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スピン分極について
A(+)B(-)C → A(+)BC(-) という電子移動を考えるとして、 「最初のラジカルペアが十分長い寿命を持っていたら、singlet-triplet mix が起こり、その後のラジカルペアのスピン分極に影響を与える」 と、今読んでる本に書いてあるのですが、さっぱりです。 スピン分極とは一体何のことなのかも、よくわかっていません。 よろしくお願いします。
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> スピン分極とは一体何のことなのか 通常の有機化合物であれば電子は対になっているため、実質スピン量子数を持たない(スピンが相殺されて外見上0になる)のに対して、ラジカルなどでは相殺されないためにスピン量子数を持つこと・・・だった気がします(汗) > A(+)B(-)C → A(+)BC(-) これは、多分「(+)」「(-)」がラジカル電子のスピン状態を表している、ということでよろしいんですよね? とりあえず、電荷と紛らわしいので、ここでは「(+)」→「(↑)」、「(-)」→「(↓)」に置き換えて説明させて戴きます。 3つの原子A・B・Cが二重結合で繋がった「A=B=C」があるとします。 1つの軌道内の電子は「↑↓」というようにスピン量子数の異なる状態で入っているため、「A=B」の二重結合がラジカル開裂する場合、直後に生じるラジカルでは A=B=C → A(↑)-B(↓)=C というように、スピン量子数の異なる状態になります(→一重項・singlet)。 (「一重項って何?」という質問には答えられないので、量子化学の教科書をご覧下さい(汗)) ここで、直後に「B=C」の二重結合が開裂することによって、ラジカルの位置がB原子からC原子に移動すると、「B=C」の結合を形成する軌道の電子のうち、異なるスピン量子数のものとペアになるので、C原子上に生じるラジカル電子のスピンは、B原子にあったそれと同じになります。 (「↓」(B上ラジカル)+「↑↓」(BC間結合)→「↓↑」(B上孤立電子対)+「↓」(C上ラジカル)、と) A(↑)-B(↓)=C → A(↑)-B-C(↓) ※B原子上に存在することになる孤立電子対は省略 この流れだけでA・C原子上にラジカル電子を持つラジカルペアが生じるなら、その発生初期のスピンは一重項状態しかないことになります。 一方、もし何らかの理由で「A(↑)-B(↓)=C」のラジカルペアが安定だった(=寿命が長い)場合は、ラジカル電子がB原子上に存在するうちに、より不安定な一重項状態から、若干安定な三重項項状態への遷移が可能になります(=singlet-triplet mix)。 A(↑)-B(↓)=C → A(↑)-B(↑)=C ※B原子上に存在することになる孤立電子対は省略 この経路を通ると、B原子上からC原子上にラジカルに移った時点で、既に三重項になっていることになります。 A(↑)-B(↑)=C → A(↑)-B-C(↑) (同時に、前者と同じ経路を経た「A(↑)-B-C(↓)」の一重項のものも生じます) ・・・ということだと思います。 (具体的には、他の分子との反応性に差が出るとか、反応によるESR(電子スピン共鳴)スペクトルの経時変化の出方が変わる、といった現象として捉えられるのでしょう、多分)
お礼
ありがとうございます。 なんかわかった気がします。