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退職給付会計の回廊基準と重要性基準
退職給付会計における回廊基準と重要性基準とは具体的にはどのようなことでしょうか?またこのことについて説明してあるサイトがあれば教えてください。
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回廊基準について 日本の退職給付会計基準では、数理計算上の差異が発生した場合、即時費用化するか将来の一定期間にわたって償却ということになっていると思います。つまり金額の多寡に関わらず、費用処理しましょうということです。 一方、国際会計基準(IAS19)や米国会計基準(FAS87)では、未認識の数理計算上の差異(絶対値)が退職給付債務(PBO)又は年金資産の10%以内ならば償却しないという方法があります。 この償却を行わない「退職給付債務(PBO)又は年金資産の10%」の範囲というのが回廊(コリドール:Corridor)のようだということで回廊基準とかコリドールアプローチとか言われています。 もともとこの方法は、数理計算上の差異自体見積もり誤差というべきものであり、プラスに出ることもあるしマイナスに出ることもあり累積させてみればゼロに近くなるはず、また見積もりがある程度正しくできれば多額にはならないはず、このような見積もり誤差を償却という形で損益として認識するのは期間損益の適正化という観点から疑問がある、などの理由により採用されてきたものです(私の憶測を含む)。 ただし、最近、国際会計基準(IAS19)はこのコリドールアプローチを廃止し、さらに将来一定期間での償却という考えも廃止し、発生時即時費用化という方法に変わったとか・・・。 ↑昔の知識なのでホントに自信なしです。 重要性基準について 会社が採用するべき会計処理というのは、ご存知のとおり、法律で定められているのではなく、基準という形で設定されています。乱暴な言い方をすれば、その会社の財務諸表に重要な影響を及ぼさなければ(←これが重要性基準)すべての会計基準の細かい規定に従う必要はないということです。 つまり、すべての会計基準の細かい規定に従って会計処理を行っていれば重要性基準という言葉は必要ではなく、簡便的な会計処理、又は会計基準で認められない会計処理の方法を採用することが可能かどうか判定する基準が重要性基準です。 ということで、ご質問の「退職給付会計における重要性基準」についてなんですが・・・。 日本基準で考えると、まずは原則法(年金数理計算を行う方法)と簡便法(自己都合退職金100%で計算する方法など)のどちらを採用するか、の大きなところから始まり、割引率などの基礎率の設定や未認識項目の費用化方法の決定、制度変更の場合の取り扱いなど、原則的な方法と簡便的(又は例外的、不適切)な方法のどちらかの選択をするときは必ず重要性基準について考慮するべきです。 結局のところ、ご質問の「重要性基準」が具体的に何を指しているのかよく判りません。
お礼
詳しいご説明、大変ありがとうございました。 今、税理士の財務諸表論を勉強しており、標題の言葉が出てきたので、気になっておりました。 ありがとうございました。