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酸触媒下におけるエステルの加水分解
酸触媒下(希塩酸)における、エステル(酢酸エチル)の加水分解を、先日、実験で行いました。 数分おきに酢エチ+塩酸の入った三角フラスコから少量ずつ取り出し、水酸化ナトリウムで滴下して生成した酢酸の量を滴定する実験なのですが、ココで疑問があります。 滴下した水酸化ナトリウムは、触媒として存在している塩酸とは反応しないのでしょうか?
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#3 です. この実験には,十分時間がたった後の滴定値が分かっているなら,時間0のときの滴定値も不要ですし,塩酸の濃度を知る必要もないのです.わかっていてもかまいませんが. 重要なのは,反応速度の解析において本当に求めたいものは何か,ということです. 本当に求めたいもの,それは「反応物濃度の時間変化」です.この場合は,酢酸の濃度の時間変化を知ることは本質ではなく,「酢酸エチルの濃度の時間変化」を知るべきなのです.しかし,酢酸エチルの濃度を初学者が簡単に測定する方法はありません.一方,生成物である酢酸は滴定によって容易に求められます.そこで,酢酸エチルが1分子分解すれば1分子の酢酸ができるという想定に基づいて,酢酸を定量してそこから酢酸エチルの分解量を求めているわけです. ここで気をつけてほしいのは,わかるのは「酢酸の量」=「分解した酢酸エチルの量」であり,知りたいのは「溶液中に存在している酢酸エチルの濃度」であることです.分解した量ではなく,残っている量が知りたいのです. 今,酢酸エチルの初濃度を Ce(0) とします.滴定によってある時刻 t における酢酸の濃度が Ca(t) と求まったとします.知りたいのはその時刻 t における酢酸エチルの濃度 Ce(t) です.ここで想定している反応式の化学量論より Ce(t) + Ca(t) は初めにあった酢酸エチルの濃度,すなわち Ce(0) と一致することは明らかです.ただし,これは反応によって全体積が変化しないという仮定をおいています. さらに,十分に時間がたち,すべての酢酸エチルが酢酸とエタノールに分解したとすれば,そのときの酢酸の濃度 Ca(∞) も Ce(0) と一致しているはずです. つまり,Ce(t) = Ce(0) - Ca(t) = Ca(∞) - Ca(t) です. さて,滴定量ですが,たとえば十分に時間がたった後の滴定量は,塩酸の濃度 Cc (これは時間変化しない) と Ca(∞) の和を意味します.滴定に使った水酸化ナトリウムの濃度と滴定に使った試料の体積を固定しておけば,滴定量 V(∞) は V(∞) = α[Cc + Ca(∞)] で表せます.αは水酸化ナトリウムの濃度と滴定試料の体積で決まるある定数です.どのような意味があるかは考えてください. 同様に,時刻 t における滴定量 V(t) は V(t) = α[Cc + Ca(t)] です. すると,V(∞)-V(t) = α[Ca(∞)-Ca(t)] = αCe(t) となるわけです.
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時間0の実験を行っていないのであれば、No.3のご回答にもありますように外挿するか、そうでなければはじめの塩酸の濃度をきっちりと決めておくか、さもなければ、最初のサンプルを基準として(すなわち、塩酸と少量生じた酢酸が入った状態から開始したと考えて)データを処理することになると思います。 実験の目的が何かということにもよりますが、もしも反応速度を求める(速度定数を決定する)ことが目的であれば、上述の考え方で大丈夫だと思います。
塩酸のような揮発性の酸をこうした実験で使うのはいかがなものかと思います。実験の途中で、HClの一部が揮発して、それが実験誤差につながるからです。硫酸の間違いということはないでしょうね? まあ、それはともかくとして、触媒として用いた酸は当然、NaOHと反応します。 たとえば、反応開始時に取り出したサンプル、すなわち反応時間が0の時のサンプルに存在する酸は、触媒に由来する酸(塩酸)のみですので、その中和に要したNaOHの物質量が酸触媒の物質量に相当することになります。 したがって、たとえば10分後の滴定に要したNaOHの量から、0分のときの滴定に要したNaOHの量を引けば、それが加水分解によって生じた酢酸の物質量に相当することになります。 すなわち、通常は、反応時間が0のときの値との差について議論することになるはずです。
お礼
それは僕も実験中に思いました。 希塩酸を作る過程で、ドラフト内とは言え周辺の匂いがえらいことになってました。。 やはり、希塩酸でも揮発はするのですね。。、 w-palaceさんの言う事は理解できるのですが、如何せん、0時間後ので滴定を行ってません・・・。
- c80s3xxx
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反応しますよ. だから,無限大時間後の滴定値を出したりしませんか? 時間0の外挿値を出すとか.
お礼
∞時間後の滴定値を出しました。 しかし、それで酢酸の量がわかるんですか? ∞時間後において、酢酸エチルの反応が終了し、すべてが酢酸になったのはわかりますが・・・。
- anthracene
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ちょっと説明不足だったと思いますので、足しときます。 おそらくこういうことでしょう。 サンプリングの際の溶液量の測定誤差、滴定時の誤差、そもそも最初に入っている塩化水素の量の誤差などをいろいろ考慮すれば細かい議論はできます。でも、ここではそんなレベルの話までせずとも、モニターサンプル中の塩化水素量は、サンプル中の酢酸の量に比べれば実験誤差範囲内で無視できる量なのでしょう、おそらく。 もしも塩酸が触媒といいつつも大量に入っているのなら、その分の補正を考慮しなければならなくなりますが、質問者さんのお書きになっている様子ではそのようなことはされていないようですね。
- anthracene
- ベストアンサー率39% (270/678)
もちろん反応しますが、塩酸はどれだけ入れられたのでしょうか? 普通、触媒として入れた場合は数%程度だと思いますが? モニター用に取り出した溶液中の塩酸の量と、生成しているはずの酢酸の量を計算して比較されてみては?
お礼
0.5MのHClを100mlに対して酢酸エチルを70mlです。 速度定数を求める実験なので、酢酸の量の計算が出来ない気がします。。。
お礼
完全に理解できました! ありがとうございました。 エステルの加水分解は完全に進行するものなんですね。 平衡反応だから、酢酸エチルが残り、酢酸∞の量=酢酸エチルの初期の量じゃないじゃんって思ってました、、、 >αは水酸化ナトリウムの濃度と滴定試料の体積で決まるある定数です.どのような意味があるかは考えてください. 酢酸、塩酸、水酸化ナトリウムはすべて1価だから、αは試料(酢酸と酢酸エチルと塩酸)の体積を水酸化ナトリウムの濃度で割った値ですね。 ありがとうございました。。。