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正孔に質量はあるの?
半導体を卒研テーマに選んでいる者です。各種半導体の特性一覧表を見ていて 気づいたのですが、正孔の有効質量という項目があったのです。しかも、重い 正孔と軽い正孔に分けられていました。 正孔に質量があるっていうことが概念的に理解できないんですが・・・。 正孔って電子の抜け殻(?)ですよね。だから実際には存在しない物のはずなのに とおもったりしています。
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これは、正孔そのものに質量があるのではありません。 あくまでも正孔がもつ、見かけ上の質量です。 正孔=電子の抜穴ですが、たとえば、電圧を印画することで、周囲の電子を移動させ、見かけ上、この正孔を移動させることができます。エネルギーを与えて正孔を動かすわけですが、実際は電子を動かすわけですから、当然のことながら、「正孔の動きにくさ』というものが存在します。これが見かけ上の質量です。
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- siegmund
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正孔というのは,上に凸のバンド(横軸は波数 k,縦軸はエネルギーε)で, 電子が抜けたところを言います. takamako1 さんの言われるとおりです. 自由電子ですと, (1) ε(k) = (h/2π)^2 k^2 / 2m で,1/2m がバンドの曲率と関係します. 正孔ですと,バンドの形は上に凸で, しかもεが完全にkの2次関数というわけではありませんが, 少なくともバンドの頂点付近では2次関数で近似できます. このときのバンドの曲率は (2) d^2 ε/ dk^2 で与えられます.もちろん頂点なんだから dε/dk = 0 です. これと(1)の式との類推から (3) m* = (h/2π)^2 / |d^2 ε/dk^2| と書いて,これを有効質量(efffective mass)と呼んでいます. (1)を用いて(3)を計算すると,まさにmが出てくることに注意してください. 正孔をもたらすバンドは1つとは限りません. 違うバンドから正孔が2種類出てくれば,バンドの形の違いから m* は当然異なります. 重い正孔,軽い正孔というのはそういうことです. また,上の話は簡単のため1次元にしてしまいましたが, 実際の物質は3次元なのでもう少し事情は複雑です. 固体中ですから,方向によっていろいろ違いも出ます. 有効質量の重要性は,例えば磁場をかけたりしたとき, 正孔あるいは電子があたかも m* の質量をもつ自由電子であるように振る舞う, ということです. したがって,サイクロトロン共鳴などで m* がわかり, それからフェルミ面の形が推定できたりします. バンド構造と有効質量については,例えばキッテルの「固体物理学入門」などを ご覧下さい.
お礼
ありがとうございました。ちょっと難しいですが、 頑張って理解してみます.
お礼
なるほど!って感じでした。ありがとうございます。 実際には電子の動きってことは、正孔の質量は電子より重いんですね?