、硫黄や加硫剤のラジカルがなくても、 ゴム分子同士で架橋反応を起こす可能性がある、ということです。 ┌→2)塩素と結合する炭素が正電荷を帯びる + - -C-C- ↓ └→3)二重結合が切れる形で、隣の炭素が負電荷を帯びる Cl └→1)塩素が電子を引っ張る ⇒4)負電荷を帯びた炭素が、正電荷を帯びた他の炭素と反応 →5)スコーチ発生 *No.1の回答でも「*」をつけてコメントしましたが、このスコーチが実際に 電荷の偏りによって発生するのか、それともこの二重結合自体が切れ やすくなって勝手にラジカルになってしまうのかは、わかりません。 一方、ご質問のクロロスルホン化ポリエチレンゴムやヒドリンゴムは、 塩素を含んでいるものの、二重結合の隣ではない(というか二重結合を 持たない)ため、スコーチはしにくいのではないかと思います。 (クロロスルホン基の安定性がどの程度かを知らないので、これも何とも 断言は出来ませんが・・・)
お礼
お礼が遅くなり申し訳ございません。 まだ、充分理解できていなく、後日補足させて頂くかもしれません。 また、よろしくお願い致します。
- DexMachina
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素人なんですが・・・他の方からの回答がつかないようなので、今回も 推測ながら回答させて戴きます。 > CRよりもEPDMのほうが、極性は小さく硫黄と反応しやすいはず 硫黄との混合しやすさは確かに極性が関与しますが、加硫(広義には ゴムの架橋反応全般を指すようですが)の進みやすさには、また別の 要因が絡んでくると思います。 クロロプレンゴムやブタジエンゴムなどはゴム分子内に二重結合を持つ わけですが、クロロプレンゴムの場合、その二重結合に隣接する形で 塩素が結合しています。 恐らく、この塩素が、その電子吸引性の高さによってCR中の二重結合 を切断しやすくすることで、いわば勝手に分子内で架橋反応をしてしまう ために、スコーチを起こしやすい、ということではないでしょうか。 (EPDMやブタジエンゴムには電子吸引性や電子供与性の基がないこと、 またニトリルゴムには電子吸引性のニトリル基があるものの二重結合 の隣ではないことから、上記のような二重結合の不安定化がない為、 スコーチを比較的起こしにくい、と) *この不安定化の結果として起こるのが、ラジカル反応なのか、イオン 反応なのかは、私の知識では何とも言えませんが・・・。 ・クロロプレンゴム; CH2=C-CH=CH2 | Cl →-[(CH2-C=CH-CH2)n]- | Cl →ゴム中の二重結合の炭素に結合 ・ニトリルゴム; CH2=C + CH2=CH-CH=CH2 | CN → -[(CH2-C)m-(CH2-CH=CH-CH2)n]l- | ↓ CN →二重結合から離れた炭素に結合 *「二重結合の隣」は、「原料」ではなく「ゴムになった後」での話です。 ※恐らくこのスコーチには、硫黄を介する本来の加硫の他に、空気中の 酸素(O2)が介在したり、或いは二重結合同士が直接反応(→原料から ゴムが生成する際と同様の反応)による架橋も含まれているのでは ないかと推測します。 【参考】加硫と架橋の用語の混同について; http://www.miyasaka.co.jp/site/info_rubber.htm (「架橋」の項を参照) http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/08040124_1.html (放射線加硫(=放射線で発生させたラジカルで架橋)、硫黄不使用))
補足
毎度、回答して頂きありがとうございます。 難しくて、まだ回答内容の勉強中なのですが、塩素があるとスコーチしやすいという捕らえ方でよろしいでしょうか? そうなると、塩素を含む、クロロスルホン化ポリエチレンゴムや、ヒドリンゴムもそういった傾向があるということでしょうか?
お礼
お礼が遅くなり申し訳ございません。 まだ、充分理解していなく、後日、補足させて頂くかもしれません。 また、よろしくお願い致します。
補足
補足が遅くなり申し訳ございません。 psa29さんの言う通り、硫黄加硫ではありませんでした。 >また、反応性の低い硫黄を補助加硫に使うことでスコーチを著しく長くすることが可能です。当然、単純に硫黄を加えるだけでなく他の補助薬品を工夫する必要があります。 と、ありますが、反応性の低い硫黄を使うことで、スコーチを長くすることが可能になるのですか? すみませんが、よろしくお願い致します。