『文藝春秋』9月号に、「昭和の戦争七つの真実」という記事の中に「南京と原爆 戦争犯罪とは」というタイトルで、保坂正康氏と秦郁彦氏が対談されています。
ご質問に関する部分のみ要約します。
虐殺の規模について、中国当局が主張する30万人説から虐殺否定説まで、過去さまざまな論争が繰り広げられた。これは、論者によって虐殺の定義が違うために起きた論争でもある。
虐殺否定派は、日本軍が捕虜や便衣兵を揚子江岸に連れ出して殺害したのを、交戦の延長=戦闘行為とみなしている。(略)だから不法殺害にならず、虐殺はなかったという。
しかし、南京完全占領後、華々しく入城式を挙行し、(略)その後の殺害行為までを戦闘行為とは言いにくい。また、日本軍には軍律裁判の条例もあり法務官もいたが、連行した捕虜や便衣兵らを法的手続きをせず、処刑している。これは、戦争犯罪だと正面から責められれば弁明のしようがない。
30万人説については、多くの資料や関係者の証言によって、実証性に乏しい。
この数字は、南京におけるB,C戦犯裁判における谷寿夫中将の判決で出たものだが、中国はこれを公式推定数としている。
また、東京裁判での松井石根大将の起訴状では、20万人以上が殺されたとなっているが、判決ではなぜか10万人以上となっている。
秦氏は、いかにさまざまな史料を参照しても最終的には推定作業になってしまうが、殺害されたのは4万人で、そのうち3万人が捕虜になった兵士だ、としている。
なぜ虐殺したのか、戦争犯罪の定義とは、についてもっと詳しく書いてあります。
発言に責任をもてる人が公平な立場で対談されていますので、ご一読されるとよいと思います。
お礼
ありがとうございます。 中国30万人説はよく耳にするのですが、 日本の学者の間ではどうなのでしょう。 8000人以下という情報もありますし。 日本ではどの数が一般的に認められているのでしょうか。