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HSAB則について
CH3^-,NH2^-,OH^-の塩基性の強さを調べるときに、なぜHSAB則ではなく、誘起効果を用いるのですか? しかも、それぞれの結果が正反対になってしまいます。HSAB則で考えると、hard acidであるH^+と結合しやすいイオン、つまりhard baseが塩基性が強いから、OH^->NH^2>CH^3となってしまうのですが…どこが間違えているのでしょうか?
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これらの塩基性度の差を議論するときには、中心原子の電気陰性度の差に基づいて説明するのが普通だと思います。 すなわち、アニオンになった時に、電気陰性度の大きい原子の方が安定化する能力が高いために、H+を受け入れる能力が弱くなります。 したがって、中心原子の電気陰性度が大きいOH-が最も弱い塩基になります。 O,N,Cにアルキル基などの置換基が付いていれば、それらの誘起効果も関係してくるでしょうが、Hは誘起効果を考える際の基準であり、誘起効果を持たないと考えます。 さて、問題はHSAB則です。 有機化学でHSAB則を考えるのは、通常、化学反応において、複数の反応点がある場合に、どちらの点で反応するかを議論する場合に使う考え方であり、直感的にいうならば反応点の相性のようなものと言えるでしょう。 ここでも、H+とOH-,NH2-,CH3-の間にHSAB則に基づく相性のようなものもあると思いますが、上述の電気陰性度の違いに基づく塩基性度の大きさに比べれば影響が小さいということでしょう。 要するに、Hard Softといったことは、これらの系において塩基性度の違いに大きな影響を及ぼすほど重要な要因ではないということです。 ただし、上でも述べましたように、複数の反応点がある場合の位置選択性を説明する上で、HSAB則が絶大なる威力を発揮することがあるのは事実です。
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No.1です。 1つ思いついたことがあるので補足します。 たとえば、H2SはH2Oよりも強い酸です。すなわち、OH-はHS-よりも強塩基ということになります。 HS-はSoft baseであり、OH-はHard baseですので、これに関してはHSAB則と一致しますし、OとSの電気陰性度からは説明できませんね。 一般的に、これらの違いがどのように説明されるかは、はっきりしないのですが、HSAB則による説明も理にかなっていると思います(一般的には「HSAB則っぽい」説明がされるようです)。 すなわち、何が支配的な要因になるかはケース・バイ・ケースということでしょう。なお、CH3-,NH2-,OH-の間の堅さ(hardness)の違いというのは、OH-とHS-の差に比べればずっと小さいはずです。 ついでに、No.2のご回答に対するコメントの件ですが、そもそも、酸塩基の強さを議論する場合には、H+の与えやすさや、受け取りやすさに基づいて行います(ブレンステッド-ローリーの定義)。 その流れで考えるならば、CH3COONa,CH3COONH4の塩基性度は議論できませんし、CH3COOHの塩基性度を考える場合であっても、 CH3COOH + H2O ←→ CH3C^+(OH)2 + OH- の平衡について議論することになります。 例えば、酢酸アンモニウムの塩基性度を議論する場合には、それが電離して生じる、酢酸イオンとアンモニウムイオンのそれぞれの酸塩基平衡を足し合わせたものとして議論することになります。
- sgomu
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OH-はよく見ますが、H3C-はあまり見かけないですよね。 陰イオンになるとHO- > H2N- > H3C- の順に安定で、H3C-は一番不安定なので、他の分子またはイオンに電子を渡す力がもっとも強いと考えられます。 だからH+をひきつける力が強いのではないでしょうか。 HSAB則は同じくらい安定である場合に使うのではないでしょうか。 たとえばアルカリ金属イオン同士やハロゲン化物イオン同士、遷移金属イオン同士などの間では有効な気がします。 化学の世界は現象がまずあって、理由を後付けしているようなものですから、何でこっちの考え方ではいけないんだ、って思うことがよくありますよね。 だからこういう場合にはこうしろということは言えないのですが、不安定なものは反応しやすいというのは最優先である気がするので、まずは安定性を考えてみるのは有効な気がします。
お礼
法則はあとづけなわけですね・・・わかりました。 それと、CH3COOH,CH3COONa,CH3COONH4の塩基性度はどのようになるのでしょうか?電離して最もCH3OO^-イオンを放出する分子が塩基性が高いと考えたのですが、CH3COONaは完全に解離するので一番強く、酢酸は弱酸なのでわずかにしか解離しない。ここで、CH3COONH4はどのように考えればよいのでしょうか? O-N間の電気陰性度の差で、電子がO側に偏り電離しやすくなるのでしょうか?
お礼
複数の反応点がある場合の位置選択性をHSAB則説明する方法は教わりました。HSAB則はそのときに必要になってくるということですね?わかりました。ありがとうございます。