[1] 式の書き方には大原則があります。これは最も基本のルールなんで、憶えるよりしょうがない。
大原則: 括弧の中を先に計算すること。
この大原則だけから言うと、16÷8×2なんて括弧がないから、どこから計算していいか分からない「へんてこな式」なのです。
[2] 大原則とは別に、括弧を省略して書くことを許す規則があります。式を楽して書くためだけにある規則です。これも、普段いくらでも使われているものなんで、憶えるよりしょうがない。
括弧省略の規則に従うと、(16÷8)×2の括弧は省略して16÷8×2と書いてもよろしい。だから、16÷8×2という式を見たら、括弧を省略しないで本来の書き方をすれば(16÷8)×2だな、と考えて、計算は大原則に従って行うのです。
しかし、16÷(8×2)のほうは、括弧を省略するのは禁止という規則になっています。(16÷8)×2は16÷(8×2)とは計算の順番が違うのに、もし両方とも括弧を省略して書いたら区別が付かなくなって困りますからね。
6-2-1という式だって、(6-2)-1を省略して書いたものです。そして、6-(2-1)の括弧は省略禁止です。
ところで、5+2×3はどうか。これはですね、5+(2×3)の省略なんです。掛け算と足し算が混ざってるときは、掛け算の方の括弧を省略してよいという規則があるんです。(5+2)×3の括弧は省略禁止です。
7-4÷3も7-(4÷3)の省略で、一方、(7-4)÷3の括弧は省略禁止です。
括弧を省略して書いてある式を、省略なしの元の姿に戻すやりかたをまとめると、
(1) まず掛け算・割り算にさきに括弧を付ける。それから
(2) 掛け算・割り算の部分を左から順に括弧でくくる。そして
(3) 足し算・引き算の部分を左から順に括弧でくくる。
をこの順番でやります。
たとえば
7+8÷2×3-6+5×2
だと、(1)をやって
7+(8÷2×3)-6+(5×2)
となり、次に(2)をやって
7+((8÷2)×3)-6+(5×2)
となり、そして(3)をやって
((7+((8÷2)×3)-6)+(5×2)
となる。これが、省略のない元の姿です。
この元の姿にしてから、「括弧の中を先に計算する」という大原則で計算していけば、正しい答に行き着ける仕掛けです。
括弧省略の規則は単に書き方だけの問題ですから、式が分かりにくいときには括弧を付けた式に戻してみれば良いのです。
[3] ところで、
1+2+4も、(1+2)+4の省略した書き方です。
1×2×4も、(1+2)+4の省略です。
ただ、足し算ばかりを続けてやる場合と、掛け算ばかりを続けてやる場合に限っては、自由に順番を変えても答は同じになる。例えば(1+2)+4=(2+4)+1。
これは足し算や掛け算という計算それ自体が持っている性質です。括弧省略の規則(書き方だけの問題)とは全然別のことです。
割り算ばかりを続けてやる場合と、引き算ばかりを続けてやる場合には、ちょっと違います。この時には、
12-2-3の元の姿は(12-2)-3。だけど、(12-3)-2とやっても同じ答になります。(しかし、12-(2-3)とは違います。)
12÷2÷3の元の姿は(12÷2)÷3。だけど、(12÷3)÷2とやっても同じ答になります。(しかし、12÷(2÷3)とは違います。)
先頭の12の部分は動かしてはいけないけれど、残りの部分は順番を入れ替えて、そして左から順に括弧を付けて行くと、答が同じになる。これも割り算や引き算が持っている性質であって、括弧省略の規則とは全然別のことです。
このような特別な場合(他にもいくつかの場合がありますが)には、性質を利用して計算する順番を入れ替えることができる。
ご質問は、「この性質を利用した賢い計算方法」と、「括弧省略の規則(書き方だけの問題)」をうっかりごっちゃにしたために生じたナゾだったわけです。まずは[1]と[2]を完全マスターした上でないと、[3]の段階には手が出せません。
お礼
ご回答ありがとうございました。 私の頭の中が少し整理できたようです。 小学生の問題が、大学数学までいくとは・・・学問とはつながっているものですね。(笑)