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高分子のX線構造解析(SAXS,WAXS)

X線構造解析で小角と広角の構造解析についてですが、 なぜ、 小角散乱でラメラ構造などがわかり、 広角散乱でパッキング構造、結晶化度 が解析できるのでしょうか? 実際に装置を触ったことがなく、生データの見方もわかりません。わかりやすいホームページ、解説書など教えてください。

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  • kenojisan
  • ベストアンサー率59% (117/196)
回答No.1

高分子の構造解析は専門外ですが、通常の無機結晶のX線回折を使っている者です。 小角も広角も原理は同じです。有名なブラッグの関係式 2d・sinθ = n・λ で解釈出来ます。ここで、dは調べようとする試料の結晶の面間隔、λは測定に使うX線の波長、θはX線回折測定結果で得られるピークの位置です。nは回折の次数ですが、とりあえずn=1の場合を考えましょう。 ただし、通常の粉末用装置では、横軸に回折角度としてデティクターのスキャン角度である2θを、縦軸に測定されたX線強度で測定結果を図示します。θではなくて、2θになっていることに注意してください。 ここで、ブラッグの式を見れば分かりますが、右辺は定数なので、θの大きいピークは、小さい面間隔のdからのものであることが理解出来るでしょう。 つまり、広角側で得られるピークは高分子の小さい面間隔に関する結晶の情報=分子のパッキング情報なわけです。一方、小角領域でのピークは、面間隔の広い結晶情報=ラメラ構造の面間隔の情報になるのです。 結晶化度に関しては、実は定量的に評価するのはけっこう難しいのですが、定性的な評価としては、ピーク強度が結晶化している体積を反映しており、ピークの幅がシャープなほど結晶のサイズが大きいor結晶の構造の乱れが少ないことを意味しています。 この評価は、原理的には小角でも広角でも同じなのですが、もう一度ブラッグの式に戻ってください。2d=n・λ/sinθと変形して両辺を微分します。すると、2Δd=-nλ・Δθ・cosθ/(sinθ)^2となります。 ここで、もう一度式を変形すると 2Δd・(sinθ)^2/(nλ・cosθ)=-Δθとなります。 ピークの幅とは右辺のΔθを意味しており、これは同じ結晶の乱れΔdに対して、θの小さい領域ではΔθがどんどんと小さくなることになります。つまり、小角領域では、結晶化度を評価するためのピーク幅が非常に小さいものとなり、測定装置自体の原因によるピークの幅より小さくなってしまい、実際には測定が不可能となります。従って、結晶化度の評価は主に広角で行うのです。また、結晶化度の意味からも、分子のパッキング面の完全度で評価する方が妥当ですし。

namahage2
質問者

お礼

丁寧なご回答感謝したします。 ブラッグの式から論理的に解説していただきよくわかりました。こういうわかりやすい解説は本では見つけられませんでした。どうもありがとうございます。

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