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関数解析(作用素論)の行き着く先は?
現在大学院で関数解析を専攻しています。 自分がこれまでに読んだ(かじった)本は、 ヒルベルト空間と線型作用素(日合、柳著) MATRIX ANALYSIS(HORN著) MATRIX ANALYSIS(BHATIA著) 等です。 しかし、これらの分野が最終的にはどういう問題を解決しようとしているのか、見えてきません。 純粋に勉強が足らないだけかもしれませんが… インターネット等で調べたところ、量子情報などの解析の為の道具として役立つというようなことが書いてあったのですが、その他、『このような問題を追求しているよ』という情報がありましたら、教えていただきたいと思います。
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No. 1 です。遅くなりました。 参考にした書籍をご紹介します。まだインターネットが庶民的に普及 していなかった時代(学術的なレベルの利用でも黎明期だった時期)に 学んだものが主で、参考になりそうなサイトに関してはもう少し色々と 探してみないと...です。 まずは、数学の方面から。 サイエンス社の雑誌「数理科学」で、関連の特集記事をちょくちょく読 みました。'01年12月号の“特集 : 数学による物理の表現― その共進化と 多様な可能性 ―”にある新井さんの記事は使えるかも知れません。 http://www.saiensu.co.jp/magazine-htm/skno-462.htm あとは、岩波数学講座の「関数解析」(だったかな?)も読みました。 シュレディンガー波動方程式や波動方程式、拡散方程式などの偏微分方程 式、及び少なからぬ常微分方程式の級数解を求めるときの手順を正当化す る数学的な理論を詳しく知りたいと思ったのが、これらの本に手を伸ばし たきっかけです。 あと、フーリエ級数やフーリエ変換なんかに関しても、見方によっては 無限次元の関数空間における一種の“座標変換”と認識することが出来そ うだし、得られる情報が(かたや振動数の関数、かたや時間の関数といっ た感じで)違うのに情報源として事実上等価であるというのが、数学的に はどうやって保証されるのか?という興味の持ち方もしました。その辺の 問題意識に関しては、フーリエ変換を扱った微分方程式の教科書が参考に なると思います。Web なら http://next1.cc.it-hiroshima.ac.jp/MULTIMEDIA/diffpub/diffpub.html ...あたりでしょうか。数学がご専攻の方に紹介致すのは余りに僭越なので すがw、こちらが参考にしたものをと言うことでご容赦下さい。 物理の方面からは、一連の量子力学や量子化学の教科書や演習書を参考 にしました。数学サイドの方だと、サイエンス社の SGC ライブラリ 2 「量子力学とは何か」が読みやすいでしょう(僕も読みました)。 http://www.saiensu.co.jp/magazine-htm/spsk-199901.htm 残念ながら版元品切れですが、amazon や bk1 などの中古品などで入手 は可能だと思います。もうひとつ、 http://www.saiensu.co.jp/magazine-htm/spsk-199911.htm ...も参考になるかも知れません。作用素の固有値問題の具体例や応用例と しては、比較的とらえやすいと思います。 何かの参考になれば幸いです。
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- ojisan7
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行き着く先を論じるのは難しいですね。それは、誰にも分からないことではないでしょうか?でも、その分野がどのような問題を解決しようとしているのかを手っ取り早く知るには、やはり、その数学がどのような場面で応用されているのかを知るのが良いと思います。「ヒルベルト空間と線型作用素」で言えば、やはり、応用数学として、微分方程式や積分方程式あるいはフーリエ解析ですね。しかし、わたしの実感としては、関数解析は解析学全般にわたる基礎のような気がします。関数解析の知識は解析学の全ての分野で必要とされるような気がします。物理学との関連では、量子力学で利用される作用素環論となります。さらに、場の量子論においても関数解析の知識は不可欠です。
- masuda_takao
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神経科学専攻、物理と数学に対する興味はそれなりという代物による 私見です。関数解析学が“どういった問題を解決しようとしているか” という問いに対する答えにはならないかも知れませんが、どういった問 題を扱っているかに関しては、拙い私見を披歴できそうです。 但し、数学用語の使い方は、不正確かも知れません。ご容赦を。 分かり易い具体例は、量子力学で見られる作用素の固有値問題でしょ う。シュレディンガー方程式の形自体がまさしくそうです。その方程式 の解となる関数の全体がヒルベルト空間の部分空間となり(作用素が線 形の場合)、その空間上で行列のそれと同形の非可換群が存在していま す。等々、詳しく述べていると長くなるのでこの辺で遠慮します。 僕としては、解析と代数と幾何がダイナミックに全て結びついている ところが面白いなぁと思って、関数解析学の「世界」を“眺めていま” す。ある種の関数方程式が、汎関数の零点として記述され、その汎関数 を記述する作用素にも、関数方程式の解となる関数の全体にも代数的な 構造があり、それらの性質を理解するうえで幾何学的な視座がしばしば 役立つ。僕の関数解析学に対する拙いイメージはこんな感じです。 そうした作用素と関数空間の織りなす“重層的な世界”において、そ れぞれの数学的構造の間にどのような関係が存在するのかを明らかにす るのが関数解析学なのだと思います。 大上段から雑薄なことを申しておりますが、万が一にも何かの参考に なれば幸いです。
お礼
解答ありがとうございます。 恥ずかしながら、関数解析を大学院で専攻しているのに、masudaさんが仰ってくれたことは初めて聞くことばかりでした… 非礼を承知でお聞きしたいのですが、そのような知識を得る為に参考にした書籍、WEBサイトなどを教えていただけたらと思います。
お礼
やはり量子力学と密接な関係にあるのですね。 ありがとうございました。