- ベストアンサー
炭素の混成と鎖状連結について
「同族元素のSiは殆どsp3混成するのに対し、 炭素はsp,sp2,sp3の混成をするのは何故か。」 という質問に対する答えは 「C-Cの結合エネルギーが大きく、安定なため」 というものなのですが、 なぜ結合エネルギーが大きいと混成が多様になり、 鎖を形成するのでしょうか。 回答、またはサイトを教えてください。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
炭素、ケイ素原子が四本の結合を形成するには、2s軌道と2p軌道の線形結合を形成させて、(sp3)4という電子配置にする必要があります。 炭素(もっと一般的に言えば第二周期の元素)なら2s軌道と2p軌道の軌道エネルギーは近いので、これらの軌道を混成させるのはエネルギー的に有利で簡単です。 (この理由は有機化学、物理化学の入門書に載っています。例えばアトキンス物理化学など) 一方、ケイ素(一般的には第三周期以降の元素)になると、最外殻のs軌道とp軌道のエネルギー差が拡大するため、混成がどんどん不利になってしまいます。特に、混成の割合(s軌道とp軌道の比率)が増していくほど、このエネルギー損失がひどくなりますので、ケイ素でsp混成をとらせるのは非常に困難になってしまいます。 実際にR2Si=SiR2(ジシレン)やR2C=SiR2(シレン)という化合物は20年以上前に作られ、ケイ素はほぼsp2混成をとっています。 しかし最近作られたREER (R = Si, Ge, Sn, Pb)ではいずれも14族元素はsp混成はとっていません。 もっとちゃんとした説明ですと、発展的な内容になってしまいますが、 季刊化学総説No34 有機超原子価化合物 1998 学会出版センター の第6章が詳しいかと思います。図書館に行けばあると思います。 ちなみにNo1の方が書かれているケイ素やゲルマニウムの多重結合については、日本が世界でトップレベルの研究を行っています。3つほど代表的な研究室のHPを載せておきます。 少々アドバンスな内容ですが、化合物の絵を見るだけでもおもしろいかもしれません。
その他の回答 (2)
- keita1221
- ベストアンサー率25% (5/20)
イメージですが、結合エネルギーが小さい=結合の距離が短い という風に解釈できます。 距離的に近いのでπ軌道が重なりやすくなるので、多様な鎖をつくりやすい。そんなところでしょうか? 実際には、もう少し複雑な問題が絡んでくると思います。
お礼
なるほど、鎖と混成の両方に結合エネルギーが関係しているのですね。 ご回答ありがとうごさいます。
- zoo123
- ベストアンサー率32% (50/152)
確か、Si以下の第3周期以下の元素では、原子半径が大きいため、p軌道同士の重なりがうまくできないため、二重結合や三重結合を作りにくいらしいです。つまり、sp2、sp混成を作りにくいということですね。 Si=Siの他、Ge=Ge,Sn=Snなどは非常に不安定ですが、立体的に大きな置換基をつけて保護してやると多重結合ができます。
お礼
ご説明ありがとうございます。 混成しない理由がよく理解できました。
お礼
詳しいご説明とURLありがとうございます。 参考にさせていただきます。