理由づけとしての信義則と公平 その2
理由づけで、信義則を持ち出して、公平の観点からと結論づけるもの
と、単に公平の観点からとする場合があります。
この使い分けがよく分からないことから前信で質問させていただいてお
ります。
その例として、前者としては受領遅滞を法定責任とする場合、後者とし
ては履行遅滞中の不可抗力による履行不能を債務不履行とする場合を挙
げさせていただきました。
この後者の履行遅滞中の不可抗力による履行不能を債務不履行とする判
例なのですが、これが明治39年のものであることが大きな原因でしょ
うか。
民法が明治29年に制定され、明文上、信義則がなかったこともあり、
明治期には学説、判例いずれについても信義則の片鱗を窺がわせるもの
はあっても、明示的に出てくるのは大正期以降とされています。
戦後は、信義則が明文化されたこともあり、逆に一般原則の濫用を防ぐ
ために、類型化の作業が進んだ旨の説明のある資料を見つけました。
判例又は論証例を読む際には、明治期、大正期、昭和初期、戦後と分け
て表現の違いに留意すべきでしょうか?