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李白の漢詩について
日本語を勉強中の中国人です。李白の漢詩をお読みになったことがある方にお伺いします。 李白の漢詩はどう思われますか。奔放、雄大な詩風で思い切った誇張の表現を多用し、直接自分の喜怒哀楽、意見などを出すのが多いように思います。このような風格は日本の美意識、日本の方の好みとあまり合わないような気がしますが、李白の漢詩をお読みになったことがある方がいらっしゃいましたら、どうかご意見(一言でも、きつい意見でもかまいませんので)をお聞かせください。 また、質問文の中に不自然な表現がありましたら、それについてもご指摘いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
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こんばんは。いつもながら見事な日本語、感服します。 先の回答者の方もおっしゃっていますが、李白の詩は学校で教えられることが多いので、日本人の中でも知名度は高く、人気も(漢詩愛好者の中では)高い方です。 確かに、露骨な感情表現を嫌い、婉曲な言い回しをよいとすると言われる日本人に、直接的な李白の詩は合わないように一見思えます。しかし、李白の詩は、それだけに漢文の知識がそれほどない日本人にも、理解しやすい。李白は絶句に優れていて、学校でわれわれ日本人が学ぶものにも絶句が多いのですが、絶句はご存知のようにとても短いから、いっそうわかりやすい(その点、杜甫や白居易は不利です)。日本の伝統的観念はともかく、親しみやすく、共感しやすいという点では、李白の詩は非常に優秀です。しかも、李白は詩人としても中国文学史上第一の人物ですから、その詩が大いに読む者を感動させ、心を打つ力を持っているのは言うまでもない。わかりやすくて感動的であれば、大いに人気があるのも不思議ではありません。―私も大好きです。 また、日本人は露骨な感情表現を嫌うと言うのも場合によりけりで、文学・詩・演劇のような分野では、劇的で思い切った表現が喜ばれるということもよくあります。悲しい時に、ただ「愁う」と言うより、「白髪がこんなに伸びたよ」と言う方が、表現としてより深い、と感じるのです。こういう所は、日本の和歌や俳句などとも通じる所がありますが。 ですから、李白の詩は大げさすぎて好きではない、という日本人はあまりいるまいと思います。もっとも、日本人に好かれている李白の詩句と、中国人のそれとが同じでないということは、かなり有り得ると思いますが(ずいぶん前に、お酒のテレビCMで「一杯一杯復一杯」という李白の詩句が使われたことがありましたが、中国では、これはあまり有名な句でない由)。個人的には、わかりやすく、共感しやすく、芸術的である、ということが日本人にとっての李白の最大の魅力かと思われます。 また、李白が豪快な大酒飲みの風来坊だった、というのも、人気の秘密のひとつとして見逃せないところでしょう(笑)。 ついでに、日本では「詞」はまったく無名に等しいです。李白の「菩薩蛮」なんか、それこそ素晴らしいと思うんですが、残念。
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>このような風格は日本の美意識、日本の方の好みとあまり合わないような気がしますが それは、そうかもしれません。 しかし、日本人は自らの美意識に照らして合うか合わないかという判断だけで、李白を詠んでいるわけではないと思います。 昔から日本人が、中国の様々な文物を求めて、命がけで中国へ留学生を派遣してきたということはご存じですよね。中国はあこがれの国でしたし、巨大な文化の国でした。今は遣唐使の時代とは事情が違いますが、中国文化に対する敬意は、日本文化の中に深く根付いています。 また、詩中にあるような雄大な風景も日本には、あまりありません。 日本の美意識に合うかどうか、と聞かれれば合わない部分もあるように思いますが、日本の美意識に合わせて選別するのではなく、異国への憧れをこめて李白の雄大な詩を受け入れていると思います。日本人も李白を知って、千数百年の伝統があります。違和感を感じるというこは、基本的にもうないです。 日本にはあまりない表現・異国の風景、(だからこそ)それをそのまま中国風の表現の一分野として、尊重し受け入れていると思います。 私自身は、習ったことだけは知ってはおりますが、まともに詩をたしなまないので、コメントはできませんが・・・。 外から文明や文化を入れて、それを消化吸収していくという傾向の強い(強かった)日本ならではの受け入れ方かもしれませんね。
お礼
いつもお世話になっております。 ご丁寧に回答していただき誠にありがとうございます。異国への憧れをこめて李白の雄大な詩を受け入れているのですね。日本は中国の文化に対する熱心さにいつも感心しております。大変参考になりました。 また、先日の添削に感謝いたします。今後「ご自己紹介」を書かないように気をつけます。 本当にありがとうございました。
- luune21
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大好きです。 「早發白帝城」 「黄鶴楼送孟浩然之広陵」 「静夜思」 「春夜洛城聞笛」 私にとって漢文は、学校で習うより前に、祖母(1900年生まれ)がいつも語り聞かせてくれたことに始まります。祖母は支那FANでした(祖母にとって「支那」ということばは、あこがれの地、ほめことばでしかありません。というか、祖母は他に中国の呼び名を知りませんでした。お気を悪くされたとしたら、大変申しわけありません。でも信実なのです)。 10歳にならない頃の私は、その祖母による漢文の話しが大好きでした。漢詩のほか、「垓下の戦い」や「鴻門の会」「四面楚歌」などの話しも、小学生のときには漢文訓読調ですっかり覚えていたほどです。 それらの中で「早發白帝城」と「黄鶴楼送孟浩然之広陵」は特別です。この奥行きの深さには本当に魅了されました。祖母も好きだったようで、何回も聞かされました。祖母も雄大さ、奥行きの深さに魅了されていたに違いない、と私は確信しています。日本の芸術には奥行きがある作品があまりありません。あるとすれば有名なのは水墨画くらいでしょうか。中国山水画の模倣なので当然といえば当然のことでしょうが。 先ほど、妻(現在、中国語勉強中)に「李白の詩、何か知っているか」とたずねたところ、「早發白帝城」を暗記していました。妻も好きみたいです。妻は先ごろ広東州・東莞に出張に行き、そこで中国のかたがたに「早發白帝城」を書いて見せたところ、大好評だったと言っていました。 こちら、二つの国宝(水墨画)をご覧ください。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Pine_Trees.jpg http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/meihin/kaiga/suibokuga/item01g.html 前者(長谷川等伯、16世紀)は日本情緒的、後者(雪舟、15世紀)は中国山水画的です。どちらも、日本人は好きなのだと思います。
お礼
いつもお世話になっております。 国語のカテでも何度も漢詩の質問を回答してくださり、きっと漢文に詳しい方だろうと思いました。確かに私の思ったとおりです。「垓下の戦い」や「鴻門の会」「四面楚歌」などの漢文は小学生の時にすでに習得されましたね。恥ずかしいことに、私はたしか高校の時に学んだのです。中国の文化にあこがれてくださるお祖母さんのおかげですね。心より感謝いたします。奥さんのお話もお聞かせいただきとても嬉しいです。李白はやはり日本では人気がある詩人なのですね。大変参考になりました。残念ながら、二つの国宝のURLは見られませんでした。名前を覚えておきます。 本当にありがとうございました。
- kyouzaiya-k
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日本の中学生(義務教育)は、教科書で、必ず李白の詩を習います(下のどれか一つ。ほとんど1)。 1 黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る 2 静夜詩 つまり、日本人(一四,五歳以上)で、李白の詩を習っていない人は皆無に近いということです。それほど日本人にとって、李白は身近な存在なのです。 ただし、以上の二つの詩ともに、あなたがおっしゃるような奔放、雄大といった詩風からは、ほど遠い作品ですね。それには、中学生という読者対象を考慮した結果が反映していること、更に日本人全般の好みが影響していると考えられます。 私自身も、李白の中では上の二つが大好きで、ともに暗記しており、一杯入った折には、自然に口をついて出てくるほどです。 「故人 西のかた黄鶴楼を辞し/ 煙花三月 揚州に下る/ 孤帆の遠影 碧空に尽き/ 惟だ見る 長江の天際に流るるを」 う~ん、すばらしい。七言絶句(ですよね?) ところで逆に質問です。 今、記したように、私たちにとっての漢詩は、もう既に日本語化していて(元詩のいわゆる押韻などは認識しづらくなっています)、我々は中国語という感じを全くもっておりません。(とはいえいわゆる大和言葉ではないし、中国風の味わいを感じているには違いありませんが。) では、中国の方は、日本語に翻意、翻訳された上記のような漢詩を、どのように読み、どのように聞いていらっしゃるのでしょうか。実に興味があります。 漢詩については、言いたいこと、聞きたいことがいくらでもあってきりがないので、今日は、これで終わりにしたく思います。 雑文、雑内容(変な日本語)、おわびします。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。日本の中学生は、教科書で李白を習うのですね。感心させられます。お挙げになった詩は、中国では、どちらでも有名なのですが、「静夜思」のほうが圧倒的に有名だと思います。子どもはたぶん幼稚園ですでに「静夜思」を口ずさむことができます。 逆質問に関してですが、特に何も思わないで、自分の知っている漢詩の日本語版だと素直に受けるだけです。ただ、ご存知のように、漢字と平仮名と混ぜ込んで、原詩の平仄、押韻、対偶、リズムなどは壊されたので、中国語版と対照して考えると少し残念にも思います。本当は日本語で俳句を読む、中国語で漢詩を読むのは一番理想的な状態なのですが…… 中国の文化に対する日本の熱心さに心より感謝いたします。私も日本語、日本の文化、日本という国などをもっと知りたい、理解したいと思います。これからもよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。
- shigure136
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awayuki_ch さん、こんにちは。 もう遠くなった高校生の頃を思い出しました。 杜甫(詩聖)に対しての李白(詩仙)として覚えました。 その頃、【望慮山瀑布】という詩を読んで、中国では有名な避暑地・慮山を想像したことを思い出しました。 紫色に煙る香炉峰、まるで銀河から落ちてくるような滝、雄大な景色が頭の中に鮮明に浮かび上がる詩でした。そして、その頃から「銀河」という言葉、単語があったことに驚かされたことも、いまフッと思い出しました。
お礼
いつもお世話になっております。 早速のご回答ありがとうございます。李白の優れた表現というと、私の頭の中にすぐ浮かび上がるのもこの【望慮山瀑布】です。「銀河」(天の川)という比喩に本当に頭を下げます。 shigure136さん、どうもありがとうございました。
- tatsumi01
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最近の若い人はわかりませんが、少し年配ですと高校で漢文が必修でしたから、李白、杜甫、白楽天などの詩はかなりの人が知っています。いずれも日本人に好まれています。 「白髪三千丈」、「桃花潭水深千尺」、「兩岸猿聲啼不住 輕舟已過萬重山」など、確かに誇張したと感じられる表現はありますが、雄大な詩風を愛する人は沢山います。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。日本では昔高校で漢文が必修科目なのですね。雄大な詩風を愛する人も沢山いるのですね。お挙げになった三文は中国でも相当有名です。 本当にありがとうございました。
お礼
いつもお世話になっております。 ご親切に教えていただき誠にありがとうございます。わかりやすく、共感しやすく、芸術的である、ということが日本人にとっての李白の最大の魅力なのですね。大変参考になりました。とても助かりました! 本当にありがとうございました。